頭の整理は「多くの感覚を使う」ことで促される
仕事がひと段落したので事務所を一気に整理整頓。ずっと気になっていたレイアウトを変えました。ゴミはほぼなし。モノの置き場所や置き方ひとつで見違えるようになりました。
究極は「モノを置かないこと」で、ミニマリストなんて言葉がありますが、整理整頓ができる人は基本モノが少ない。ところが事務所のように、社員などの他者が複数人いる場合はどうしてもモノが増えてしまいます。「これは必要なのか」「あれは捨ててもいいんだろうか」「あの備品がなくなっているけどどこにあるか分かる?」 次第に収拾がつかなくなって放置。モノがあふれて仕事の効率も下がってしまいます。
ところで皆さんは「頭の中」を整理することってありますでしょうか?あのプロジェクトのこと、社長に指示されたあの案件、部下に依頼した件の進捗、経費精算のこと、確定申告、家族のことやパートナーのことなど。頭の中の「荷物」が増えていくと、ワーキングメモリという短期記憶が働きづらくなります。一つひとつ整理ができていないと、何事も中途半端になりかねません。
「自己参照効果」
という方法があって、思考をリアルタイムで声に出すことを習慣づけると記憶の定着率が高まります。読書をしながら「この主張ってどうなんだろう?個人的な経験に反する理論だ。いまいち納得がいかないけど、これが新しい学びなんだろうか?」のように声に出しつつ、できれば散歩なんかを取り入れながらやってみると内容が頭の中で整理されやすくなります。
自分は文章のテーマを理解できたか。
わからない専門用語は?
一番しっくりきた文章は?
段落ごとの結論を自分なりに説明できるか。
そもそもこの本は何が言いたかったのか。
声に出すことで口や耳などの運動機能を多く使うため、学習がよりアクティブになります。テキストをしっかりと読まないと音読ができないので、目で内容を追うよりも学習が深まります。心理学的には「プロダクション効果」とも言いますが、めんどくさければシンプルに音読するだけでも情報の整理が進みます。
マルチモーダル学習といって、人間はできるだけ多くの感覚を使った方が学習の成果が上がることがわかっています。視覚だけではなく聴覚を刺激する音読を、歩くことで身体的な刺激も加えながら行う学習は頭の整理を促します。「独り言学習」という言い方もしますが、とにかく脳のさまざまなエリアが活発化する現象を利用すれば学習効率が高まります。
読書のときは立ちながら、ステッパーなんかを使いながら、そして音読すると確実に本の内容が頭に残りやすくなります。足は心臓に血流を送るポンプ。立ちながらの勉強で前頭葉の血流が上がるのはそのためです。
今はマスクをする人が多いと思いますので、周囲に迷惑がかからない程度なら電車の中でも声を出して本を読んだりできますよね。小学生のころ、授業中に「ペンまわし」に夢中になっていましたが、あれも「多くの感覚を使った学習」という意味では効果的です。
部屋の整理もさることながら、頭の整理に苦労されている方はぜひ参考にしてみてください。結構、驚くくらいの効果を感じていただけると思います。
久保大輔