不安の感情は、生きる上で必須の「能力」
皆さんは不安になることありますか?というか不安にならない人っているんですかね?私はたまにめちゃくちゃ不安になることがあります。人生とか仕事とか、なぜかわからないのですが、一気に押し寄せてくる日ってあります。
ちなみにこんな実験があります。
幸福に関する記事を読んだ被験者たちは、読まなかった人たちよりも強い孤独感を覚え、プロケステロンという、人との絆を感じたときに放出されるホルモンの分泌が減った。
人は「幸福の重要性」を強調されると、寂しさや孤独を感じ、その影響は身体的な苦痛にまで及ぶとされています。私も昔はよく読んでいたのですが「自己肯定感」や「ポジティブシンキング」に関する知識を詰め込めば詰め込むほど、他者との相対比がはじまって苦しくなってしまう。
さらに、そういった不快感を放置し、見て見ぬふりをするとなおさらタチが悪い。身体的、感情的な不快感が時間の経過とともに「苦悩」に変わってしまいます。ひどい人は鬱になることだってゼロではありません。
「全体性(ホールネス)」
ひとつの心理状態が最善だとするのではなく、どんな心理状態も全てよいと考えることを指します。
「アダプティブ・アドバンテージ」
変化に適応するための優位性と訳されるこの考え方は、どれかひとつがよいと決めてそちらを目指すのではなく、さまざまな感情(見て見ぬふりをしたくなるような感情)の意味を受け入れ、どんな感情になろうともうまく乗りこなす能力のことをいいます。
幸せと不安。両方の心理状態を行ったり来たり、うまくバランスをとりながら生きることで「全体性」を持つことができます。不快な感情にも価値があり、幸せだけが重要ではないということです。
暑いときはクーラーで涼しく、寒いときは床暖房で快適に。買い物は徒歩ではなく車。お腹がすけばコンビニがあります。私たち現代人は「快適中毒」だと言われています。快適さが簡単に手に入るので、不快感に耐えることが下手になってきました。SNSでも、嫌な人はブロックしてしまえばほぼ視界に入ってこなくなります。「避ける」という行為は、構造的にいつでも誰でも簡単に行えてしまう。
でもスポーツ的な観点に立てば「ストレス」が成長につながることは誰の目に見ても明らかです。同様に心理的な不快さには利点があり、辛い心理状態がポジティブな結果に結びつくこともあります。難しい人間関係に耐えることによって世界が広がることもあります。
不安の心理は、本来「何かを悪いものだと感じる能力」でもあり、生存に欠かせない能力。「このキノコを食べたらやばいかも」という感情は、生きる上で必須の感情です。
いつもポジティブなことを探すのではなく、ネガティブな感情を押し隠したりせず、ありのままの感情を客観的に見て、「今できること」に集中することが大事だと思います。
久保大輔
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