「思い出す作業」で学習効率アップ
1か月前に読んだ本。皆さんは内容を覚えていますでしょうか?もしくは、本の内容を尋ねられたとき、自分の言葉で説明できますでしょうか?人間は忘れる生き物であり、逆に情報を忘れることができなければ、脳内の容量がなくなってあらたな情報を適切に処理できなくなります。
忘れることを前提に、どうすれば記憶の定着を図れるか?学生時代からいまに至るまで、私にとっては大きな課題でした。ちなみに本については、気になるところを赤線でひいたり、赤線箇所をエクセルで電子化したり、パワポ1枚で一冊の本をまとめる作業をして、「すぐに答え合わせができる」ようにしています。
「忘れないうちに復習する」より「忘れたころに復習する」
留学前はいろんな英語学習を試しました。そして勉強した箇所を「忘れないうちに復習」して、単語や文法を勉強していましたが、効果は限定的。もちろんいくつかは脳内に刻み込まれていますが、大半が忘却してしまっています。
「思い出す作業」
どうやらこの一苦労が脳に刺激をあたえ、記憶の定着につながっていくことに最近気づきました。上に書いたような、本の内容を記録しているのはそのため。「答え合わせ」できる状態は、「忘れたころの復習」に便利です。
ペライチでまとめられたパワポ資料をざっと読み返し、キーワードをエクセルの検索機能であたりをつけ、電子化された文章(赤線を引いた箇所)を読み返して、忘れた情報を蘇らせる作業を行うと、脳に刺激が与えられて定着率が高まります。本の内容を同僚や友人に話すことがあるのですが、以前と比べて話せる内容に深みが増したのは、記憶の呼びおこしがうまくいっている証左だと思います。
「忘れないうちに復習」すると、予測がつきやすいので脳に負荷がかかりません。楽に思い出せるので飽きにもつながります。一方「思い出す作業」を復習に取り入れると、「あれ?これどういう意味だったっけ?」と、脳内でニューロンが組み替わって、学習に適した状態にすることができます。受け身ではなく能動的な学習。「思い出す」ことが重要です。
ブロック練習とインターリービング
前者は1つのことを身につけるまでひたすらくり返し練習する方法。後者は1つのセッションで複数の内容を練習する方法です。けっこうな割合で前者、つまり「1つだけを徹底的に」学ぶ方法を採用しているのではないでしょうか?私ももれずにその一人でした。
ところが先に述べたとおり、単調な学習は「想起」のプロセスが起きないので、記憶の定着は促進されません。実験によると、後者(複数派)のほうが前者より25%も成績がよくなり、1か月後の追試では得点差が倍に開きました。ちょっと無視できない結果ですよね?
さらに記憶への定着率だけではなく、あらたな発想も生まれにくくなることも分かっています。応用の利かない知識だけが頭に残るので、まさに「応用問題」が出たときの対応が難しい。定期テストではいい点がとれても、全国模試だとさっぱりという人、周りにいませんでしたか?私は完璧にそっちのタイプでした。応用力ゼロ。
ちなみにインターリービングは、スポーツにも効果があるようで、たとえば野球だったら、カーブ、フォーク、シュートという感じで1セッションで最大3種類のメニューをトレーニングしたほうが上達が速いと言われています。思い出す作業が脳に負荷をかけて、実践向きの練習ができるということでしょうか?
また「チャンク」化することもおすすめ。電話番号は、11ケタが一般的だと思いますが、「0●012345678」より「0●0-1234-5678」と区切りを入れた方が覚えやすい。同様に、情報に自分なりの枠組みを定めて頭に残りやすくすると、情報の処理スピードが格段に速くなります。
日常的にいろんなチャンク化を行えば、頭のなかで複数の知識をつなぎ合わせて自在に引き出せるようになるので、パッと見は何の関係もなさそうな情報でも、つながりを見いだすことができます。発想力が身につくわけです。地道な作業で根気がいりますが、記憶の定着とともに直感力を働きだすメリットも見逃せません。
チャンク化も、自ら頭をひねって、自分で思いついたほうが頭に残りやすい。受け身ではなく能動的に学習するほうが、効率的な学習ができます。チャンクが増えてくれば、異なった情報の類似点に気づくようになるので、たとえばこのnoteのネタも無尽蔵にわいてくるので毎日更新が容易になります。
こうやってnoteを更新する作業も、インプットした内容を「忘れたころ」にがんばって思い出しながら行うと、学習が促進されて効率的ですね。発信して多くの人に読んでもらいたいと思うのと同時に、私の場合は「復習装置」としてnoteを活用しているとも言えます。
久保大輔
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