反対意見を聞いてもらう方法
FROM ボブ・バーグ
突然だが、誰かと知的な議論をするなら、まず双方の意見が一致している部分からはじめよう。そうすれば、相手はあなたがたんに論戦を繰り広げて勝ちたがっているのではないことに気づいてくれる。
さらにもっと重要なのは、意見が違っていても同じ目標をめざしていることを双方が確認することだ。そのほうが相手にとって提案を受け入れやすく、対立関係に陥らずに協力関係を構築することができる。協力関係を構築していることで、あなたの主張を受け入れやすくなる。
この手法は心理学者のレイ・ランズバーガーにちなんで、「ランズバーガー・ピポット方式」と呼ばれている。つまり、バスケットボールのピポットフットのように片足を固定して軸足にし、もう片方の足を自由に動かすことである。この場合、相手と意見が一致している部分を前提にして、そこから議論を発展させることをさす。
議論相手の心を開くには?
たとえば、あなたは、大人なら自分の退職後の計画を選択すべきだと考えている。一方、あなたの友人は政府が高齢者の 面倒を見るべきであり、現行の社会保障制度が有効だと考えていて、「大勢の人が自力で老後の生計を立てられない現実を無視するとは、なんて薄情な人だ!」とかみつく。
あなたの友人は問題の核心からはずれて個人攻撃をし、敵対的な状況をつくりだしているのだ。あなたはすっかりプライドを傷つけられ、「現行の社会保障制度を維持するために、掛け金を搾取する今のやり方では、貧しい人はますます貧しくなるだけではないか!」と怒鳴る。
さて、相手があなたの主張を受け入れる可能性はどのくらいあるだろうか。あまりないと言わざるをえない。あなたはただ議論をしているだけである。あなたは相手が間違っていると決めつけ、相手はそっぽを向く。
人々は事実では動かされない
人々を動かすのは「人」である。それを肝に銘じる必要がある。
別のやり方を紹介しよう。今度は敬意を示しながら冷静な声で、双方の意見が一致している前提部分からはじめるといい。「ジョン、君の考えはよくわかるよ。私も君と同様、人々が高齢になってお金がないために苦しむような国にはなってほしくないからね。」と言おう。
このような言い方をすると、きっと相手は驚くに違いない。なぜなら、あなたがいきなり議論をはじめると想定していたのに、意外にも意見が一致している部分から話を始めたからだ。その結果、相手はそれほど身構えることなく、あなたの反対意見に心を開くことができる。
説得上手な人がやっているコト
以上の例のように、「あなたの言いたいことはよくわかる」という意味の前置きの言葉を使っていることに注目してほしい。あるいは、「なるほど、そうですね」「まったく同感です」「お気持ちはよく理解できます」といった表現も効果的な前置きの言葉だ。
ランズバーガー・ピポット方式は政治だけでなく事実上すべての状況で大きな効果を発揮する。まず、双方が基本的な前提と最終的な目標を共有していることを指摘しよう。そして、気配りをして相手に敬意を払いながら事実を伝えるのである。このやり方を実践すれば、あなたの影響力は飛躍的に高まるはずである。
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