梅雨の薬膳
梅雨は、毎日雨や曇りのスッキリしない日が続きます。梅雨の時期は、私達の身体の脾の機能が盛んになります。中医学の脾は、西洋医学の脾臓ではなく、横隔膜の下、腹部を意味し、胃と同様に食物を受け入れ、消化し、気血を生成し、身体を営養し、水を代謝するなど、生命維持に重要な役割を担っています。脾は、湿を嫌うため、雨によって湿度が高くなると脾を傷めやすくなり、また、思い詰めたり、憂いすぎると気が滞り、脾を痛め、食欲不振、腹痛、疲労、下痢などを起こしやすくなります。また、湿によって水分代謝が悪くなり、痰、咳、湿疹、浮腫、水腫なども起こしやすくなります。
梅雨の季節には2種類あり、それぞれ薬膳レシピが変わります。
・気温が高く蒸し暑い「湿熱」
・気温が低く湿度が高い「寒湿」
梅雨の薬膳 - 湿熱篇 -
気温が高く蒸し暑い時は、清熱の食材によって熱を取り、利尿作用のある食材によって湿を尿から排泄します。また、芳香性のある食材によって気の巡りを良くし、湿を取り除きます。
しらす大根と人参おろし
大根の辛味によって気の巡りを良くし、人参により血の流れを良くし、しらすの利尿作用により湿を取り除きます。
【材料】
大根
肺、胃に作用し、脾胃の働きを増強し、消化を促進し、食欲を誘います。また、嘔吐、げっぷ、腹脹、便秘、痰多、声嗄れ、止血、鼻血に効きます。
また、大根には辛味成分であるイソチオシアネートが含まれています。イソチオシアネートは抗菌作用、抗癌作用、血栓防止作用などの働きを持つことが知られています。イソチオシアネートは大根を刻んだりすりおろすなどしたときに酵素の働きで生成されます。
人参
肺、脾、胃、肝に作用し、血を養い、目の乾燥やかすみ、視力低下、咳止め、食欲不振、下痢、便秘に効きます。
白魚(シラス)
脾、胃、肝に作用し、脾胃を整え、浮腫、下痢、利尿作用のほか、肺を潤し、咳を鎮めます。
【作り方】
1. 大根と人参をすりおろし、混ぜます。
2. しらすをのせます。
お好みでえごま油、醤油で味付けします。
キュウリと鶏肉の豆乳麺つゆ素麺
キュウリの清熱解毒、利尿作用により、身体の熱と尿から湿を取り除き、鶏肉によって脾胃を増強します。ネギとお好みで豆板醤を入れることで、辛味によって気の巡りを良くします。
【材料】
キュウリ
脾、胃、大腸に作用し、清熱解毒により身体の熱を取り、喉の痛みを沈め、利水消腫作用により下痢、浮腫に効きます。また、皮膚を潤し、乾燥や赤みから肌を守ります。
鶏肉
脾、胃に作用し、脾胃虚弱、食欲不振、下痢、不正出血、咳、げっぷに効きます。
豆乳
肺、大腸、膀胱に作用し、肺を潤し、喉の乾燥、喘息、疲れ、虚弱、利尿作用により、浮腫に効きます。
素麺(小麦)
心、脾、腎に作用し、胃腸、腎を整え、食欲不振を解消し、精神不安を取り除き心を落ち着かせるので、安眠できます。
ネギ
肺、胃に作用し、発汗により体表からの風邪の感染を防ぎます。また、辛味によって気の巡りを良くします。
【作り方】
1. キュウリ、ネギは、千切り。
2. 鶏のささ身をゆでで、割いておきます。
3. めんつゆに豆乳を1:1で混ぜます。
4. 素麺をゆでで、3.の上に盛り、キュウリと鶏のささ身、ネギをのせます。
お好みで豆板醤を少しのせます。
オリーブオイルのスギナの天ぷら
天ぷら粉に茯苓という生薬の粉を入れると天ぷらが薬膳になります。
茯苓
心、脾、腎に作用し、食欲不振、疲労、利尿、浮腫、痰、精神を安定させる作用により、不眠、不安、動悸、健忘に効きます。
オリーブ
肺、胃に作用し、清熱解毒作用により暑熱を取り、下痢、魚介食中毒を防ぎます。また、喉の、痰、咳を沈めます。
スギナ
スギナには利尿作用の他、様々な驚くべき効能があります。
梅雨の薬膳によって、脾胃を健康に保ち、元気に過ごせたらと思います。
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