ファンクラブ運営を健全化するために見るべき2つの指標
こんにちは、fanicon運営チームの西村です。
先日「よいファンクラブの運営をするためには、他のどのビジネスを参考にすれば良いんだろう・・?」と考えていたところ、ふと「 SaaS のビジネスモデル」は一つ参考にできるのではないかと思いまして、どのへんを取り入れていくべきかを考えたく筆を取りました。
まずそもそも「SaaSってなんやねん!?」
という話があると思いますので、まずは私がググった中で「わかりやすいな」と感じた説明をご紹介いたします。
SaaSとは、「Software as a Service」の頭文字を取った略語で「サース」と読みます。これまでパッケージ製品として提供されていたソフトウェアを、インターネット経由でサービスとして提供・利用する形態のことを指します。
「SaaS、PaaS、IaaSとは。3分で理解するそれぞれの違いとクラウド基礎知識について」より引用
https://www.cloud-ace.jp/column/detail01/
概念だけだとちょっと分かりにくいと思いますので、実際にどんなサービスがSaaSに分類されるかと言うと例えば「Gmail」や「Adobe」、最近話題の「Zoom」 などもSaaSに分類されます。
Adobe などは分かりやすい例なのですが、 Photoshopを使おうと思うとユーザーは月に一定金額をAdobeに支払ってソフトへのアクセス権を得ます。ソフト自体を買ってしまうというわけではなくあくまで利用する権利を毎月の支払いの対価として得ているということです。
※ちなみにAdobeのビジネスモデルについてより詳しく知りたいという方は下記の記事がおすすめです。
ファンが月額を払って提供されるサービスを享受している形になるファンクラブ、ファンコミュニティとSaaSってビジネスの構造的に近いと言えそうですね。(一旦言えるということでこの記事は進行していきます!)
では、SaaSビジネスの考え方でファンクラブ運営に有効なものとはなんでしょうか?
今日は2つの指標をご紹介したいと思います。
1つ目は 「Churn Rate (退会率)」です
Churn Rateは「チャーンレート」と読みます。
あまり聞き慣れない言葉かと思いますが、日本語にすると「退会率(月ごとの退会率)」となり、イメージが付きやすいのではないでしょうか。
Churn Rate はとても重要な指標です。
当たり前じゃん! と思われる方が多いと思いますが、実は退会率を毎月ちゃんとトラッキングしながら運営されているファンクラブはまだまだ少ないように感じます。
例えば、Churn Rateの5%と8%はどれくらい差があると思いますか?
3% くらいの差だと大したこと無いだろう、と感じるかも知れませんが、
ChurnRate 5%だとユーザーがひとり入会した場合の期待継続月数は20ヶ月ですが、8%だと12.5ヶ月しか継続を期待できなくなってしまいます。
月会費500円のファンクラブサービスを提供していた場合、一人あたりの売上の差は3,750円となり、中長期的に見るとこの積み重ねは相当大きな差になります。(ちなみにfaniconの場合、一般のファンクラブの3〜4倍の月間う売上になるので、その差も3〜4倍になります)
また、同期間のイベントへの参加なども影響してくるのは間違いないですし、重要性が高いことは明白でしょう。
逆を返せば、ここを僅か数%改善するだけでも中長期的には大きな差が生まれてきますので、まず運営されているファンクラブの過去半年の月ごとの退会率を確認し、改善目標値を決めて色々施策を打ってみて下さい。
※本質的にはファンの方が喜ぶことを続けていればChurn Rateは自ずと下がります!
2つ目の「ユニットエコノミクス」という考え方です
ユニットエコノミクスは ビジネスの健全性を測るひとつの指標であり、顧客一人当たりの採算性を表す指標です。
例えば「今入会すると〇〇がもらえるのようなキャンペーン」を行い新規会員を獲得するというプランを立てることがあるとします、その際は当然ですが顧客を獲得するためにコストが発生しています。
この顧客獲得コストが顧客一人の生涯価値(LTV)を超えてしまうとサービスとしてやればやるだけ損をするという状態になります。
ですので、まずはファンクラブに入会していただいた方の生涯価値(LTV)を把握することが重要です。
生涯価値(LTV)を算出する方法は様々ありますが、
シンプルな計算式で言えば以下となります
「粗利率」は皆様にとっても馴染み深い指標だと思いますし、Churn Rateは先ほど開設したので、「ユーザーの月次平均単価」だけ簡単に説明します。
「ユーザーの月次平均単価」は、ユーザー1人あたりから生まれる売上と読み替えるとだいぶわかりやすくなるかと思います。
計算式は、シンプルに以下です
ユーザー1人あたりから生まれる売上に粗利率を掛けて、ユーザー1人あたりの利益額を算出し、退会率で割る(=継続月数を掛ける)ことで、ユーザー1人当たりの生涯価値(LTV)が算出できます。
ちなみにSaaSのビジネスモデルにおける一般論ではありますが、以下指標を満たしているとビジネス的に健全だと判断できると言われています。
もし皆さまがファンクラブ運営をされていらっしゃいましたら、この基準に当てはまっているかどうかもぜひ一度チェックしてみて下さい!
今日は少し堅いお話になってしまいましたが、ファンクラブ運営していく上で一つの参考になれば幸いです。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。
執筆者:西村ひろゆき
https://twitter.com/246NH