【コミュラボ】第32回オフ会 若宮和男さんと語る 「アート思考とコミュニティ」
第32回(オンラインでは第14回)のコミュラボ オフ会。
21年のコミュラボ 始めは、若宮和男さん(若さま)と「アート思考とコミュニティ」をテーマにお話ししました。
若宮和男さん(若さま)とは
uni'que代表/ランサーズ タレント社員/コアバリューファシリテーター
建築士としてキャリアをスタート。
その後東京大学にてアート研究者となり、建築・アート論、ニーチェ研究をしつつ、アートイベントを主催。
2006年、モバイルインターネットに可能性を感じIT業界に転身。NTTドコモ、DeNAにて複数の新規事業を立ち上げる。
2017年、女性主体の事業をつくるスタートアップとしてuni'queを創業。「全員複業」という新しい形で事業を成長させ、東洋経済「すごいベンチャー100」やバンダイナムコアクセラレーターにも選出。
ビジネス領域に限らず、アートや教育などでも女性の活躍をサポートする。
多数の企業に新規事業やコアバリュー経営のアドバイザリーを行い、
複業やコミュニティ関連でもメディア掲載、講師、イベント登壇多数。
若宮さんにお声かけした2つの理由と今宵の流れ
ー①人が考えていないことに気付き、声を上げ、動いているから
若宮さんは一言でご紹介することが難しい、たくさんの特徴(タグ)をお持ちです。そして、いろんな「境界」を溶かして活動されています。
そんな昨年の若宮さんが溶かしたものは「ジェンダーギャップ」。「女性登壇者比率が低い(=女性が25%以上いない)イベントへの登壇はお断り」で話題になりました。このように「なんとなく気持ち悪いな」とみんなが感じていても「気づく」状態に至らず、かつ、気付いても声を上げるに至らない人が多いと思います。
しかし、若宮さんは、気づき、声を上げ、さらに動かれました。できた理由を伺ったところ「やっちゃった」「やらずにいられない」性癖=衝動。覚悟、かと思いきや「性癖」。これにより登壇する機会が減っても、新たな機会(女性だけのイベント)に呼ばれるようになったそうです。
このように気づき、声をあげ、動けることは、コミュニティ作りにつながる資質なので、ぜひ、みんなと共有させていただきたい、と思ったからです。
ー②「アート思考」とその活かし方について、お伺いしたいから
若宮さんと言えば「アート思考」。ご著書に書かれているように、アート思考とは「自分の衝動によって価値に革新を起こす」もの。まさしく若宮さんの行動の礎の一つだと思います。しかし「アート思考」は、その定義が難しい「未熟児」。
しかし若宮さんはその思考をご自身の企業経営にも活かし、全員複業スタートアップにしたり、Business as Communityで運営されたりしています。
そもそも「アート思考」とは、その活かし方とは、についてお伺いしたいと思ったからです。
ー今宵の流れとゴール
こんな若さまをお迎えしての2時間は「アート思考」「アート思考とコミュニティとの関係」、そして、若さまを突き動かし、コミュニティを作る時にも必要となる「衝動」について語ろうと思っていました…が、話はより広がりました。そんなお話をおすそ分けします。
アート思考への流れ
きっかけは大失敗。
NTTドコモでの新規事業担当として、自分の感情に蓋をし、MBAホルダーと共に詰めまくったのに、新たなものを生み出せなかった「ロジッククソ野郎」だった。
そこで気づいた「頭」の限界。
「頭で考えられることには限界」があり「身体で感じること」を大切にするように。加えて、ロジックとデザインは大事だけど、それでは新たなものは生み出せないことや、アーティストが作品を生み出すプロセスに目を向けると、手を動かす=身体で考えていることにも気づかれたとのこと。
身体性とコミュニティ
そんな身体はまさしくコミュニティ。
一つのもののようだけど、いろんなものの組み合わせでできている。その身体は、歳をとるほどわかるけど、頭で考えた通りには動かない。そして、「死なない」ようにできている。「一つ」を維持するために、ウイルスなどが入ってくれば排出するように動く。取り込んでみないとわからない。
ウイルスは人が生まれる前から存在している。
西洋的にはこの状況下でのコロナとの向き合い方を戦争、と言うこともあるが、むしろ先にいたウイルスといかに共存するか、と言う考え方もあり。
コミュニティも同じ。
同じ空気感は大切だけど、いろんな人がいる。そんな「同質的異種性」がある場。その空気に合わない人が入ってきたら、ここは違います、と教えてあげればいい。正解不正解ではなく、合う・合わない。合わないので「Out」=外に案内すればいい。
正解の反対は歪(いびつ)
アートは自分起点。これこそが自然であり「順ばり」。
歪さを価値にする。他の人と同じだと作品にならない。なので、アーティストは作品作りの前に、徹底的にリサーチする。自分の形を知るには社会との関係が必要。リアクションがあって形になる。
でも我(が)と自分は違う。
自分しか見えないとスケールしない。世の中にどう伝えるかがないと、価値が生まれない。出来上がったものを見て、作りたかったものがわかる。我見と離見が大事。
自分を一言で説明できない
ますますそういう時代に。
自分の肩書きまだ世の中に名前がないので「アート思考キュレーター」などと新たにつけるしかない。仕事と遊びの境界がない。今までは自分や仕事を(既存)の組織に合わせていた。しかし、境界など元々はなく、言葉で無理やり分けていた。その境界を溶かしていけるようになった。
触発
作品は人を触発する。
しかし、作品ができた瞬間に、すぐにそのようになるものばかりではない。時間が経ってから、人を介してから、と言うこともある。その作品や触発の元は「熱量」。
コミュニティは成長が必要か?
コミュニティの範囲、コミュニティに何を求めるか、などを考える。
組織はゼロ番目の作品。その組織を通じていろんなものを生み出す。ユニックは、全員副業やボトムアップにしているのは、自分が過去にトップダウンで失敗したから。他の会社や組織に転用できるかわからない。
個人としては多様な依存先があると良い。自分という歪みが、いろんなコミュニティがあると少しずつハマる。
編集後記
全てをまとめきれない!でも、アートやアート思考は「体験」してこそわかるもの、そして、一言でまとめ切れるものではない、ともお話しされていました。このまとめには記していませんが、650年続く「能」からの学びや、禅とアート思考のつながり、中動態な在り方などもお話しいただきました。
今回のオフ会は、メンバーの学びやキャリアに基づく意見・感想や質問が出て、おー!そういうことにも造詣が深い方だったんだ!と2年近くご一緒しているのに知らなかった!なんて一面にも出会うひとときでした。
本番後の若さまとのチャットで
「まさに中動態で、コミュニティと人のどっちもが主体」
「アート思考にコミュニティが生きる」
「コミュニティを通じて個が自分を生み出し、出会う、っていうのはまさにそれ」
とまとめていただきました。
2021年もコミュラボ は、「順ばり」である「自分起点」で「一言では説明できない」けど「他人に価値」を共有するきっかけの場でありたい、と思いました。
改めて、若サマ、そして、コミュラボ の皆さん、ありがとうございました!