『つながっていいとも』木曜日 第11回 「北新地キャンプ」オーナーの葦田祐也さんによる「新たな時代の飲食業界のあり方」
2020年8月27日OAのオンライン配信「つながっていいとも」第11回のまとめです。今回は、「北新地キャンプ」オーナーの葦田祐也さんと「新たな時代の飲食業界のあり方」についてお話しました。
「つながっていいとも」とは
今年の5月30日に、電子チケット会社「Peatix」主催で配信した24時間オンラインチャリティイベント『HELLO, NEW NORMAL」の中の1コーナーのスピンアウトです。
「オンラインでも出会える!話せる!つながれる!」をモットーに、「新しい時代のつながり方」を実践されている方をお招きし、18分間おしゃべりする企画です。
配信は、あの伝説の番組の名物コーナー同様、ゲストに次のゲストをご紹介いただいてシメ、となります。
MCは日替わり。火曜日はPeatix共同創業者・藤田祐司さん、水曜日はTokyo Work Design Weekオーガナイザー・横石崇さん、そして木曜日はコミュラボ幹事・辻貴之がモデレーターです。
「いいとも」木曜日 第11回ゲスト 葦田祐也さんとは
葦田祐也(あしだゆうや)さんは、1988年生まれ。兵庫県出身。
テレビ番組制作の仕事を経て飲食業界へ。2016年に大阪にて酒場「北新地キャンプ」を開業。現在は、本物の調味料を世の中に広める「味付万博」というサービスを開発中。
この他、コロナ禍の時期は「営業自粛の飲食店がカレーでお客様とつながる」という「成長するカレー」という企画なども展開中。
葦田さんを紹介してくださった先週のゲストの遅咲まんたろうさんは、葦田さんを「飲食業界の革命児!」と仰っていました。そんな葦田さんに「新しい時代の飲食業界の在り方」について伺います。そんな葦田さんとのトーク、スタートです!
(見逃した方は、こちらから!)
まずは自己紹介
大阪で居酒屋を1店舗運営。コロナをきっかけにを始めようと「味付万博」を企画。これは、職人さんが作る醤油や味噌などの調味料を紹介する企画。
と思いつつ、普段はコンビニのインスタント食品を食べている日々なので、「栄養満点」な食事をインスタント化しようと企画中。この「味付万博」という名前は、先週のゲストの遅咲まんたろうさんに名付けてもらった。
ー居酒屋を始めたきっかけ
大学卒業時に、お笑い番組と映画が好きで、監督になりたかった。そして、お酒飲むのも好きで、年を取ったら居酒屋の大将をやりたい、と思っていた。
大学卒業後、吉本興業のスタッフ養成所に入り、半年間ADをやっていた。そして「東京でバラエティを作りたい」と言っていたら、ある日「あさって東京に来れるならなら仕事があるよ」と言われ、翌日朝に新幹線で上京。そこで1年ADをやっていたが、いろいろあってこれは続けられないと気づく。
そこで今度は、居酒屋の大将に挑戦することにした。24歳から現場に立ち、28歳で独立。現在は、独立して4年になる。
ーコロナで大変?
一気に変わった。ゲームチェンジした。操業してから今までの4年で、この3月が過去最高と順調だった。ところが4月に入り、居酒屋のあるオフィス街で一気にテレワークが進み、飲み会が禁止され、過去最低となった。飲食は立地によると思う。住宅街は好調、オフィス街は大変という感じ。
ーコロナで気づいたこと
緊急事態宣言が出て、最初の1週間は焦った。何をしていいか、わからなかった。東京の仲間もみんな大変だと言っていた。でも、自分は飲食業が好きだなと気づいた。飲食業をしている人たちがみんな素敵だったから。
しかし、自分たちが大変な中で「他の人に向けてできること」を考えたり「どこまでいってもお客さんと一緒にいる」という姿勢が見えた。このタイミングでお客様に対して何ができるかを、前向きに考えていた。飲食業は、目の前の人に対して誠実、思いやり、喜ばせるという気質がある。
コロナで始めた「成長するカレー」
自分にも、できることがないかなと思って「カレールー」を作り始めた。
居酒屋でカレーは売っていなかったが、家から出られない人に対してできることがないかと考えた時に「何かを通じてつながる」のは一案と気づいた。
そこで、「料理のプロ」がカレーの作り方をアドバイスすれば良いのではと思った。割烹の方が鯛のだしを加えたり、スパイスのプロが何かを加えたりなど。一般家庭でカレー作る時に、プロの一手間でより美味しくする方法を、カレールーをきっかけに共有する仕組みを考えた。
これを「成長するカレー」と名付けた。そもそものルーもいいが、プロが関わって、参加するほどでカレーのクオリティが上がる。あと1−2ヶ月で完成予定。
これを始めてびっくりしたことがある。いろんなプロから、声がかかるようになった。豆乳屋さんがきたり、ケーキ屋が何か一緒にできないかと声をかけてきたり。ケーキ屋さんであれば、メレンゲとか?何ができるかわからなかったが、コロナになって料理のプロとコラボして、動き出したのがこの企画だった。
コミュニティ作り
ー「成長するカレー」へのプロの関わり方は、コミュニティ作りに通じる。今までに「コミュニティ作り」をやったことはある?
「お店作り」は、それに近いと思う。「いいお店を作ろう」という「店作りへの思い」に共感する人が集まった。
(今まではオフィス街にお店があったが厳しいと聞いた。これからはオンライン?これから大事にすることは?)コロナになって、飲食店どうしよう?ウーバーイーツ?デジタルトランスフォーメーション?ゴーストレストラン?などなど、いろんな単語が飛び交って、どこに進むかわからない状況となった。
そんな中で、ここじゃないか?という方向が、実は見えてきた。結局、飲食業は「リアルが全て」である、ということ。リアルの人同士がそこに集ってごはんを食べる、ウーバーイーツで食事は届くが気持ちはつながれない。
これからの時代の飲食店とは
そんな中で、同時に「ネット上にお店の存在を示すこと」が大事だと思う。今までの飲食店とネットは「食べログ」の点数を上げるとか、店の前を通った人が検索して知っている人が覗くとか、インスタ映えしていたとか、誰かが何かでいいって言ってからきた、という感じだった。
しかしこのご時世、普通にお店をやっているだけでは、誰にも知ってもらえない。インスタで誰かがいいと言っていた、店の前を通ってネットで調べてもらってくる、も大事。しかし、それ以上に「ネット上で存在すること」が大事だと思う。
今まではインスタ映え、だから行ってみたい、だったが、これからは、思想と哲学がネットにのっていること。その飲食店が何を大事にしているのかを載せて、共感してもらうこと。楽しい雰囲気でもなんでもいい。店をやる時の「テーマ」や「一番大事なこと」をネットで表現し、見た目だけでなく考え方を出す。それを見た人が、いいなと思って来る。ネット上だけでなく、リアルにも、世の中にも、伝わっていくイメージ。そうして作られるリアルなつながりが、全て。
ー「北新地キャンプ」の思想は?
「栄養満点」。素材にもこだわり。塩も、精製塩より海の塩の方が、カリウムやカルシウムが多く含まれ、うつ病になりにくいなどの効果がある。そういう食事を出す場所。(「北新地キャンプ」とは○○なところ、の○○と言えば?)必死に考えている。「○○な店にならねば」ということに、コロナで気づいた。
第12回ゲスト 小野雄慈さん
会ったことがあるのは2度だけの、仙台在住の書道家の小野雄慈さん。まんたろうさんの紹介で「北新地キャンプ」のロゴを書いてもらった。小野さんの字が格好いい。
小野さんは、字が素敵でかつ、それを仕事につなげるのが上手。小野さんは実業とアートのバランス取れている。まんたろうが紹介してくれて、喋ったことないのにお願いした。
「北新地キャンプ」のロゴを小野さんにお願いした。書道家なので簡単に書けると思っていたら、2週間待ったところで「見えてきたので、あと1週間待って欲しい」と言われた。そしてできたものが、そのまま格好よかった。
MC後記
「軸がコロナではっきりした」…そんな印象を受けました。
「栄養満点」な「北新地キャンプ」をやっていて、創業4年で過去最高の売上が出たところでコロナに見舞われ、過去最低に。でも周りの飲食業仲間を見回すと「このタイミングでお客様に対して何ができるかを、前向きに考え」ていることに気づき、自分も「成長するカレー」企画を発案し動き出しました。そして結局、飲食業は「リアルが全て」であることと、「ネット上にお店の存在を示すこと」(=思想と哲学がネットにのっていること)。
今後の葦田さんがどう展開するか、「北新地キャンプ」とは○○なところがどのようにはっきりするのか、楽しみです!