絶えたリレー(追悼谷川俊太郎)

谷川俊太郎が亡くなった。2024年11月13日午後。92歳。訃報を知ったのは19日。空が青い日だった。

彼の詩は初冬のイメージがする。
青みがかった透徹さのせいだろう。

朝のリレーの朗読音源をもっていた。
息子さんのピアノと女性による英語、日本語の朗読がついたもの。ご本人の朗読もあった。詩から聞こえるボイスよりかわいらしい声で、ああ、ふつうの肉体をもった、ひとりの人間なんだなとおもった。

朝のリレーのオマージュをおもいついたのでメモしておく。子供のラップみたいなものだ。洗練とは程遠いけど、最近の気持ちではある。

絶えたリレー

イスラエルの若者が
TikTokを観ているとき
ガザの娘は
瓦礫の下で家族と再会している
ニューヨークの少女が
微笑みながら寝返りをうつとき
ラストベルトの白人男性は
議会を占拠するため東へ向かう
この地球では
今日もどこかで朝がはじまっている

あなたは朝をリレーしていた
経度から経度へと
いわば交代で地球を守るのだと

眠る前のひとときXをみると
すぐ耳元で犬笛が鳴っている
それはあなたが送ったバトンを
ぼくが落としてしまった証拠なのだ


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