【めくるめく】神の姿をみたい
高校時代は数学と物理が好きでした。この世の事象が数式で表せる、そのような秩序が目には見えないけれど存在している、ということ、一見して独立して起きている複数の事象が実は数式で表現される関係で結ばれている、ということに夢中になりました。
たとえば、これはニュートン力学の基礎ですが、初速度uで等加速度運動をしている質点の時間 t 経過後の速度v は、加速度を a とすると v = u + at で 表されます。
これを区間[0, t] において t で積分すると ∫ v dt = ut + 1/2 at^2 となり、すなわち、時間 t 経過後の質点の位置を示す数式になります。
すごくないですか?
速度を積分すると位置(すすんだ距離)がわかるなんて! 世界はそのような数式で表される秩序に則っているのです。
数学においても、たとえば円周の長さを積分するとその円の面積が得られますし、球の表面積を積分するとその球の体積が求められます。長さ(1次元)と面積(2次元)と体積(3次元)は、積分やその逆の微分で相互に関係づけられているのです。
円とか球とかは、目にみえるように円とか球、とだけみてると気づきませんが、それらの間にはこんな「関係」があり、数式で表されることによりその「関係」までもが目に見えるようになります。
この世のあらゆる事象は、一見して独立して無秩序に起きているようにみえて、実は相互に秩序正しく関係しながら(数式で表される関係をもって)発現している。そうであるならば、数式はこの世を成り立たせる「神の姿」なのではないのか。そういうことを解き明かすのが物理学であり、数学であるとすれば、それらの学問は「神学」なのではないか。「万物は数である」といったピタゴラスは、まさにそのことを意図していたのではないのかっ?
まあ、そこまで哲学的に考えているわけではないですが、見えなかった「事象間の関係」が数式によって見えたとき、パズルが解けたのとまったく同じ喜びがあります。
そのような数学を楽しむ動画は動画投稿サイトにたくさんアップロードされていて、夜寝る前によくみています。休日にはたまに灘中学校の算数の入試問題に取り組んだりしています。いくら最難関中学といえども小学生が解く問題だから自分には解けるだろう、なんなら三角関数とかベクトルとかを使ってでも解きたい、と思って解き始めるのですが、まーっっったく歯がたちません。
こんなに驚異的な難問を解く小学生たちには、将来は「神の姿」をより明らかなものにしてもらいたいものです。