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ゲームマーケット2024秋 出展に至るまでの軌跡

お初にお目にかかります。
りんご(遺伝子組み換えでない)です。
(気分屋なので他にも多数の名を名乗っています)

先日、ゲームマーケット2024秋に「GEMRIS」という作品で初出展させていただきました。
折角の機会なのでボードゲームを作成し、出展に至るまでの経緯を書き連ねてみようかと思います。何番煎じだといった感じですが、今後ボドゲを作りたいと思っている方の参考になれば幸いです。

なお、所謂「出展レポ」ではなく「出展に至るまでの軌跡」なので、イベント当日以外のこともたくさん書いています。当日のことを知りたいなら目次から「3 ゲームマーケット当日」まで飛んでください。

ちなみに「GEMRIS」は現在通販の準備をしているぞ!!!!!!
気になる人はTier-4 GamesのXアカウント(
@Tier4_Games)を要チェックだ!!!!!


1 はじめに

1-1 サークル紹介

まず、私の所属しているサークル「Tier-4 Games」について軽く紹介させていただきます。

サークルロゴ。かっこいい。

「Tier-4 Games」は学生時代の友人同士で結成されたインディーズゲーム製作サークルです。現在アクティブに活動しているのは私含めて3人。
私は名目上サブリーダーですがぶっちゃけサブリーダーらしいことはしていないので名目上の意味くらいしかありません。
後はリーダー兼プログラマと上記のロゴを作成してくれたデザイナーが居ます。

1-2 ボードゲームの作成開始に至るまで

2023年1月、我々は処女作のデジタルゲーム「ShipSwing」をSteamでリリースし、次回作の構想を考えていました。
https://store.steampowered.com/app/2134670/ShipSwing/

Tier-4 Gamesの初作品、「ShipSwing」
惑星の重力を利用して進むアクションゲーム

普段からボドゲをよく遊ぶ私とリーダーは、前々からボドゲも作りたいと考えていましたが、うまいアイデアが浮かばず、結局は「ShipSwing」のブラッシュアップをメインにのらりくらりと活動を続けていました。

時は過ぎ、2023年9月。私が学生時代にリーダーと考えていた「パズルで魔法を発動する」というデジタルゲームのアイデアが思い起こされ、それがボードゲームに昇華できるのではないかと気づきます。
そうして出来上がったのが、「GEMRIS」の原案でした。

なお、ここまで読んでいただいた方はお気づきかと思われますが、
・ゲムマは初出展だがゲーム製作は初めてではない
・ゲムマは初出展だが他のインディーズゲームイベントへの出展経験はある
ということを念頭にこの記事を読んでいただければ幸いです。

2 「GEMRIS」の作成

2-1 ルールの決定

最初に作ったテストプレイ用のカード達

作ると決まれば話は早く、私はルールの原案をまとめたPDFを作成すると、ホームセンターでペーパーカッターを購入してテストプレイ用のカードを印刷&裁断し、すぐに遊べる状態に。

そしていよいよリーダーと対面で初めてのテストプレイ。プレイを終えた直後、私とリーダーは口をそろえてこう言いました。

「つまらん!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

そうです。つまらなかったのです。
最初にルールを発表したときは私もリーダーも、別でゲーム製作をしている友人も、皆「面白そう!」となっていたのに、です。
いざ実際に遊んでみると、とてつもなくつまらなかったのです。クソゲーだったのです。それはそれは言い訳のしようもないくらいに。

しかしこれは最初のテストプレイ。すぐにリーダーと共にブラッシュアップに入ります。「面白そう!」となるということは、「面白い!」に変わるポテンシャルがあるということです。

その後は幾度となくルールを変え、日を変え、人を変え……最終的にルールが確定したのは2024年6月でした。原案から9か月。かかりすぎだろ。

2-2 デザインの作成

突然ですが、我々Tier-4 Gamesのモットーは「やりたいこと全部やる」です。

デザインやイラストというのは外部委託するケースが多いと思われます。
最近ではイラストはAIに出力してもらうパターンも多いでしょう。
ですがTier-4 Gamesは非常に恵まれたサークルです。
たった3名にも関わらず、イラストが描ける人間と、デザインができる人間が揃っています。

ならば全て自分たちでやろう。ということで、GEMRISのデザインは全てチーム内で作成しています。
カードやボード、箱のデザインは、デザイナーが文句のないものを用意してくれました。(しかも普段ボドゲをあまり遊ばない人間であるにも関わらず)
イラストは絵師さんに依頼予定だったのですが、リーダーの「いや俺がやる!」という力強い立候補により100%チーム製作となりました。
おかげで意見を出しやすくなりましたし、リーダーもしっかりと答えてくれました。特に魔法のイラストはとても映えるものになったと思います。

一方で2人には途轍もない苦労をかけてしまいました。特にこだわりがないのであれば、依頼できる人に依頼するのが吉でしょう。

私が何もしていないように見える? はは、まさか。

2-3 印刷業者の決定

ボードゲームを作成するに当たって何よりも重要と言っても過言ではないもの。それが印刷業者です。

まず、ボードゲームを作ると決めた時から、コンポーネントにこだわることは決まっていました。
ボドゲを買ってもらうならコンポーネントが命だと考えていたからです。箱を開けて豪華なコンポーネントが出てきたらテンションもあがるというものです。

そこで私たちが最終的に製作を依頼したのは、JELLY JELLY PRINTさん( https://jelly2print.com/ )でした。

2024春のゲームマーケットへ印刷業者の選定を主目的に遊びに行ったところ、JELLY JELLY PRINTさんのブースへお邪魔した時に「ゲーム作るの? じゃあサンプルあげます!(本当にタダでくれる)」とか「だいたいなんでもできるよ!」とか圧倒されたのもありますが……ブースに展示されていた数々のコンポーネントが、どれもこれも非常に魅力的だったからです。

ちなみに「だいたいなんでもできる」というのは本当のようで、GEMRISのボードはダブルレイヤーかつ分割ジョイント式という中々な仕様なのですが、全く苦言を呈すことなく当然のように見積もりが返ってきました。謎の暴力を受けた気分でした。
さらにその見積もりが想像よりも遥かに低価格でダブル暴力でした。

そんなわけでこれから凝った仕様のボドゲを作りたいとお考えの方はJELLY JELLY PRINTさんを強くお勧めします。あれ? いつの間にか宣伝記事になってるな。

2-4 実際のスケジュール

我々のゲームマーケット出展に至るまでの大まかなスケジュールを残しておきます。
これから動こうと思っている方の参考になれば幸いです。

2023年9月 ルール作成開始
2024年4月 ゲームマーケット2024春 見学
2024年5月 JELLY JELLY PRINTさんとの相談を開始
2024年6月 ルール確定
2024年8月 データ入稿、サンプル作成開始
2024年9月 サンプル到着
2024年10月末 製品版到着
2024年11月 ゲームマーケット2024秋 出展

……上記を見ていただけるとわかるかと思いますが、製品の到着がゲームマーケット開催(11/16,11/17)の約2週間前。かなりギリギリです。
今後出展をお考えの皆様はもっと余裕を持って動くことをお勧めします。

3 ゲームマーケット当日

3-1 1日目


1日目のブース

いよいよ迎えたゲームマーケット1日目。
一般出展の入場は8時からだったのですが、概ねちょうどくらいの時刻に到着。
過去の他イベントの出展経験もあり、ブースの設営は必要な荷物を持ったリーダーが遅刻したことを除けば順調に完了しました。

試遊卓ありのプランで申し込んでいたので、半分は試遊スペースにし、もう半分には箱を積み上げるのと展示ラックを使ってカードとボードを展示。
タペストリーはブース後ろに掲示予定でしたが、展示ラックにうまいこと引っ掛けられたので後ろはポスターに変更。
ちなみにタペストリーとポスターはいつもラクスル( https://raksul.com/ )さんにお世話になっています。

また、新作ゲームの展示用サンプルもしっかりと提出しておきました。

当日の体制は私、リーダー、手伝いに来てくれた友人の3人。
ある程度イベント慣れしているとはいえ、今までのイベントとは毛色が違う場所なので緊張感が漂います。

そして時刻は11時。大きな拍手とともに、ゲームマーケット2024秋が開幕しました。
我々のブースは午前入り口からそれなりに遠い場所だったので、すぐには賑わいませんでしたが、数分経つとチラホラと来場者の姿が見えるようになってきます。

そんな時でした。

「ひとつ下さい」

スタスタとこちらに歩いてきた方が、一切の迷いなくそう言いました。

「え? あ、はい。2000円です」
「はい」
「ちょうどですね、ありがとうございます」

そうしてその人は颯爽と去っていきました。ゲムマ開始から約15分。たった数十秒間の出来事でした。

売れた。
こんなにもあっさりと。

その後も、事前にXや公式サイト、もしくは展示されているサンプルを見てくれたのか、ブースに来るや否や「ください」と言ってくれる人。
「どんなゲームなんですか?」から入り、軽いインストをすると「面白そう! ください!」と言ってくれる人。
実際に試遊して、「面白かった! ください!」と言ってくれる人。

パターンは様々ながら、ありがたいことに予想していたよりも圧倒的に多くの方に手に取っていただくことができました。

3-2 2日目

2日目はデザイナーがホワイトボードを描きなおしてくれました。

そして2日目。
この日は1日目の3人に加え、デザイナーが合流して4人体制での対応となりました。

残念ながら、2日目は1日目ほどの売上を出すことはできませんでした。
ブースの前を通り、コンポーネントに興味を示しはするものの素通りしてしまう人。ゲームの説明を聞いてはくれるものの、購入までは至らない人が目に見えて増えたのです。

これはある程度予想できていました。
ゲームマーケットに来て財布の紐がゆるゆるになるような人は、土曜日に来て次の日曜日には自宅で遊び倒すケースが多いだろうと思っていたからです。私がそうなので。

ゲームマーケット公式の出している情報を見てみても、1日目と2日目を比較すると1日目の来場者数が目に見えて多いです。(2024秋も1日目が15000名、2日目が11000名と実に4000名の差がありました)

ただ、やはりというか、多少のショックはありました。なにせ1日目で予想以上に調子が良いという経験をしてしまっているのですから。

そんな中でも少なくない皆様にご購入いただけたのは、とても励みになりました。
「検討します」と一度離れていった方が戻ってきて購入してくれた時は、本当に嬉しかったです。

3-3 売上個数

さて、皆様が気になっているのは肝心の売上個数でしょう。
今回初出展のゲームマーケット2024秋。「GEMRIS」の売上個数は下記となりました。

1日目:43個
2日目:17個
合計  :60個

……皆様の思い浮かべているイメージと比べて、どうでしたでしょうか?
私は初出展で60個というのはかなりの大成功だと考えています。

自分で言うのも悲しいのですが、我々Tier-4 Gamesは無名のサークルです。
そんなどこの馬の骨とも分からない集団の作品がたった2日で60個も売れたのです。我ながら誇らしいことではないでしょうか。

私は元々、ゲームマーケットでは日に10個を超えられれば万々歳だと思っていました。印刷でお世話になったJELLY JELLY PRINTの方も、「初出展の人は売れて5個とか10個」というお話をされていました。

結果として見ると、失速したと感じていた2日目でさえその目標に軽く達しています。改めて、手に取っていただいた皆様には感謝が絶えません。

勿論、数多の反省点はありますが、ありがたいことに初めてのゲームマーケット出展はとても満足のいく結果となりました。

4 所感

4-1 良かったと感じた点

①自分たちの力でボードゲームを完成させた
今更何をと思われるかもしれませんが、これを書かないことには始まりません。

インディーズゲームが珍しくない昨今とはいえ、そもそもゲームを完成させるというのは簡単なことではありません。過去にも1本ゲームを出しているからこそ、その重みは分かっているつもりです。

今回の「GEMRIS」も、ここに至るまではかなりの苦労を必要としました。
その過程でサークルメンバーにも多くの迷惑をかけてしまいました。

しかし、それでもやり切って憧れのゲームマーケット出展を果たしたのは、十分誇れることだと考えています。

皆もボードゲーム作って自己肯定感、上げよう!

②コンポーネントを妥協しなかった
予想以上の個数を売ることができたのはこれが一番大きいと思っています。

GEMRISには「自分たちならこれが箱から出てきたらテンション上がる!」と思う仕様をとにかく盛り込みました。
ボードのダブルレイヤー、カードのエンボス加工、アクリルジュエル……特にアクリルジュエルに関しては、JELLY JELLY PRINT様からチップをお勧めされても貫き通しました。綺麗で好きなので。

2-3項でも述べた通り、ボードゲームではコンポーネントが命だと考えています。実際会場で触れていただいた皆様の中にも、コンポーネントを見て興味を持っていただいた方が多数居ました。

コンポーネントはこだわればこだわるほど良い。これは今後ボードゲームを作るとしても変わらないと思います。

ちなみに1日目終了後にJELLY JELLY PRINT様のブースに挨拶に行った際、「初出展にしては無茶ぶりしたね?」と言われました。
初めて作成するボドゲでここまでこだわるのは少数派なようです。

4-2 もっと良くできると感じた点

初めてで完璧にできるわけがありません。
今後に生かせるであろう反省点を備忘録的に綴っておきます。

①ブースはもっと派手にしていい
今回、カードの展示のために段ボールの展示ラックを購入しました。

展示ラックの選定にあたって、もっと大きいものも候補に挙がっていたのですが、初めてこういうものを購入するためサイズ感がわからず「流石に大きすぎないか?」と思ってこちらを購入しました。

が、実際のゲームマーケット会場で他の方々のブースを見て「しまった! もっと派手にするべきだった!」と思ってしまったのです。
頒布するものがゲーム1本だけとはいえ、周りのブースに圧されて、結果的にこじんまりとした印象になってしまったように思います。

ゲームマーケットにおいては、装飾品は自分のブーススペースからはみ出してはダメで、卓上に置ける什器や掲示物は70cm以下に制限されています。逆に言えばその範囲ならいくらでも派手に飾り付けられるのです。
今回は「まずブース設営で魅せる」という意識が足りていませんでした。

②チラシなどの配布物を用意していなかった
「ShipSwing」を出展したイベントではしっかりとチラシを用意していたのですが、今回は「ブースで直接販売するイベントだし……」と考えてチラシの用意を怠っていました。

が、これが致命的な間違いでした。

ゲームマーケットには「チラシ置き場」が設けられています。つまり、ゲームマーケットにおけるチラシは「ブースから離れずに宣伝できる方法」なのです。

更にはブースに来た方でも「チラシあったら貰えますか?」とおっしゃられた方が多数居ました。
これはどういうことか。「購入まで至らなかった人でもチラシを渡すことで記憶に残せる」ということです。
チラシを渡しておくと将来通販で出したり、次回のゲームマーケットで再度出展したりした時に「あ、前チラシ貰ったところだ!」と思ってもらえるのです。もしかしたらそのまま「今度は買ってみよう」となるかもしれません。

チラシの作成はそんなに高くありません。今後出展される方は、必ずチラシを用意しておくことをお勧めします。

③2人専用のゲームだった
頒布したゲームそのものを根本から否定するようなことを書くのは心苦しいのですが……今回出展したGEMRISは2人専用のゲームでした。

ボードゲームの需要は3~4人ほどに固まっています。次点で5~6人、2人専用の需要はその次かさらにもう1つ下くらいでしょうか。

決して需要がないものではありませんが、それでも比較的需要が低いということは否めません。

実際、ブースに来てくれた方々も、「面白そうだけど……2人用かぁ……」という反応が目立ちました。興味を示したものの立ち去っていった方々の中にも、4人用であれば購入してくれた人が多数居たことでしょう。

さて、捻出しようと思えばまだまだいくらでも反省点を書けそうですが、キリがないのでそろそろ〆に入ります。

5 終わりに

気が付けばかなり長くなってしまいました。右上の文字数が7000文字を超えています。こんなに文章を書いたのは久しぶりです。

こんな駄文にも関わらずここまで読んでいただき、感謝の念に堪えません。
これからボードゲームを作りたいと思っている皆様の参考になれば幸いです。

Tier-4 Gamesはこれからもデジタル・アナログ問わずゲーム製作の活動を続けていきます。
これからも気が向いたらゲーム製作に関する駄文を投稿するかもしれませんので、よろしければフォローしていただけると嬉しいです。

そして最後に改めて……

今回出展した「GEMRIS」は現在通販の準備をしているぞ!!!!!!
気になる人はTier-4 GamesのXアカウント(
@Tier4_Games)を要チェックだ!!!!!

GEMRIS、買ってね!!!!!!!!!!

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