演劇入門のうた

始まりは祭事
風俗化した宗教
文化化した宗教

個人の自覚
自分は他人とは違う
他人と違わねば存在理由はない
演劇が衰退し小説の時代になった

演劇は孤独になれない
劇場で疲れた個人意識を死なしめ
新しく力強い個人意識を獲得する

俳優の演技は芸術ではない
観客の内に起こる共振が芸術たりえる

目に見える何かではなく
それを見ることで
精神の運動が喚起されることが重大

自分が主役になりたくて
あらゆる芸術に関する活動で
みんな独りよがりに心を閉ざし
自己陶酔にふけている

映画では観客は
製作者がフォーカスするものを
忠実に見なければならない

演劇は孤独を棄てて
連帯感を求めて見るもの

映画では役者は
監督の創作物として
バラバラの時空間において
部分を構成する

戯曲はせりふ文学
劇は戯曲の上に組み立てられる
せりふは外面しか表さない