読書感想文 『ビジネスの限界はアートで超えろ!』
読む前
後輩に勧められて読んでみた本。
デザイン思考のことを勉強し、デザイン思考はあくまでも一つのツールであることに気づいた先に、アートの考え方があるのだと思う。
デザイン思考は、あくまでも課題解決の手段の一つなので自分らしさの
表現が希釈されやすく、役に立っているという自己効力感を得ることは
できるが、"自分らしく" 社会に貢献できているか、を感じ得ることは
難しい。
最近よく思うのが、企業活動でも、人間関係であっても自分らしく
なければ、他の人に代替できるのではないか、と感じる。
つまり、一般的な良さ・一般解をアウトプットし続けている限り、
自分の価値は相対的に上がらず、AI で処理できる問題となる可能性もある。
その人の価値や、その企業ならではの価値というのは、それが積み上げて
きた経験や知見にあるのだと思う。
気づき
アートは、感性と論理性、それぞれを往復し続けることによって成しえる業
であるということ。
つまり、感性だけで書いたものは、人に伝わらないかもしれないし、
論理性だけで描いたものは、単なる模写になるかもしれない。
その両方がブレンドされていてこそ、アートとして人の心を動かすのだと
思う。
個人的に思っていることは、
すべての創造物が、感性⇔論理性 という軸上にあったとすると、
感性多めが アート、論理性多めが デザイン なのではないかということ
である。
厳密に言うと、この2つを分けること自体ナンセンスなのではないか、
と思う。
例えば、オペラハウスは多くの人を魅了するアート的な建築物であると
同時に、コンサートホールとしての利用を考慮し創られている。
また、感性があるということは、感じることができるということなので、
抽象的に捉えることができるということである。(インプット)
また、論理性があるということは、説明できるということなので、
言語化できるということである。(アウトプット)
つまりアート能力がある人、というのは、
・抽象的に捉える能力がある人(インプットができる)
・言語化能力がある人(アウトプットができる)
といえるのではないか。
インプットだけが多くても、アウトプットしなければ何も生み出せないし、
アウトプットだけが多くても、内容が無ければ人の心は動かない。
こう見ていくと、ビジネスパーソンと共通するものがあると思えてくる。
知識が多いが、頭でっかちで何もしない人、
喋りや行動はあるが、内容には疑問がある人。
つまり、抽象度を上げていくと、アートとビジネスは同じ概念なのである。
ここで、本のタイトル『ビジネスの限界はアートで超えろ!』の本質に迫りたいと思う。
なぜ、ビジネスをより良くしていくために、アートが必要なのだろうか。
それは、現状のビジネス的考えが、論理に大きく傾ているからではないか。
確かに論理は分かりやすい。(分かりやすいのが論理なのだが)
成功の法則や、失敗の法則が世の中にはごまんとあるが、それぞれ個別ではは理解できるものが多いだろう。
これは仮説だが、インターネット以前の時代では、それらの情報は
一部に限られていたし、手に入れるコストが高かった。
しかし、インターネット以後、情報は低コストで手に入るようになった。
(それによってキュレーターの存在感が増していることは肯定する。)
つまり、論理的に正解を導く方法が誰でもわかるようになった。
これは、冒頭でも述べたように、一般解が導かれたともいえるので、
普通の答えは、相対的に価値が下がる。つまり、低価格となる。
となると、低コストで生産できるチームが勝つゲームとなるため、
先進国である日本にとっては不利な状況となる。
日本がゲームに勝つには、高くても売れる創造物 を生産する必要がある。
となると、相対的に価値が高いものとしなければいけないため、
希少性・真似できない価値を付加しなければいけない。
それはつまり、その人や企業が積み上げてきた知見・経験である。
知見・経験をトレースしようとした場合、何十年と時間がかかることになるため、戦略としては遅すぎるし、時代や環境が違うため、再現性が
あるかどうかも分からない。リスクが大きすぎて手を出せない。
知見・経験は、何を見た、聞いた、感じたかの集積であることから、
インプットの結果ともいえる。
つまり、個々の感性を活かしたアウトプットが必要となり、
それにこそ高い価値がある、ということが言える。
これこそが、ビジネスの限界を超えるためにアートを学ぶ理由なのではないかと思う。
やること
いままで正解だと思われてきたこと、を一度置いて、自分が直感的に
オモシロいと思ったことにトライし続ける。
アート、僕の身近なところで言うと音楽、を言語化する訓練をする。
その結果、周りや社会に良い影響を与えられたら良いなと思う。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?