New Zealand北島 2009フライフィッシング旅
2009.8.9.sun.~22.sat. Lake Taupo, Tongariro River
お盆休みを利用して、真冬のニュージーランド北島へ、湖から川へと産卵のために遡上する、弾丸レインボウトラウトを狙いに出かけた。
夕方、成田を出発して9時間、翌朝オークランド空港に到着。東京は気温30度で湿度が80%という、不快指数100%だったのが、オークランド空港を出ると冷んやりとした空気に包まれた。す、涼しい、、、っていうか寒い。ああ、嬉しい。
オークランドからは国内便で、タウポまで飛べると楽なのだが、航空運賃を節約するためレンタカーで500km南下し、北島のまん中に位置するツランギへ。さすがに最後の100kmは運転手の店主も、お疲れモード。気力だけで走る。
自宅を出てからほぼ丸2日間かかって、ようやくステイ先のGraham宅にたどり着いた。
思い起こせば15年前、初めて訪れたここツランギを流れるトンガリロリバーの河原で、Grahamおじさんに「釣れたのか?」と声を掛けられて以来のお付き合いだ。
あれ以来、すっかりトンガリロやレイクタウポでの釣り、ニュージーランドの居心地の良さに魅了され、通い続けることに。なかなか一筋縄ではいかないところが、次こそはいい釣りを、、、と病み付きになってしまうのだ。もちろん、尊敬すべき釣り人Grahamおじさんと一緒に釣りができることが、楽しみのひとつでもある。
ミルクティーをいただいて、落ち着いた後、ツランギ ビジターセンターでフィッシングライセンスを購入。
レイクタウポと、そこに注ぐ15本もの川で釣りができる1日券$16、1週間券$36、1年券$85。今回は、10日間の滞在なので1年券を購入。2010年6月末まで使用できる。。。。(また来なくっちゃ!)
1日3匹までキープでき、40cm未満の魚はリリースしなければならない。
N.Z.ではトラウト(鱒類)の売買が法律で禁止されているので、鱒は釣らないと食べられない。良いサイズが釣れると、タウポエリアではほとんどの人がキープしている。パンパンに太った産卵期の魚は、鮭の身のように美味しいのだ。
先々週に降り続いた雨で、魚は一気に湖のインレット(川の流れ込み)に集まり、遡上。先週は、湖、川ともよく釣れていたらしい。Grahamは、湖のインレットで4日間で22匹釣り、そのうちの11匹をキープ。昨日、6匹を自宅のスモーカーで薫製にしたそうだ。
ディナーのスターターに、そのスモークトラウトとアボカドをのせたカナッペを出してくれた。美味っ。メインは、チキンキャセロール、デザートはチョコレートケーキ&アイスクリーム。おじさんの元同僚Loisも一緒に、賑やかな夕食。ボリューム満点で、2日間の移動の疲れも吹き飛ぶ。暖炉には火が赤々と燃えている。2年ぶりのツランギ、Graham宅だが、つい先月も来ましたっけ?と錯覚するほど、早くもまったりと寛ぎモード。
Grahamに料理してもらったので、私たちで食器を洗って、9時には早くも就寝。
さあ、明日から釣るぞお~っ。、、、、ガフー。(店主のいびき)
8.11. 火 釣り1日目 曇り 気温3~10℃ 寒っ。
朝7時半までぐっすりと寝て、お茶を飲み、ポリッジ(オートミールをお粥状に煮たもの)で朝食。
すぐにボートを引いて、レイクタウポに出陣。
トンガリロリバーのインレット(リバーマウス、河口の意味)、通称「デルタ」のメインマウスに向かうも、湖面は白波が立っていて風が強そうだ。
手前のファーストマウスの駆け上がりにボートを留めるが、川からの流れがほとんど無く、水が動いていない。あきらめて、発電所からの放水が駆け上がりを作っている通称「ホール(穴)」に移動。
ボートからキャストして、ちょうど15~10m付近の駆け上がりを狙える位置にアンカーを降ろす。この位置決めが、ここの釣りでの釣果を決める重要なポイント。Grahamは、今年に入って初めてのホールでの釣りだそうだ。ホールよりも、新鮮な水がじゃんじゃん流れ込むデルタのほうが、第一級ポイントなのだ。
9ft #8ロッドに、シューティングラインのシンキング9番タイプ4 というタックルシステム。ティペット0Xを1.5mほど直結し、強力な浮力のグローバグを結ぶ。そのフックにさらに30cmほどティペットを結び、白いブービーフライをつける。
速く沈むシンキングラインでフライを沈め、藻の上をずりずりとゆっくり引いてくる。水底には藻が生い茂り、エビやカニなどの甲殻類や、ワカサギに似た小魚「スメルト」をトラウトたちは食べているのだ。
フライを思い切り遠くまでキャストして、待つこと3分。ようやくフライが水底にたどり着く。それから、ゆっくりとラインをリトリーブしてくる。
Grahamがファーストキャスト。背が高いこともあるけれど、おじさんのキャストは驚くほど遠くまで飛んで行く。3人で順番にキャストし、フライを沈める。
早速Grahamにヒット。さすがレイクタウポのマスターだ。ロッドはぐんぐんとしなっているが、寄せてくると40cmぐらいのレインボウだったので、ランディングネットは使わずに、水の中で魚の口からフックをはずしてリリース。小さいとはいえ、銀ぴかで丸々太ってるし、芦ノ湖あたりなら立派なサイズ。やっぱり、スケールが違うのだった。
いいなあ、、、。と思いながら、ラインをゆっくりとリトリーブしていると、くっと重くなるアタリ。すかさずロッドを立て、ラインを思い切り引っ張ってフッキングさせる。8番のロッドがぐいぐいとしなった。
きゃほー。よしよし、順調に最初の一匹だ。ラインをリールにぐりぐりと巻いて寄せてくると、思った以上に立派な銀ぴかレインボウだった。まるでアトランティックサーモンみたいな魚体(釣ったこと無いけど)。これはしっかりとキープ。今晩のお刺身用だ。
よし、よし、出足好調。。。今回はバンバンつれるかな。と期待したのもつかの間、店主はぽけっとしていて、せっかくのアタリを取り逃がす。ラインを沈めているうちに、竿先がつんつんと動いていたのに、見ていなかったのだ。
その後、店主と私に1回づつアタリがあったが、フッキングせず。
午後1時まで釣って、ランチに戻った。
ランチは、フランスパンに昨夜の残りのチキンキャセロールをのせて。美味っ。
週末に向けて天気が崩れる予報だというので、「釣れる時に釣っておこう」ということで、午後はトンガリロリバーへ。
アクセスがしやすい上流部のブループールへ行ってみることに。
レイクタウポに流れ込む川の中で、一番規模が大きく、懐が深いのがトンガリロリバー。湖から遡上してくる魚は、大きな深みのある場所(プール)ごとに移動して、上流をめざす。なので、だいたい各プールごとに釣り人みんなで魚を狙うことになる。
大物が釣れる川なので、地元ニュージーランドはもちろん、オーストラリア、アメリカ、ヨーロッパからも釣り人達が訪れる。私たち日本人も。
みなで公平に釣りができるように、ルールが決められている。ウェットを流す場合は、先に入った人より上流にはいる。ニンフの場合は逆。要するに、先に入った人の釣った後を釣る。
先に釣った方がもちろん有利なのだが、そこは懐の深い川のこと。川は広いし、魚の数は多いから、みんなで釣っても十分釣りになるのだ。
トンガリロリバーでは、各プールには名前がついていて、公式の川の地図に載っている。各プールにアクセスする車のパーキングには、ポイントMAPの看板が立っていて、非常にわかりやすい。
ブループールに向かう途中の、レッドハットブリッジのパーキングには10台ほどの車が止まっていた。ブループールには3台、あまり釣り人はいないようだ。プールのかなり下流部で3人ほどニンフを流していたので、上流からウェットを流す。
ウェットのシステムは、湖とおなじく9ft #8ロッドに、シューティングラインのシンキング9番タイプ4。そこに1.5mほど1Xのティペットを直結、サーモンフック#6に巻いたオリーブのウーリーバガーを結ぶ。
対岸に向けてキャストし、ラインを出しながら流れにまかせる。ラインとフライは流れながら沈んでいく。魚はだいたい底のほうについているので、フライが沈んだらラインを張る。するとフライは流れを横切り、魚の目の前を通過したときに、魚がフライをくわえるので、ラインににぶい重みが伝わる。そしたら、ラインをおもいきり引いてフッキングする。
一番良い深みのあたりにフライが通過した時、一瞬、根がかりのようなラインがくっと重くなるようなアタリ。すぐに軽くなってしまったのだが、後でそのポイントをよく見たら、深みの中に大きな魚影がっ!そこには岩など、フライが引っかかるものがなかったので、さっきのは魚のアタリだったかも。。。もっと、しっかりアワセておけばよかった。いつもの後悔先に立たず。。
上流から釣り人を二人釣れたガイドが降りてきた。手には立派なレインボウが2ひき。魚は一応、川には上がってきているようだ。小一時間ほどウェットを流してから、Graham宅にもどった。店主にはアタリすらなかったらしい。
Grahamが5時頃から、暖炉に火をいれてくれた。川で冷えた体を暖める。
ディナーは、スターターに今日、湖で釣った魚のお刺身きれいな赤身で、こりこりの食感。鮭のお刺身のようだ。メインは、ローストポークのアップル添え。ポテト、ニンジン、カボチャ、里芋に似たパースナッフ。外側のカリカリに焼けた脂身が、香ばしくてこれまた美味。 デザートはLoisが焼いて来てくれたチョコレートケーキ&アイスクリーム。ふ~、もう食べられない。
お腹が満腹になった後、皆で「コロネイション ストリート」を見る。なんと1960年から続いているイギリスのホームコメディドラマ。火曜と木曜の夜放送されるのだが、GrahamもLoisもこの番組を毎回楽しみにしている。英語が分からなくても、ストーリーはなんとなく分かる。イギリス版「渡る世間に~OOO」てな感じ?
8.12. 水 釣り2日目 霧雨~曇り 気温3~10℃
朝から霧雨が降っていたので、これは今日は湖は無理かなと思いきや、東の空が明るくなってきたので、Grahamがボートを出してくれた。
湖面まで低くたれこめたような雲と、うっすらと差し込む陽射にきらきらと波が反射する。曇りの湖も、なかなか幻想的な風景でいいもんだ。昨日とは打って変わって、風が無く静か。デルタへと向かった。
メインマウスにはすでに1艘ボートが止まっていたので、3番目のマウスへ。流れ込みにボートを留め、釣り始めるとすぐにgrahamにヒット。銀色の太ったきれいな魚体だが40cmに満たないサイズなので、リリース。
「やっぱり、デルタは釣れるぞ。。。」と、期待したのもつかの間、その後はさっぱりと誰にもアタリなし。
いつの間にか、カレント(流れの筋)からボートがはずれてしまい、フライを流れにのせることができない。これでは釣れない。
2番目のマウスに移動し、先に釣っていたボートの横に入れてもらった。、、ら今度は、カレントの先で隣のボートのラインとおまつり(ラインが絡むこと)続出。あーあ、うまくいかないもんだ。先に釣っていたおじさんも、今日はまだアタリがないと言っていた。
デルタをあきらめ、トローリングしながらボートランプに帰った。100~120FTの湖底には、魚探への反応がかなりあった。雨が降らないと、魚が上がってこないということか。。。
ランチの後、トンガリロリバーの上流部「トラウトセンター」裏のビーチプールへ行って見た。一昨年は、おびただしい数の魚影が見え、よい釣りができたプールだ。店主はニンフ、私はウェットでトライしてみるが、アタリなし。手前の深みで魚影が見えた。さっき、一瞬ラインがすっと引っ張られたのは、アタリだったのか???
2週間前には、たっぷりと雨が降り続き、先週1週間は晴天続きでよく釣れたらしいが、魚はさらに上流部へ移動して一息ついてしまったのか。いつもながら、トンガリロの釣りはタイミングの難しいこと。ああ、雨が欲しい。。。
8.13. 木 釣り3日目 霧雨~ちょっと晴れ~曇り 気温3~10℃
昨夜からの霧雨で道路が濡れていて、空が暗かったので、湖のボートフィッシングは今日は無理かなと、皆遅い起床。
8時頃になって、東の空が明るくなってきたのでやぱりボートを出すことに。
ボートランプまで10分の道のり。近っ!途中、電力会社の放水口のゲートが3つ開いているのが見えた。ホールはきっと水が動いているにちがいない。これはいいかも。
デルタは波が高く断念、ホールで釣ることに。早速、私にアタリがあったがすぐにラインが軽くなり、その直後、店主にヒット!
今日は魚が回っているようだ。水深10m付近でフッキングさせているので、リールを巻いても、巻いても、なかなか魚が上がってこない。魚がボートの姿に気づくと、わーっと逃げようと走り出す。ようやくランディングしたのは、なかなかよいサイズのレインボウだった。
よし、よし、さい先がいいぞ!、、、と思ったら、これまたさっぱりとアタリが止まってしまった。昼まで釣って、ランチに戻った。帰りに放水口を見ると、すべて閉められていた
昼から太陽が顔を出した。
洗濯をして庭に干す。
隣のネコ「ポッター家のハリー」も顔を出す。
午後は、先日、車がたくさん駐車していたレッドハットブリッジへ。吊り橋から川をのぞくと、流れの中には魚影は見えなかった。数人がウェットやニンフで釣りをしていた。私たちもトライしてみるが、何も起こらず。。。。むむむ。。。
4時頃から霧が降ってきた。家にもどるとすっかり雨になっていた。
コーンドビーフのディナーの後、コロネイションストリートを皆で見る。
8.14. 金 釣り4日目 曇り~雨 気温3~10℃
今日から週末にかけて、天気が崩れる予報だ。昨夜からの雨で外は濡れていたが、雨は止んでいた。空も心なしか明るくなってきた。Grahamが空を見て、
「昼からは強い雨になる予報だぞ。」といって、水筒にお湯を入れ出した。おっ、これは出陣か?
昼までボートを出してくれることになり、デルタへ。
ファーストマウスに1艘、その隣にボートをとめる。メインマウスには2艘見える。
今日は、しっかりカレントに乗って、フライをリトリーブすることができるのだが、釣れてくるのは流木ばかり。
隣のボートで1ぴき、良いサイズが上がった。魚はいることはいるのか?
でも、いっこうにアタリなし。釣れるのはGraham、店主、私とも、流木ばかり。魚がかかる前にフライを流木に引っ掛けてしまったら、釣れるわけがない。
遠くから、白い壁のように雨雲が迫って来た。
しばらくすると風が強まり、大波になってきた。
そろそろ、引き上げ時だ。
ボートランプには、メンテナンスのスタッフ達が看板などを修理していた。話をすると、先に上がった2艘も、全く釣れなかったらしい。
「Strange! なんかおかしいなあ。」とGraham。ボートをひいて家に戻る途中、雨が降ってきた。
これがいい具合に降ってくれることを、ただ祈るのみだ。
(過去に、雨が降りすぎて濁流になり、滞在中の1週間釣りができなかったことも。)
ランチの後、Grahamが去年1年間の釣果データを見せてくれた。
雨や風が強い日、用事がある日を除いて、ボートを出したのが146日。
トータル556匹をランディング。そのうちキープしたのが214匹。
魚が1匹も釣れなかった(オデコ)日は13日しかない。
今回の釣りでは、早くも2日もオデコ!
8月は、総じて雨や風が強い日が多いので、去年は7日しか釣りをしていないそうだ。
それを聞いてちょっとがっくりし、午後は昼寝をすることに。夕方までしっかり寝てしまった。。。。
夜はLois宅にディナーに招いてもらった。トンガリロリバー沿いの高級別荘地街でB&Bをやっていたが、現在は売りに出している。4ベッドルーム、2リビング、プール、ジャグジー付で$640,000、日本円で4200万円ぐらい。ツランギの住宅街なら、小さな一戸建てが600万円から売りに出ていた。
元プロのコックだけあって、Loisの料理の美味しいこと。(Grahamの料理もいつも美味しいけど)テーブルセッティングが素敵。カボチャのスープ。マッシュルームと焼いた香ばしいラムチョップ(もちろんポテト、グリーンピース添え)、デザートはオレンジプリン。
あんまし魚は釣れないけど、幸せな時間が過ぎて行く。。。。
8.15. 土 釣り5日目 雨 気温3~10℃
昨夜からは強い雨になり、屋根を叩く音がしていた。
朝になって、小雨なのでトンガリロリバーへ行ってみることに。国道1号線の橋からブリッジプールを見ると、なんと川は真っ茶色!
それでも土曜日とあって、4~5人が釣っていた。きっと遠くから来ているんだろう。でもこれじゃ、無理だろうなあ。。。
上流は、少しは濁りが薄いかと、トラウトセンター裏のビーチプールへ。ここもやっぱり、すごい濁り。水量も増えていた。せっかく来たので、一応ニンフとウェットでそれぞれ流してみる。。。。。やっぱ、釣れないよね。
禁漁になっている支流には、2匹ほど本流から魚が上がっていくのが見えた。
ランチにもどって仕切り直し。
トンガリロは無理なので、他の小さい川の様子を見つつ、タウポの街でショッピングをすることに。
Grahamは、午後から夜にかけて、大好きなラグビーの試合が3ゲームもTVで放送されるというので、今日は忙しいらしい。
タウポとツランギの中間にある規模の小さい川「ヒネマイアイア リバー」は、ほとんど濁りがなかった。おっと、これはいいかも。数年前に、やはり他の川がすべて濁流になってしまった時に、このヒネマイアでいい思いをした。
さて、ウェーダーを履こうかと思ったら、レンジャーがやって来て、
「やあ、こんにちは。どこか他で釣りをして来ましたか?」と聞かれた。
「午前中にトンガリロで。。。」というと、
「じゃ、タックルを消毒させて欲しい。すぐ済むからね。」と言った。
バケツに用意した消毒液に、ウェーダー、シューズ、ロッド&リールをジャボジャボとつけた。タックルがすっかり、塩素くさくなった。
ディディーモという、河川に異常に繁殖してしまう藻の繁殖を少しでも防ぐためだ。そのため、2008年よりニュージーランド全土でフェルトソールのウェーディングシューズの使用が禁止になった。アメリカの釣り場でもその傾向が強まっているらしい。私たちも、ラバーソールのシューズを用意して来ていた。
レンジャーのおじさんは、タックルを清潔に保つ方法が書かれたパンフと、「Check! Clean! Dry! 」と合い言葉が書かれたライセンスホルダーと、ボールペン、なんとキャンディをくれた。子供達にも分かりやすく浸透させるためだろう。徹底したPR作戦だ。シューズは特によく洗って、しっかり乾かすと菌が繁殖しないそうだ。
「じゃ、いい釣りをねっ!」といって、私たちを送り出してくれた。
久しぶりのヒネマイアイアリバーは、以前と比べてすっかり浅瀬になっていた。これでは、魚の付き場がない。少し深みのある場所をのぞいても、魚の姿は見えない。
所々で、フライを流すも、一向に釣れそうな気配なし。そのうち店主がブユに似たサンドフライに手の甲を5カ所もさされギブアップ。これにさされると、人によっては赤く腫れてしまい、かなりかゆみが残る。(ちなみに店主は、腫れるタイプ!)
「だーから、オレはこの川嫌いなんだー。」と悪態をつきつつ、タウポの街でおみやげ品などを買って、この日はおとなしく帰ったのだった。
8.16. 日 釣り6日目 曇り時々雨 気温3~10℃
午前中、少し濁りがとれてきたトンガリロの上流、ブループール、ボールダープールと探ってみるもアタリなし。
冬期にオープンしている最上流のウィティカウプールまで足をのばすが、今一歩。
川沿いの小道を歩いていると「キャッ ホッ ハッ」。という気の抜けた、小鳥の鳴き声。そうそう、トンガリロリバーでよく聴く声だ。「まあ、まあ、そうカッカせず。。。」と鳴いているようだ。
二組の親子連れもノーフィッシュ。
「Don't Follow me! I 'm going Fishing.」
(オレについてくるな!釣りをしてるんだ。)
という潔いコピーがプリントされたタイヤカバーの4駆の主も、手ぶらで戻って来た。
おかしいなあ。雨も降って、濁りもとれつつある、絶好のコンディションなのになあ。まだ上までは魚が上がっていないのか。。。
じゃ、下流へ行ってみるか。
ランチの後は、大人気のプール「ブリッジプール」から下のプールを探るべく、下流のパーキングに車を留めた。するとそこは10台以上の車がいて、すぐ下のプールでは何人もの釣り人が川に立ち込んでいた。
すると、川沿いの道を魚を下げて歩いてくる人が!おおっ、釣れてるじゃないの。
「くんくん、あっちの方向に魚が釣れそうな匂いがする。」
早速、その道を川沿いに下ってみた。ら、すぐによさそうなプールに出た。空いていたので、早速、店主とふたりでウェットを流す。。。。。反応なし。
さらに下流へ下ってみることにした。
川沿いの小道はかなり鬱蒼として、川からはちょっと離れていた。本当にこの道を進んで、釣り場に出るんだろうか。。。。10分ほどあるいただろうか、少し不安になって来た頃、店主の目の前に、黒いものがわっと飛び込んできた。
大きな犬だった。その飼い主は、よいサイズのレインボウを2本手にさげていた。
私がおもいきり、羨ましそうな顔で「いい魚ですねえ~。」と言うと、
「この先を下の方まで歩いて、坂を上がったところで川を渡って、次のコーナーがよく釣れるよ。」と教えてくれた。
持っていたタックルはニンフだった。
まあなんと親切な。きっと、地元のアングラーに違いない。これは、いいことを教えてもらったと、先に進むが、あたりはだんだんと薄暗くなってきた。こんなところで道に迷ってもなんだし、明日の朝、改めて目指すことにした。この先には、きっとパラダイスがあるに違いない。。。。
先ほどのパーキングに近いプールに戻り、暗くなるぎりぎりまで釣って行くことにした。
フライが流れきったところで、根がかりのような重みが伝わった。とりあえず、しっかりアワセる。、、、と。ラインの先がぐんぐんと動いていた。さ、魚だっ!
ああ、やっと川で釣れたあ~。逃してなるものかと、手早くランディング。浅いところに休んでいた魚のようで、産卵を終えて痩せた体だった。
その後も、同じあたりでヒットしたのだが、すぐにバラしてしまった。
やっぱり、下流のほうが魚影が濃かったか?もっとはやく、来てみればよかった?
明日の天気はどうだろうか?ボートが出なかったら、朝からランチを持ってじっくりと下流部を攻めて見よう。
長い滞在のようでも、残すところあと4日。そろそろ、良い魚を川で釣りたいものだ。
家にもどると、GrahamはTVでラグビーを見ていた。ディナーは友人が撃ってきたという鹿肉とマッシュルームのキャセロール。肉が柔らかい~。Loisがオレンジケーキを焼いてきてくれた。ディナーの後、皆でラグビー観戦(ルール、よく分かんないけど。)。
8.17. 月 釣り7日目 晴れ 強風 気温5~15℃
朝から強い風が吹いていたので、ボートは無理。
Grahamは、「最近の川の様子は、ここ2年行ってないから分からない。」と言った。
あのパーフェクトなロングキャストとロングドリフトが見られないのは少々、寂しい。「もう年だからさ。」とGrahamは言った。そうはいっても年間のほぼ半分は湖に出てるんだけど。。。それだけでも、十分すごいような。
川の様子は、刻々と変わっていく。数年前によかったプールも、浅瀬になっていたり、流れ自体が大きく変わってしまい、干上がって河原になってしまっていたり。その都度、ポイントを知る必要があるので、様子がわかるまでにどうしても時間がかかる。やはり、フィッシングガイドを頼むと、その時一番状況のよい場所に連れて行ってくれるので、時間のロスがないのだ。
でもやっと今日こそは、イケそうな予感がする。昨日教えてもらった下流のプールへ行ってみることに。水筒にお湯、ティーバッグ、マフィン、ビスケット、リンゴを持って、準備万端。
今日は魚が釣れるまで、帰らないよっ。
風は強いが空は快晴。今回はじめて、晴れやかな青空を見た。昨日、途中で断念した川沿いの小道をパーキングから歩くこと15分あまり。鬱蒼とした木々の間から視界が開けると、なんと、素晴らしく長く続く河原の広いプールがあった。対岸の岸際が深くえぐれているようだ。やっぱり、こんなところにパラダイスがあったのか。
すでに1人、釣り人がウェットで1本魚をあげていた。その先の下流のプールでも魚がかかっているのが見えた。早速、店主がウェットを流している人の後ろから流し出し、対岸の岸際から1~2mのあたりにフライが沈んだところでヒット!銀ぴかのぷりぷりに太ったレインボウだった。やっぱり、今日はいい日になりそうだ。まだアタリがあるというので、店主の前に入れてもらった。
対岸ぎりぎりまで、ラインがきれいにまっすぐに伸び、フライが落ちた。おっ、いい感じ、これぜったい釣れそう。。。と1mほどフライが沈みながら流れたところで、ラインがぐんと重くなった。待ってました!とばかりに、思い切りラインを引いてあわせる。と、バシャーン!と真っ赤な体色をしたレインボウが水面高くジャンプした。
やったー!魚は、下流に走りもう一度ジャンプ。
浅瀬に寄せてランディングした。体高のあるオスのレインボウだった。
ようやく、川で満足のいく釣りができたのだった。
河原でランチをとった後、3時半まで釣った。
私たちは、1匹づつだったが、後からやって来た65~70歳ぐらいのおじさんは、休む間もなく、ウェットを流し続け、3本の型のよいレインボウを釣っていた。すごい体力。
ひざ上まで流れに立ち込んで、全身でキャストして、リトリーブ。私は、ロッドを握る手が痛くなってきた。。。また出直してきます、ハイ。
3時をすぎた頃から、釣り人が続々とやってきた。地元の人にはよく知られたプールらしい。もっとはやく、来てみればよかった。後で最近の川の地図をみてみたら、リードプールと書いてあった。
残すところあと3日。しばらく湖ではオデコが続いているし、これぞレイクタウポッ!という釣りを、そろそろしたいものだ。明日は、風がおさまるらしい。ディナーのラムローストをいただきながら、Grahamも、明日はボート日和だろうから、朝からがっつり出かけて釣るぞ、と意気込んでいた。
8.18. 火 釣り8日目 晴れ 気温4~15℃
6時起床。快晴。Grahamはすでに起きていて、6時半には朝食のポリッジが出来上がっていた。7時出発。
ボートランプには誰もおらず、デルタのファーストマウスには一番乗り。早速、Grahamにアタリがきたが、フッキングできず。店主、私が1匹づつザリガニを釣った後、ラインをピックアップしているとヒット。
きれいな銀色のレインボウだが、40cmに満たないサイズなのでリリース。をしていると、店主のロッドがよいしなりを見せていた。
10m付近で魚をヒットさせているので、ラインをリールに巻いても、なかなか上がってこない。ボートの姿を見ると、魚はまだギュイーンとリールからラインを引き出して走る。やっとランディングすると、なかなかのサイズ。
その後、Grahamがこれまたパンパンに太ったレインボウを釣り上げた。久しぶりに、賑やかな船上。
雨の後で、魚が河口に寄って来ているようだ。セカンドマウスでも、釣り人のロッドが曲がっているのが遠くに見えた。
昼前に風が強く吹き出して、ボートを押しカレントから位置がはずれてしまった。ラインにまったくテンションがかからない。自然相手なので、なかなかタイミングが難しいものだ。
ランチにもどり、午後は、昨日釣れたリードプールへ。昨日よりも水量が減っていた。だいぶ、水深が浅くなっている感じだ。昨日、釣れたあたりを重点的にウェットを流すが、反応がない。下の深いプールでは、3人の釣り人が立て続けに4匹、上げていた。
今日はボートで釣れたし、よしとしよう。それにしても、今年は川も湖も魚の数が少ないなあ。
今夜もLoisと揃ってディナーをいただいていると、Grahamに電話がかかってきた。ウェリントンにいる娘さんからだ。
「今、食事中?今夜のメニューは何?」
「ソーセージ、ベーコン、エッグのミックスグリルだよ。」とGraham。
「なんだか、朝食みたいねっ!」
これは、これで、気軽な夕食でいいのだった。娘さんは来週末に、スキーに訪れるそうだ。
8.19.水 釣り9日目 雨 気温9℃
朝から冷たい雨が強く降っていた。
午前中、ブリッジプールに様子を見に行くと、さほど川の濁りはない。
数人の釣り人たちが、雨の中、立ち込んで釣りをしていた。
午後は雨が上がるという予報なので、それに期待。
ランチの後になっても、雨は弱まる気配がない。
みやげものを買いに、Turangi ビジターセンターに出かけてみた。Loisが、次々と訪れる旅行者相手に、バスの手配や、宿の手配など、忙しそうに働いていた。ここでも、フィッシングガイドをはじめ、いろいろなアクティビティのブッキングをしてくれる。インターネットの閲覧サービスもある。
奥で、タウポエリアの釣りの歴史をひもといたDVDが上映されていた。
"Angler's Paradaise ~The history of Taupo Fishery~"。
1時間ちょっとの作品で、100年ほど前に、初めてこのエリアにレインボウが放流されてから、現在に至るまでの歴史が写真や、釣り人の証言で構成されている。1920~30年頃には、まるでキングサーモンのようなレインボウが何本も釣れ、イギリスからもこぞって上流階級の人々が釣りに訪れていたそうだ。そのころはまだ、ツランギの街には国道1号線の橋のたもとに、ロッジが一軒しか建っていなかった。
後で、Grahamにおもしろかったと話をすると、「トップシーンで、私のボートが横切っただろ?」と言った。残念、最初の数分は見逃してしまったのだった。
(このDVDは$40で売っていたが、残念ながらPAL方式だけ。)
メジャージョーンズ ブリッジから川の様子を見てみた。橋のちょうど真下の流れに、いいサイズの魚影が見えた。
家にもどると、Grahamが暖炉に火をたいてくれていた。暖かい室内に落ち着くと、もう冷たい水のなかで釣りをする気力はすっかり消え、、、、。今日はオフってことで。最終日の釣りに期待しよう。外は、雨上がりの夕焼け空。明日はきっと釣り日和だろう。
8.20.目 釣り最終日 曇り 気温5~12℃
最終日、しかも雨上がりとあって、3人とも朝から気合い十分。6時起きで、レイクタウポに向かうGrahamの運転もこころなしかハイスピード。
一番乗りで、デルタのファーストマウスへ。ボートを留める前からあたりでは、表層で魚がもじっている。これは絶対釣れるに違いない!
ここは慎重にファーストキャスト。釣りは一投目が肝心だ。
よし、ラインがきれいに伸びた。3分沈める。
さあ、いよいよ、ラインのリトリーブを始める。
すぐにラインが重くなるアタリ。やった!やっぱりきた。
ランディングしたのは、まあまあのサイズだった。
これは、さい先がいいぞ、、、、、、。と思ったのもつかの間。アタリはぱったりと止まってしまった。
メインマウスに移動。流れが強すぎて、あまりラインが沈んでいかないような。。。
3番目のマウスに移動。今度は流れが弱すぎ。釣れる感じがしない。
デルタには、7艘のボートが出そろったが、釣れている気配はなし。デルタでこんなに釣れないのも、めずらしい。
昨日、Loisから聞いた話だと、今年のN.Z.の冬は異常に寒く、魚のまとまった遡上が遅れていると、フィッシングガイドが言っていたそうだ。
遠くからものすごい勢いで走ってくるボートが見えたかと思ったら、あれよあれよと言う間に、私たちの目の前でバシャーンと水しぶきを上げて止まった。ずいぶんと、せっかちな人だなと思ったら、Grahamの知り合いのご夫婦だった。
ブルースウィルス似の旦那さんに、とてもほがらかな感じの奥さん。隣にボートを留めて、一緒に釣るが、やっぱりアタリなし。
またギュイーンとすごい勢いで走っていってしまった。
ランチにもどり、ツランギ ベーカリーでミートパイを買って食べる。安くて、ボリュームがあって、おいしい。
午後は、リードプールへ最後のひと流し。残念ながら、ノータッチ。(アタリなし)
パーキングにもどる帰り道、木立の間をひらひらと舞いながら、すずめほどの大きさの小鳥「ファンテイル」が、飛んでいる虫を食べていた。
最後のディナーは、お世話になったお礼をこめて、Graham、Loisにテイクアウトの中華料理を、振る舞った。
コロネーションストリートを見ながら、ツランギ最後の夜は更けていったのだった。
かくして、10日間の夢のような休日は、無事に終了。翌日、車でオークランドへ移動し1泊。翌朝の便で、また蒸し暑い東京に戻ってきたのだった。