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【しんけい #28】OriHimeから見えた社会福祉士の夢


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中島 寧音さん


 オンラインで話す画面の向こう。現在大学4年生の中島さんは、素敵なネイルがされた指の間にペンを挟み、操作するパソコンを通して、話を聞かせてくれた。



 中島さんが動かせるのは、手首や指のみ。
 生後11か月で、背骨の中にある神経の束である脊髄、更にその中にある筋肉を動かすための運動神経細胞が変化して、手や足などの筋力が低下していく進行性の指定難病『SMA(脊髄性筋萎縮症)』を発症したためである。



 中島さんの口から出たのは、「心の自由」という言葉。
 中学高校と進学した特別支援学校でiPadに出会い、操作の仕方を学んだ。「障害の特性上、勉強に関して、教科書を見たり文字を書いたりすることが難しい」自分にも、「テクノロジーでできることが増える」感覚が身につき、自由になるために「色んな方法があるんだと思えるようになった」


 そして高校1年生の時、さらなる自由への道が拓ける。長期入院するクラスメイトに会える方法として担任の先生が見つけてきてくれたのが、「横断」の第18話でご紹介した加藤さんが勤める株式会社オリィ研究所が展開する分身ロボット『OriHime』だった。
 高校2年生になると、そのロボットを通じて遠隔業務をする「パイロット」として、カフェで「初めて働いた」。



 その経験は、”やりたいことができた”だけでは終わらなかった。中島さんの中に、新しい目標を生み落とした。
 「お客さんとのやり取りにやりがいを感じて、もっと誰かの役に立ちたいなって。やりたいことが制限されている人に何かサポートできることはないかって。それで、社会福祉士を目指すようになりました」


 目標は、スクールソーシャルワーカーとして、お子さんやご家族を支援すること。
 「自分も、やりたいことがあっても、なかなか言葉にすることが苦手だった。そういった内面的なことも話せる場をつくりたい。中高で将来の進路に不安を抱えた経験もあるので、進路面もサポートしたい」


 実は、中島さんが高校に通うには「寝たきりで車椅子移動ゆえに、常時介助が必要」だった。しかし、大学に通うにも同じ支援が得られるのか。
 調べてみると、自治体によって支援制度の有無が異なる。暮らす地元の自治体には制度がなく、何人かの知人に相談して、市に掛け合ってもらうことで、大学入学ぎりぎりの3月末に地元でも同じ支援制度が使えるようになった経験がある。
 こうした困りごとを抱える人は「他にもいるはず」。自身の経験からサポートしたい。


 そんな目標に向けて、中島さんはもう動き始めている。
 分身ロボット『OriHime』の他のパイロットさんのつながりから、2024年5月より、生活している九州から愛知県の小学校に向けて、朝の登校時の声がけや挨拶、授業中の見守り、発表練習など、ロボットを通じた子どもたちのサポートを始めている。


 しかし、「テクノロジーは地域を越えられても、制度は地域を越えられない」
 中島さんは、オンラインと現地の両方で働く「ハイブリッド型」での就労を目指しているが、そのためには、就労中にヘルパーさんの支援を受けられる制度の有無が、非常に大事になる。
 前述した自治体ごとの制度の違いと同様に、ここでも、希望する就労先の自治体には該当制度があっても、地元の自治体には該当制度がない。該当制度の中身についても、自身の希望する就労先が対象になるのかも調べなければいけない。
 さらに、就労先の自治体への引っ越しも必要で、実家を離れた一人暮らしになる。現在通学先で利用しているヘルパー事業所だけでは足りないのではないかという懸念や、別の事業者も新たに探さなければいけないのではないかといった不安もある。


 思わず「大変ですね、、」と言いかけると、それを遮るように、中島さんから素敵な考え方が返ってきた。
 「最初からできないことを諦めるのではなく、やりたいことをどうやったらできるようになるか考えることを大切にしています」。分身ロボット『OriHime』の生みの親である吉藤オリィさんからもらった考え方だ。
 そして何より、お母様が以前から言ってくれる言葉が、中島さんを前向きにしてくれた。「何もできないことはなくて、方法は違うかもしれないけれど、できることはあるよ」


 そして、『OriHime』がきっかけで、「他のパイロット仲間やオリィ研究所のインターン生と交流できたり、自分でXでも発信して同じ障害を抱える人と話せることができた。その中で、自分自身の目標を具体的にイメージできるようになったんです」とも話してくれた。



 最後に、目指す未来を聞いた。
 「障害の有無や置かれた環境にかかわらず、自由に目標を描いて実現できるような社会になってほしい。年齢にもかかわわらず、目標を見つけることさえ、その機会がないことでこの先どうやっていけばいいんだろうと思われている方もいる。そういった方でも社会参加できる機会を増やせればいいなと思っています」
 そんな未来が、社会福祉士の中島さんを待っている。





ここまで読んでくださった皆さまに‥


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