【けつえき #5】脳卒中リハの専門家が抱く問題意識と挑戦
⭐ ファン登録のお願い ⭐
Inclusive Hubの取り組みにご共感いただけましたら、ぜひファン登録をいただけますと幸いです。
このような障害のある方やご家族、その課題解決に既に取り組んでいる研究開発者にインタビューし記事を配信する「メディア」から始まり、実際に当事者やご家族とその課題解決に取り組む研究開発者が知り合う「👀ミートアップ👀」の実施や、継続して共に考える「🤝コミュニティ🤝」の内容報告などの情報提供をさせていただきます。
🔽 ファン登録はこちら 🔽
竹林 崇さん
竹林さんは、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)後の手の麻痺のリハビリテーションを特に専門とする作業療法士であり、現在は大阪公立大学の教授を務めている。
脳卒中は、脳の損傷を受けた場所と程度によって異なるが、手足の麻痺や運動・言語・視覚・感覚・意識・高次機能・歩行・感情など幅広く後遺症が出る可能性があり、「救急医療の発展で命は助かるようになったが、周囲の手助けが最も必要な疾患」と言われる。
そんな脳卒中を竹林さんは、「体の一部に麻痺という欠損が出れば、ペットボトルの開閉から外出まで、大切な人に介助をお願いしなければならず、自分の尊厳が失われていく疾患」と当事者目線で表現してくれた。だからこそ、「動かなくなった手をもう一度元に戻したい」と、リハビリの研究を進めてきた。
竹林さんのXでは、片手でも操作できる便利道具も積極的に紹介されていて、その最後には必ず「必要な方に届いてほしいです」と添えられている。その言葉にこそ、竹林さんの想いはもちろん、解決したい問題意識が込められている。
近年、脳卒中リハビリの世界では新しいテクノロジーや治療方法の開発が進み、竹林さんもここ10年の間、3次元の動きで上肢麻痺の訓練を行うことができる世界的にも数少ないリハビリロボットの開発などにも携わり、実際に回復効果もあげてきた。
しかし、そんな効果があるリハビリロボットでも昨年、企業側が事業性が難しいと判断して販売を終了してしまった。こうした例は、他にもある。「必要な方に届かない」背景は、保険財政と消費者心理の課題だ。
まず、リハビリには、患者さんの機能回復と生活の質の向上を目的にした「医療保険でのリハビリ」と、要介護/要支援認定を受けた方を対象にした「介護保険でのリハビリ」がある。しかし、どちらも保険制度を基盤にしているため、「保険内」で受けられるリハビリには、その内容や量などに制限がある。保険財政の圧迫を避けるためだ。
そして、保険の存在は制度上、患者さんが「保険外」でリハビリを受けることを妨げるものではない。しかし、「保険内」でサービスを受けること、即ち低率の自己負担でサービスを受けることに慣れた消費者にとって、いくら新しくて効果があるリハビリを示しても、全額自己負担でそれを受けることは心理的に非常に難しくなっている。
もちろん、保険外のリハビリにかかる費用と、消費者の支払い心理のギャップを、医療機関が背負うわけにもいかない。新しいリハビリに患者さんが触れようとしても、それを医療現場も欲しいと思っていても、「保険内」ではないことでお金が回らず、結果的に「必要な方に届かない」のだ。
竹林さんは、「その課題感をどう解決すればいいのか」と悩みながらも、「目標に向けて二重三重に」挑戦を止めない。
現在、大手医療機器メーカーと協力して、退院後でも最先端のリハビリテーションが受けられる設備を整えた店舗を運営している。「保険外」ではあるが、消費者も受け入れやすい適正な価格で、「まずは選択肢をつくる」
そして、テクノロジーは、患者の麻痺の程度の把握や、それに基づく改善方法のリコメンドなど、自動的かつ客観的に行うことが得意だが、やはり最後は、患者としっかりコミュニケーションを取ってサービス提供できる「優れた療法士」が欠かせない。
そうした後進を育てるため、教育学習フレームを積極的に整えるとともに、今の世代に合わせて書籍だけではなく音声データ化したり、チャットボット式にするなど、教え方まで工夫を凝らそうとしている。
また、近年は他にも「保険外」リハビリを提供する民間事業者も増えてきたが、そのサービスレベルや効果、さらには料金も含めて、玉石混交の面もある。アカデミア側からみると、消費者が正しい選択をできるようなガイドラインの必要性も感じている。
竹林さんの目指す理想は、シンプルだ。患者さんが例え「疾患や病気などのアクシデントがあっても、安心感を持てること」
患者さんが元気な時にはリハビリについて何も知らず、病気になって初めてアタフタして、何もわからないままにリハビリを選択して後悔する。そんなことがあってはならないと思うからだ。
前述した挑戦はすべて、この理想のためにある。
そして、この安心感は、決して医療側から一方的に提供されるべきものではない。保険財政に文句を言うだけでもいけない。消費者自らが、正しいものを選択し、その効果を認めてそれ相応の負担をする。自己投資と言い換えてもいいかもしれない。そんな姿勢が欠かせないのだ。
テクノロジーはある。それを手に取れるかは消費者次第でもある。竹林さんのお話を通じて、そのことが伝わってほしい。
ここまで読んでくださった皆さまに‥
⭐ ファン登録のお願い ⭐
Inclusive Hubの取り組みにご共感いただけましたら、ぜひファン登録をいただけますと幸いです。
このような障害のある方やご家族、その課題解決に既に取り組んでいる研究開発者にインタビューし記事を配信する「メディア」から始まり、実際に当事者やご家族とその課題解決に取り組む研究開発者が知り合う「👀ミートアップ👀」の実施や、継続して共に考える「🤝コミュニティ🤝」の内容報告などの情報提供をさせていただきます。
🔽 ファン登録はこちら 🔽