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【横断 #30】農業×外出困難者×B型事業所の新しい農福連携


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固本悠佑さん


 遠隔操作農業ロボット「FarmBot」。農業に必要な種まき・水やり・雑草除去・土壌センサー・定点観測などを遠隔で行うことが可能だ。
 固本さんは、これを使って、全国の外出困難者や就労継続支援B型事業所の利用者、さらには耕作放棄地に苦しむ農業をつなぐ「新しい農福連携」を実現するため、合同会社LTFを立ち上げた。


 そもそも、農業を行うには何が必要だろうか。
 まずは、土作りや雑草除去。そんな現地でしかできない作業は、就労継続支援B型事業所の利用者などに足を運んで担ってもらう。
 次の段階は、種まきや水やりだ。そこは、外出困難者がオペ―レーターとして、Webカメラによる観測をもとにロボットを動かす。モニタリング装置を通じて取得した環境データも含めて、栽培日記(作業ログ)も残す。
 その裏側では、LTF社のバックアップチームが、外出困難者の操作サポートと、現地作業の指示を行っている。
 最後は、収穫だ。そこは再び、就労継続支援B型事業所の利用者などが担うのだ。


Farmbotと、操作画面。手元・俯瞰カメラから成長を観察する。(写真は姫路市の農園)


 農業の作業を細分化し、その作業ができる障害当事者による作業を遠隔でリレーする。それが、固本さんが目指す「農福連携」だ。
 仕事がない方にも「遠隔農業で仕事を作っていきたい。QOLや生きがいを広げていきたいんです」


 もともとは、地元の兵庫県姫路市が、内閣府のデジタル田園都市構想交付金を受けて『スマート市民農園事業(障害者による農業体験を含む)』を実施していたのがきっかけ。
 「高校時代のサッカーの大けがで、右手が神経麻痺なんです。だから、いつか障害のある方のサポートをしてみたいと思っていた」と話す固本さんは、市の担当課の扉を叩いた。
 実際に前述の「農福連携」の形を当事者に体験してもらうと、「反応が良くて、社会実装として本腰を入れるべき」と感じ、合同会社LTFの立ち上げを決めた。


 もちろん、目指す「農福連携」までの課題はある。
 例えば、ロボットやシステムやPCなど「現場の当事者や支援員にとっては難しく、2-3歩先を行き過ぎている」と指摘を受けたこともある。でも、LTF社は現在、福島県南相馬市にあるロボット開発実証拠点『福島ロボットテストフィールド』に立地し、米国製の遠隔操作農業ロボットのインターフェースを「誰でもどこでもできるように」メイドインジャパンに改良している。
 また、事業としても、「成り立たないと言われ、補助金に受かったこともない」。でも、「現場ベースで見ると、印象は全然違う」。実際に就労体験した当事者からは「もっとやりたい、もっとできる」という声が聞こえてくる。固本さんにとって、そんな「利用者さんの声が一番自分を動かすガソリンになっている」


利用者さんの「声」栽培日記


 「農福連携」は、当事者だけではなく、就労継続支援B型事業所にとってもメリットがある。B型事業所は定員が限られるのだが(一般的に20名の事業所が多い)、事業所外の在宅や施設外での就労を支援すれば、対象人数が例えば20名+20名の倍になり、事業所にプラスになる。これまでB型事業所を利用できなかった外出困難者への選択肢創出に加え、支援スタッフの雇用の創出にもつながる。
 現在、在宅支援に取り組むB型事業所はまだ少数だが、固本さんは、こうした点も含めて「農福連携」のメリットを訴え、「時間はかかっても、新しい雇用を創出するために、じっくりと広げていく」つもりだ。


 もしかしたら、「農福連携」で生産した野菜が売れるのかと思う人もいるかもしれない。しかし、まだまだ生産能力が少ないにも関わらず、能力を超える注文が届くなど、固本さんは「毎日、事業の手ごたえを感じている」ところだ。
 現在、実証地は、姫路市と南相馬市に限られるが、2025年春先には千葉の方にも拡大する予定だ。


 「理想は、全国の事業所が連携して育てたい野菜を全国の農園で育て、それが売れて生産活動として認められること」と話す固本さん。
 実は、そんな理想の先にさらなる夢がある。前職では、エンタメ業界で「魅力的な体験」を届け続けてきた。「きっかけは農業でも、将来的には、外出困難者でも遠隔で釣りが楽しめる」など、ICTの力を使って魅力的な体験を届け続ける会社になっていきたい。


 例え困難や障害があっても、技術がそれを消し去ってくれる。そして、技術に留まらず、それがうまく回る仕組みまでを固本さんは確立しようとしている。そんな会社の挑戦こそ、必ず広がってほしい。


収穫祭に参加した、実証参加者と姫路市B型事業所のみなさん。LTFスタッフとともに(2024/11/8)





ここまで読んでくださった皆さまに‥


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