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【横断 #27】8gの“たんぱく質”と向き合う日々


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もえさん(前編)


フェニルケトン尿症(PKU)は、遺伝性の希少難病。「フェニルアラニン」というアミノ酸を、生まれつき正常に分解できない。日本では約7万人に1人が発症すると言われており、小児慢性特定疾病と指定難病に定められている。


フェニルケトン尿症は、赤ちゃんの先天性疾患などを早期発見する「新生児マススクリーニング検査」によって発見されるそう。もえさん(@1g_tameiki)も、この検査によって病気が発覚した。


フェニルケトン尿症の人は症状が現れないよう、たんぱく質を制限した食生活を守らなければならない。もえさんが1日に摂取できるたんぱく質(肉や魚、野菜や主食も含む)は、8g。お米も普通米ではなく、低たんぱく質米だ。



日常の食事は専用食がないため、腎臓病の人が食べる治療食で代替。不足する栄養素は、病院で処方される「医療用ミルク」で補う。



学生時代は給食が食べられないため、毎日お弁当と医療用ミルクを持参。教師はもえさんの病気をクラスメイトに話してはくれたが、希少難病であるがゆえに教師自身も理解した上での説明が難しかったよう。


小学校入学時には「なんでミルクを飲んでるの?」などと、クラスメイトから純粋な質問を受けた。そうした時、もえさんは自分なりに説明をし、病気を理解してもらってきたという。


楽しみな行事である修学旅行も、もえさんにとっては事前準備が欠かせないイベント。あらかじめ宿泊先のメニューを教えてもらったり、食べられるものを冷凍して事前に送ったりするなど工夫をした。


体調が悪い時は尿のにおいが強くなり、汗をかいた時に体臭が出てくる。そうした自分にしか分からない変化を目安に食事や生活の仕方を調節するのは、周囲の理解を得にくい病と向き合う中で、もえさんが身につけた自分の守り方だ。


常にたんぱく質を気にしなければならない生活に、苦しさを感じたことはある。一時期はご飯が強迫的なものに思えるほど心が追い詰められ、休息や病気との向き合い方を学んだりする「教育入院」を1ヶ月ほどした。


そうした日々を生き抜き、もえさんは社会人に。現在は、福祉関係の仕事に就いている。働く中で改めて痛感したのは、体力のなさ。治療食や医療用ミルクがあるとはいえ、食事制限によって摂取できる栄養が偏るため体力がなく、風邪が長引く。


また、突然外食に誘われても行くことができない自分にもどかしさを感じる。外食をする日は、事前に食事を調節する必要があるからだ。


「ランチもセットになると食べられないものが含まれているので、単品で頼めるか確認します。ランチセットしかない場合は1時間以上、店を捜し歩きます」


その時、感じるのは友達を付き合わせてしまうことへの申し訳なさだ。


周囲への罪悪感は、職場の飲み会でも抱く。もえさんは体質的にお酒に弱く、たんぱく質が多くなりがちな居酒屋メニューを口にすることも難しい。周囲に気を遣わせてまで、飲めない・食べられない自分が参加する意味はあるのかと考えてしまう。


食事に関する問題は、心理的なものだけではない。医療用ミルクは処方箋薬として扱われるが、低たんぱく質米やパン、めん類といった必要不可欠な主食が自己負担であることが苦しい。物価が高騰している今、低たんぱく質のお米は3kgで約5000円だ。


「空腹を満たせる代替え品はないので、主食だけでも金銭的な補助があると助かります」


食べられるものを得るために体力がない中、体に鞭を打ってしまう当事者の暮らしも知っているからこそ、もえさんの願いは切実だ。


後編に続く)






ここまで読んでくださった皆さまに‥


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