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【のう #9】理想の学校生活を変えた「もやもや病」


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北里美弥さん


やわらかい病名と実際の症状にギャップがある「もやもや病」は、脳に血液を送る太い血管が少しずつ細くなっていく指定難病。患者数は人口10万人あたり、6~10人ほど。必ずしも遺伝する病気ではないが、10〜20%ほどの人が家族内発症すると言われている。


大学2年生の北里美弥さんは小6の頃、右手に力が入らなくなった。その後は特に気になる症状などはなかったが、中1の頃、親戚との食事中に突然、箸が持てなくなり、喋れなくなった。


親族にもやもや病の人がいたため、すぐに救急車を呼ぼうと判断。搬送先の病院で、もやもや病の疑いがあると告げられた。


確定診断に至ったのは、半月後に紹介状を持って大学病院を訪れた時だ。もやもや病は症状の個人差が大きく、美弥さんの場合は特徴的な頭痛がなく、発作も頻繁には起きなかったが、学校生活は一変。発作や周囲の心ない声が苦しく、不登校になった。



病気発覚から半年後には、脳の血流を改善する手術を受ける。だが、術後は予想外の事態に。原因不明の発作が起きるようになったのだ。


それが、てんかん発作だと分かったのは手術から8年後。きっかけは、通っていた精神科の医師に相談したことだった。


もやもや病は現代の医学では、根治が難しい。美弥さんの場合も手術でもやもや病の発作を完全になくすことはできず。加えて、てんかん発作も起きるようになったため、見分けに悩むようになった。


医師からは息が上がることをした後の発作はもやもや病、入眠時の発作はてんかんだろうと告げられたが、あまり親身になってくれないため、情報を完全に信頼できずにいる。


治療薬の服用により、てんかん発作の頻度は週3回から3年に1回まで激減したが、もやもや病との付き合い方は今も難しい。日常生活の中では、自分の体が自分のものではないような「離人感」があり、脳のキャパが足りないと感じることもある。


だからこそ、通っている大学の合理的配慮が心に染みる。美弥さんの大学では臨床心理士がおり、相談をすれば、病気の症状や対処法を教師に文章で提出してくれるのだ。


「私の場合は履修している授業の教師全員に、発作への対処法を提出してもらえた。学校で発作が起きたことはないけれど、気にかけてもらえるのは心強い」


なお、その文章があることにより、通院を欠席扱いとしない教師もいるそう。ただ、教師によって判断は変わるため、ミヤさんは昼から授業が空く曜日を作り、月1回通院している。


いま、募るのは近い将来やってくる社会人生活への不安だ。週5日、1日8時間労働をして、ようやく生活水準を保てている大人を見ると、体力的に一般的な働き方が難しい自分は生活していけるのだろうかと心がザワつく。


持病と生きる中で美弥さんが痛感したのは、「難病患者の多くは障害者福祉制度の狭間にいる」という現実だった。日常生活がある程度、普通にできたとしても健常者とは体力に差があり、根治できない病への不安を抱えながら健常者と同じ条件で働くことを求められることが多いからだ。


「私たちは、会社が効率化を重視するから“いらない”と見なされている。だったら、私は非効率な会社を作って、難病患者が働くことが困難な社会を変えたい」



作りたいのは、できないことを補い合える会社だ。社員のスキルが正当に評価され、「高単価」という形で還元されれば、1日8時間労働が難しい人でも職に就きやすく、逆に効率がいい会社になるはず。


そうしたアイデアを描きつつ、美弥さんは2024年、病気を抱える人の働き方をビジネスコンテストでプレゼン。企業賞を受賞し、企業側から共同事業を見据えたミーティングを設けてもらえた。


「振り返れば、私の原動力は中1の時、部活の顧問から言われた『お前いらない』だった」


大人や社会を見返したい。その反発心が、いつしか「難病患者の社会を変えたい」という想いに変わったのだ。


人は永遠に、何かへの理解を求め続けてしまう生き物。だから、私は理解より、病気のことを普通に話せて、「そうなんだ」と普通に受け止めてもらえる社会がいい。そう話す美弥さんの未来が楽しみでならない。


文=古川諭香




ここまで読んでくださった皆さまに‥


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