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【横断 #23】難病や障害のある方の就労支援の専門家


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中金 竜次さん


 難病や障害のある方が、治療や困難と付き合いながらもより豊かに働き暮らしていくために、どうすればいいか。一人ひとりの「人」を中心に考えて活動する『就労支援ネットワークONE』という組織がある。立ち上げたのが、中金さんだ。



 中金さんは、看護師として社会に出て医療機関に勤めるも、その後、障害者の職業支援、さらには難病患者の就職支援と、医療から労働へと横断するキャリアを歩んできた。


 前職は、神奈川県の『難病患者就職サポーター』。県として初めての取り組みに「ピピっときて」医療職として応募した。「まだ業務の中身も決まっていないような仕事だった」こともあって、裁量も大きく、「難病を知り、課題を知り、就職先も自ら営業開拓してネットワークをつくり、そうすると右肩上がりで就職が決まっていった」
 一方で、6年間、年900件ほどの難病患者の方々の就労相談を受け続ける中で、「制度の谷間も知り、今の行政の形では十分な支援を受けられずに困っている方々も目にしてきた」
 そんな方々も何とかサポートしたい、民間の立場からよりスピード感をもって取り組もうと、『就労支援ネットワークONE』を立ち上げた。


 実は、『難病』と一言で言っても、一言で括れるようなものではない。
 まず『難病』とは、①治療方法が確立しておらず、②長期の療養を必要とする疾患で、③発病の機構が明らかでなく、④希少な疾患であるという4つの条件を満たすものを指す。
 これらの条件に加えて、⑤患者数が一定の人数(人口の約0.1%程度)に達せず、⑥客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が成立しているという2つの条件も満たすものは、『指定難病』と呼ばれ、341疾病ある(2024年4月現在)。
 『指定難病』は国の医療費助成の対象になり、国内で助成を受けている患者は約105万人と言われ、そのうち約6割が働き盛りの就労世代(20~69歳)になる(参考:厚生労働省『令和4年度衛生行政報告例』)。
 なお、患者数が5万人未満(人口の約0.04%未満)と非常に少なく、希少故に診断に時間がかかったり、社会での理解や支援が進みづらい『希少疾患』と呼ばれるものも存在する。その疾患の数は世界で約6,000~7,000とも言われ、合計数としては多くの患者がいる。



 中金さんはこうした疾患に幅広く向き合う中で、どれも不治の病でありながら、それらを取り巻く歴史的背景、それぞれの疾患に紐づく患者団体の事情、制度に基づく行政の対応などから、難病という大きな広がりに対して「情報が切り取られてしまって十分ではなく」、患者が働きに出る「労働市場で起こっていることともギャップがある」と感じてきた。
 疾患を抱えながら働くことを考えた時、治療費用や福祉サービスの活用、職場の制度まで、「一点じゃなく全体を見ていかないといけない」が、そういった垣根を超えて「横に動いていく人がいない」のが現状だ。
 そうした中で、中金さんは、医療から労働へと横断してきたキャリアを活かして「一人ひとりに丁寧に」対応してきた。そして、一つの県という枠から出て民間で活動することで、全国の状況が分かり、自治体によっては表と裏が違ったりすることも見えてきた。


 そんな経験から、中金さんは、「本質的なマッチングをしていくと、障害があっても活躍できるんです」と言い切る。就労支援と一言で言っても、「1から3か月で終わっちゃうのではなく、何でもサポートします。2から3年にわたって伴走する人も少なくない」。
 ただ、自身の経験から「丁寧に工数をかけるとたどり着ける」ことを知っている一方で、世の中一般の支援職には「そこまでの余裕がなく、何かが足りないまま」で、個々のモチベーションが活かされていないのではないかと心配もしている。
 そのため、少しでも自身の支援事例を具体的に示し、エッセンスを共有しながら、各自治体などで支援職の支援にも取り組むなど、政策や制度の理想と現場の実態の差を「ゆっくりでも埋めよう」と奮闘の場を広げる日々だ。



 中金さんは、患者にせよ、それを救おうともがく支援者にせよ、目の前にいる「人」に対して、「単純に友達だったとしたら、家族だったとしたらと考えて、愛おしく」接することを心がけてきた。
 かつて看護師として勤務した精神科の閉鎖病棟では、鉄格子があって自分が白衣を着ていることで、患者さんに対して「どうしても目線が上がってしまう」自分がいた。一人の人間として「人」にどう向き合うかを自分に問い、白衣を脱ぎ、次のキャリアを踏んだ。
 インタビューを受けてくれた中金さんは、働く患者さんと同じシャツにジャケットという出で立ちだった。


 中金さんは、高校生の頃に『アンネの日記』を読んだ。自分より若く、しかも自身が過酷な環境に置かれていた女の子が「他人のために生きたい」と記していることに、「こんなことをしている場合じゃない」と思い立ち、中金さんは看護師の道に進んだ。
 その白衣を脱いだ今でも、その時の「他人のために生きる」信念は全く変わらない。同じ信念をもつ支援職も数多くいるだろう。でも、同時に、今いる場所で信念を突き通せない人も多いはずだ。そんな時、中金さんから学ぶことは多い。





ここまで読んでくださった皆さまに‥


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