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【日本経済新聞要約・考察】第3回 新型肺炎感染拡大を受け武漢遮断措置、経済先行き不透明

※本要約・考察は2020年1月24日の日経新聞の記事をもとに書いております。

〈要約〉

湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる新型肺炎の拡散を防ぐため中国政府は湖北省武漢市や周辺地域への交通手段を遮断すると23日に発表した。世界保健機関(WHO)が同日「緊急事態宣言」をするかを協議する中で、異例の手段で封じこみに動いた。(24日未明WHOは国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態の宣言を見送った(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54780620U0A120C2000000/)。その背景として、感染者は基本的に中国国内に留まっており、隣国での感染者数はまだ少ないからである。しかし、WHOは中国では緊急事態であると発表した。)中国政府が異例の手段で封じこみに出たのも、今週末の春節(旧正月)商戦にも悪影響を与え始めていることからだと考えられる。しかし、春節休暇を待たずに出発した市民も300万人を超えたとの観測もあり、封鎖で感染拡大をどこまで抑止できるか不透明な面もある。
 今回の新型肺炎の致死率は3%であり、中でも死亡者の多くは基礎疾患を持っていたことがわかっている。このことから、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)よりは被害は限定的だと考えられるが、年初から600人以上の感染者が出ていることから、拡大のスピードは懸念されており、三ヶ月で300人の感染につながった2003年のSARS以上の拡大力がある。専門家の中ではSARSと同様の流行を警戒している声も出ている。
 今回の新型肺炎は中国人の健康以外に懸念すべき点は中国経済の失速の可能性である。武漢市は習近平(シー・ジンピン)指導部が掲げるハイテク産業育成策「中国製造2025」の中核拠点であり、物流の遮断が生じてしまうと世界のサプライチェーンに影響を与えかねない。加え、外出を恐れる人が増える可能性があり、中国の小売業・観光業にマイナスの影響を与える可能性がある。

〈考察〉

今回の新型肺炎の感染拡大を三つの観点から自分なりの考察を行うとすると、「世界中の感染発覚国の債券」「中国の債券の動き」「2003年SARS時からの予測」だ。

1. 「世界中の感染発覚国の債券」

今回の新型肺炎は1月23日時点の厚生労働省の発表では中国、タイ、韓国、日本、台湾、アメリカで観測されており、発表後シンガポールとベトナムで相次いで感染者が確認された。
これらの国の短期国債(1年)の変動から市場が新型肺炎に対して感じている懸念度合いを読み解こうと思う。(新型肺炎と比較されているSARSは完全消息まで7ヶ月しかかからなかったため、市場は中長期での影響は懸念していないと考えた。)タイ王国では初の感染確認時では一年債には影響はなく、4人目の感染が発表された22日に利回り1.204%から1.194%に下落、現在は1.173%となっている。韓国では初確認に続き疑いのある人が3人いると発表された20日は一年債利回り1.339%から22日に1.315%へと下落(価格は上昇)した。台湾では最短の2年債は初確認の21日以降の利回りの動きはなかった。ベトナムでは23日に二人の感染が報告されてからの一年債の利回りの動きはなかった。
 中国国外だと、感染者数は幸いにも少ないものの、潜伏期間は三日間から十日間とあるため、今後新たな事例の確認がある可能性、そして春節(旧正月)の国外旅行客が隣国で超感染拡大者として感染拡大してしまう可能性がある。このことから、中国人の春節(旧正月)の国外旅行先となりうる台湾、香港地域は感染者数が増える可能性はあり、新型肺炎の感染拡大懸念での短期債の買いが増えると私は考えている。

2. 「中国の債券の動き」

記事でも書かれていたように、中国では今回の新型肺炎は緊急事態となっている。加え、旧正月に向けて人の行き来や人口密集が想定される中でさらなく感染拡大は大きな懸念事項である。1月半ばから感染が本格化してから短中期債は著しく下落している。10年債の利回りは17日に2.833%だったものの、現在2.738%まで続落している。1年債は17日に2.363%だったものの、現在2.245%と下落している。特に注目すべき点は昨日の中国政府の封鎖処置を受けて、24時間以内に一年債の利回りは2.323%から2.245%に急落し、同じような動きが中国債券全般(20、30年債以外)で見られた。
・1年債 2.323% →2.245%
・2年債 2.538% →2.480%
・3年債 2.590% →2.500%
・5年債 2.803% →2.735%
・7年債 2.966% →2.906%
・10年債 3.092% →2.985% (investing.comより)
・15年債 3.419% →3.348% (利回りは22日17時頃のものと処置発表後のもの)
このことから、市場参加者も今回の新型肺炎を一つの材料にしていることがわかる。今後、旧正月になるにつれ祭事などでの人口密集地で感染拡大の可能性が大いにあり、感染者数増加につれ中国の短中期債の利回りは続落すると考えられるため、買い時だと考えられる。(市場にすでに織り込まれている可能性は大いにある)

3.「2003年SARS時からの予測」

2003年にアウトブレイクしたSARS(Severe Acute Respiratory Syndrome)は2002年11月16日から2003年7月にかけて中国を中心に感染が拡大し、香港を中心に8096人が感染した。合計で774人が死亡したとされており、致死率は9.6%だった。香港では、2003年の3月に香港やベトナムで旅行者を介して院内感染を引き起こしたことをきっかけにWHOは注意喚起を発し、世界規模の健康上の脅威と位置付けた。
当時のデータは限られていること、そして2020年と2003年の世界経済の仕組みが異なることからあくまで参考程度の限定的な予測ではる。当時の香港10年債と中国10年債の動きを見ると比較的限定的だったことがわかる。
香港の10年債では2002年11月から終息の2003年7月の間の高値は4.573% (11/16/2002)で安値は3.606%(6/16/2003)となっており1%以上の変動が生じた。しかし、感染の抑制が観測され始めた7月から徐々に回復し、7/30には4.840%に転じた。
中国債も同じように中国では高値3.362%(12/06/2002)で安値は2.812% (05/09/2003)を記録した。値動きは限定的ではあるものの、投資家は経済停滞を懸念して国債を購入すると考えられる。
今回の新型肺炎はSARSの10倍とも言われており、リスク回避のためにも今後国債の買い注文は続くと考えられる。そのため、最も影響を新型肺炎の影響を受けている中国を中心にショートポジションを取るべきなのかもしれない。 https://www.jiji.com/jc/article?k=2020012301130&g=int

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