アルコール度数のライト化と細分化が止まらない件
金曜日はグルメとお酒のお話しを。
街はクリスマスムード。
クリスマスケーキやチキンの予約も大詰めの時期ですね。
単身赴任オヤジの寂しいクリスマスの過ごし方は、また来週にでも…
あ、興味ないですね。
グルメとお酒のお話しを、というテーマで1年前に始めましたが、お酒について書いたのはほんの数えるほどだったかもしれませんので、思い出したように少し書いておきます。
ひと口にお酒と言っても、『蒸留酒(ウイスキー・焼酎・スピリッツ等)』・『醸造酒(ワイン・清酒等)』・『混成酒(リキュール等)』といった区分やその他の分類がありますが、一般の視点ではアルコール度数というのが分かりやすい分類になるかと思います。
酒税法でいう『酒類』はアルコール度数1%以上のものと定義されてはいますが、昨今は『ノンアルコール』商品が人気を博していたり、一方でポーランド産のウォッカ『SPIRITUS』のように96度という純アルコールに近いものまで、いろいろな商品が存在しています。
少し脱線しますが、先述の『SPIRITUS』は世界一の高度数として酒好きには有名ですが、実は2位のアメリカ産スピリッツ『Everclear』は度数95度で、その差は僅かです。それでも『SPIRITUS』の方が知名度が圧倒的に高いわけですが、かつて『仕分け会議』で蓮舫女史が宣った『2位じゃダメなんですか?』という質問の回答がここにもあるような気がします。
話しを戻しますが、そうした無茶な高アルコール商品がある一方で、世の中のトレンドは世界的に低アルコール化にあります。
これは、健康観点からの官公庁の指導、ないしは酒造メーカーの自主規制によって低アル化した背景と、加えて消費者自体が低アル志向になってきた背景の両面があるかと思います。
例えば、世界的にも有名なブランドのスコッチが軒並みアルコール43度から40度に下がったり、著名なロンドンドライジン『Beefeater』が47度に加えて40度の商品をラインナップに加えたりしています。
前者のスコッチで言いますと、元々43%が『export strength』と言われていたものが、EUのスコッチウイスキー定義の下限値である40%の方が受容されてきたという背景もあるようです。
もっと低アルに振った商品で申しますと、サントリーがアルコール度数3%の『ほろよい』シリーズをリリースしたのが2009年。実に13年前のブランドですが、現在でも20代のエントリー層や『お酒に強くない』方々に絶大な支持を獲得し続けています。
開発当初は、社内の若手チームが『skypeでチャットしながら、甘くて度数の低い酒をチビチビダラダラ飲む』というシーンを提案したのに対して、中高年層の管理職はそうしたイメージが理解できなかったとか。それでも同社の『やってみなはれ』という社風に押されて上市してみたら、想定以上の大ヒットになりました。
一方で、同じフルーツ系酒飲料でも、9%という高い度数を好む消費者も一定数いらっしゃいます。
いわゆる『缶チューハイ』市場に於いては従来6~7%程度が主流でした。
一般的なビールが4.5~5.5%ですので、7%でも少し高いわけですが、それでももの足りずに9%というジャンルの缶チューハイ系飲料が各社から販売されています。
(9%の飲酒が常習化することに対する健康面からのリスク指摘という話しも盛り上がっていますが、今回は敢えて割愛します)
これだけ消費者の好みが細分化され、いろんな度数の商品にそれぞれの支持層が存在する市場に対して、メーカー側からも面白いアプローチがどんどん登場しています。
1つは、サントリー㈱の『ビアボール』。
商品名は『ビール』と『ハイボール』を合成した造語のようで、簡単に言えば『ちょっと濃いめのビールを炭酸水で好みの濃さ(度数)に割って楽しむ』という飲み方の提案です。
メーカーのガイドによれば、『原液』のアルコール度数が16度。
それをオンザロックで飲めば、16度の超濃いビール。
炭酸水と1:1で割れば、8度の高アルビール。
炭酸水と1:3で割れば、4度の通常ビール(メーカー推奨)。
炭酸水と1:7で割れば、2度の低アルビール。
個人の好みやその日の気分で、これだけのバリエーションが楽しめるよ!という提案。
今ひとつは、『Bar Pomum』というフルーツ系リキュール。
先述の『ほろよい』は、限定品含めて常時15~20種類くらいあるラインナップ全て3%ですが、こちら『ポームム』は、フレーバー3種類の度数がそれぞれ異なります。
具体的には、『桃と紅茶』が2%、『レモンと蜂蜜』が4%、そして『カシスと葡萄』が6%…。
いわゆる『低アルファン』層をさらに細分化し、好みのアルコール度数を見つけてもらおうというアプローチでしょうか。
開発する方もたいへんかと思いますが、我々消費者としてはこうした実験的な提案型商品をどんどん試していくのも、今ドキのお酒の楽しみ方ではないかと考えている今日この頃です!