『カホン』の『キホン』を語る件
火曜日は音楽ネタをあれこれ語ります。
これまで何度か触れているのですが、『カホン』という打楽器があります。
ここ数年、2~3人編成のアコースティックなライブやストリートバンドで、アコギやピアノに合わせてドラム代わりに使われたりして徐々に目にする機会も増えてきました。
民族系の打楽器ですが、コンガやボンゴみたいに個性が強くなく、ドラムセットの代わりに幅広いジャンルの音楽に合わせやすいのが人気の理由かと思います。
私は、前に書いたようにひょんなことから後輩に唆されてカホンを叩き始め、最初は借り物でしたが案の定、自分のが欲しくなってすぐに購入しました。
そこは自他ともに認める『道具オタク』、
カホンについて徹底的に調べ上げ、コストも考慮しながら『後悔しない一品』を選んだつもりです!(後述しますが、実は購入後にもっと欲しいのが登場してちょっと後悔しています…)
楽器全体に詳しい方、そうでもない方いろいろいらっしゃると思いますが、幾つかの観点からカホンを解説しておきます。ネットの受け売りになりますが(苦笑)
① カホンとは
カホン(Cajon)はスペイン語で、『箱』とか『引き出し』を指します。形状からしてそのままですね。
16世紀初頭、南米ペルーをスペイン人が制服し、労働力としてアフリカから黒人奴隷が連れてこられましたが、黒人たちの反乱を恐れて彼らから全ての楽器を没収しました。それでも黒人奴隷たちは仲間とのコミュニケーションや意気高揚の為に、身近にあった木箱を叩いてリズムを刻み、音楽と踊りを楽しんでいました。
これがカホンの発祥とされ、その後、スペインやアンデス地方の音楽と融合して楽器としての体裁が完成し、さらにはフラメンコの伴奏楽器としても定着したとされています。
その後、先述のとおり簡易ドラムとしてロックやポップスとの相性の良さから現在の人気に繋がっています。
② カホンの種類
上述のとおり出目自体がシンプルですので、種類も多くはありません。
たいていは底面約30センチ四方×高さ約50センチの直方体で、その上に座り込んで、掌で打面を叩きます。多くの場合、打面の反対側の面に、直径12センチ程のサウンドホールが空いています。アコースティックギター同様に、箱鳴りを共鳴させて音量を増幅させる仕組みです。
バリエーションとしては、子供用に高さがちょっと低いとか、より低音が鳴るように一回り大きいとか、旅行用に薄っぺらい(トラベルカホン)とか、サウンドホールがボディサイドにあるとかくらいですね。
元々は単に木箱を叩いていたわけですが、スペインに渡ってからフラメンコに用いられた過程で、ギター職人によって幾つかの工夫が施されました。
打面の裏に弦や鈴を取り付けて、叩いた時に『バズ音』が出るようにされたのです。弦の種類によって、ギター弦を流用したのが『ワイヤータイプ』、スネアドラムと同様にバネを仕込んだのが『スナッピータイプ』と呼ばれています。弦や鈴を取り付けないクラシックなタイプもあります。
ギター好きに興味あるのが、木材の種類ですね。
あらゆる木製楽器の特性として、使用する木材によって音色・個性が変わってきますので。
カホンによく使われる木材は、
③ カホンの価格
多くの楽器がそうであるように、ピンからキリまであるわけですが…。
どうせすぐ飽きるからと数千円のものから始めるか、最初から良いもので練習したいと5万円以上のものを買うか?
とはいえギターほど価格レンジは広くなく、1万円強から2万円前後でスタンダードな人気モデルが入手できます。
楽器ですので、リアルな楽器店で実際に叩いてみて音色の好みを確かめることも大事ですね。上記の木材により、或いは下記のメーカーにより、さらには個体によってさえ、叩き心地や音色が異なります。フィーリングが合うものを求めて楽器店をハシゴするのも楽しいものです。
一方で、まずビジュアルで気に入るかどうかも人によっては大きなポイントですので、有名メーカーの定番品からデザイン優先で買うのもアリかと思います。その際はアタリハズレはありますが、得てして通販の方が安くて、キャリングケース(肉厚なウレタンを用いた背負いバッグ)をサービスしてくれるショップも多いようです。
④ カホンのメーカー
先述のとおり、ペルーで生まれスペインで発達した楽器ではありますが、ドラムやパーカッションの有名メーカーが参入し、スペイン製のみならずドイツ製やアメリカ製、そして日本製からも選べます。
それぞれの特徴は割愛しますが、下記なら安心というところで羅列してみます。
因みに、取り敢えず1万円以下でお探しなら『ammoon』や『PLAYTECK(旧ZENN)』でもいいですが、きっとすぐに有名メーカーモデルが欲しくなりそうな気がします。知らんけど(笑)
⑤ カホンの奏法
ここでは偉そうに語りません。
紙面の都合上、下記のようなテクニックがあることだけ、お伝えしておきます。
上記の基本テクに加えて、下記の装飾テクもあります。
⑥ 次に欲しいカホン
実は既に、2つのカホンを持っています。
1つは、Schlagwergの『2in-One』。
元々は木箱を叩いていたのが発祥というエピソードに因んで、コンテナのようなプリントがお洒落です。中のバネは取り外し可能で、脱着によって違った音色が楽しめます(だから 2in-One)。
黒色がスタンダードですが、レアな赤茶色です。
通販で約2万円(ギグケース付属)
もう1つは、MEINLの『トラベルカホン TCAJ1BK』。
打面は30センチ四方ですが、厚みが3センチしかありません。BBQやピクニックで楽しめそうと想像しますが、持ち出したことはありません。音量がありません。部屋での遊び用(笑)
あと、どうしても欲しいカホンを見つけてしまいました。
岐阜県可児市が誇る老舗ギター工房Kヤイリ社製の『YCJ-1』。
仕事で偶々可児市を訪問してヤイリ工場に立ち寄った時に、先方のご厚意で完成したばかりのプロトを叩かせていただきました。その時は『板も音も固いな』と感じただけ。
約2年後に、名古屋市内の大手楽器店で市販されていましたので、再度試奏。
なんと!打面が柔らかく、軽く叩いただけで立体的な音が拡がる素晴らしいカホンに仕上がっていました。
お値段、税抜49,000円! 手持ちの2台を手離しても、まだ届きません…
カホンメーカーではありませんが、木工を知り尽くしたヤイリの銘品です。いつかは!