16才で大恋愛して結婚したかった話。恋愛は人を成長させる。 第2話
今でも、思い出す。
甘酸っぱい、気恥ずかしい思い出。
若さ故、できた無防備な恋。
もうこれ以上の恋は、出来ないと思った。これ以上の相手は、出てこない。
16年の人生でそう思った。
だから、どうしても日本に帰ったら彼と結婚したかった。彼の赤ちゃんが欲しかった。
彼は、高身長であったが、イケメンとはちがう、いわゆる雰囲気イケメン。クラスの雰囲気を和らげるムードメーカーのような人だった。最初は何も、感じるものはなかった。しかし、異常にお兄ちゃんが強く、誰もが頼りたくなる存在だった。男女共に分け隔てなく仲の良かった彼は、グループの中心的存在で、女子としか基本つるまない私とは一ミリも接点はなかった。
しかし、あることがきっかけに彼と私の距離が縮まり、二人きりで過ごす時間が多くなり、とうとう彼から私にだけ過去をカミングアウトしてくれた。
二人しか知らない秘密が出来たのだ。
NYでの生活は非常にタイトスケジュールで厳しいものであった。特に16才の私は英語は得意ではあったにもかかわらず、ついていくのに必死であった。拘束時間も長く、自由な時間はごはんと寝る前とたまにのshoppingと観光くらい。たしかに刺激はあったし、アメリカ人の自己主張の強さに押されつつも、自ら発言し、拙い英語力でなんとかプログラムをこなしていた。最初はそれでよかったのだが、徐々にアメリカ人とは仲良くなれて、アメリカ人とばかりつるむようになった。それにより、日本人と溝が出来たように感じた私は、その事で悩むようになった。よくある話だが、日本人は日本人同士でよくつるみ、その結果、英語力が伸びずに帰国することはよくある。アメリカ人と仲良くなれた私はその関係を潔く受け入れ、さらに英語力を身につければよかった。しかし、16才の純粋で感受性豊かな少女には、その器用さはなかった。どんどん苦しんでいった。
すぐに家にも帰れない。まだまだ続くこの日々の対処法が分からず、一人泣いた夜も幾度とあった。
私、苦しいんです。号泣
溢れる思いをカミングアウトしたのが、彼だった。
第三話へつづく