Nervous Fairy -31"nigHt logE"
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“おやすみ”
そうラインが届いて、少し安心する。ちゃんと眠れるみたいだ。
俺のこと気にして変にナーバスになってないかとか、結構自分なりに心配だったのだ。とりあえずは、両親がうまくカバーしてくれたのかもしれない。
充電ケーブルを差し込んで、携帯はすぐ近くのチェストに置いておく。明日は7時には起きよう。眠ると麻酔の効果で目覚めにくいとは言われたけど、多分大丈夫だろう。
いや、しかしそれにしてもびっくりした。
まさか部屋出た途端に、潜んでいてまさか刺されるとは。警戒心が薄かったと言われればそうなのだけど、あんな想像するか?
普通しなくていいはずの警戒であればしたつもりだったのに。
完全に視野の外、想像の埒外からやってきた刃が、あんなに怖いものだとは。
しくったなぁ。
新ブランド作る熱上がっているこのうちに色々スケッチとかしたかったのに、一晩以上のロスは確定だ。ちくしょう。
想は部屋で1人なのだろうけど、家には両親もいるし、兄は捕まっているから、そこまで心配はしていないが、それでもゼロではない。自責の念で泣いたりしていないかとか、勝手によからぬことを思っていないかとか。
さっきのラインの感じであれば平気そうだけれども。
妹であり、おそらく兄に執拗に執着されている以上、想が刺されることはないだろうと思い込んでいた自分がちょっと怖い。もしかしたらなんらかのタイミングで、あの刃が想いにまで向くようなことになっていたらと思うとゾッとする。さっきだって、あのまま2人とも刺されていてもおかしくなかった。
腹痛かったけど正解だったし、想も想でまさか椅子ぶん投げるとは。思ったより根性座ってんな、あいつ。
そんな風に今日を思い出していたら、急激に眠気がやってきた。
それほどではないとは言え、失血もしているし、疲れが緊張の裏に隠れていたのかもしれない。
想斗の連絡も終えたし。
今日はもう大人しく眠ろう。
と、完全に睡眠モードに入る俺。
眠りに落ちるその刹那、なぜかワンピースを買った時の想の顔が一瞬フラッシュバックしたのは、気のせいか。