硯考 坑仔巌硯の下墨量を上げたいのですが・・・(2)
前回、目立ての深さを上げることで改善しようと思いましたが、下墨量がそれほど上がりそうになく、今回は下地の粗さを変更し、大き目の凹凸を形成することから始めました。
粗目の凹凸形成には番手を上げた研磨剤Gを使用します。研磨剤を使用する場合には、1回では処理できないので、別の研磨剤で仕上げ処理を行う必要があります。
下地の粗さの比較
前回と今回で下地の粗さを比較してみます。
今回は粗目で凹凸も深くなっていることが分かります。
この程度まで凹凸形成できれば下墨量もかなり上がってきそうです。
次に研磨剤Cを使って目立てを行います。この作業は粗くできた凹凸の柔らかい部分を除去し、鋒鋩を出し、マトリクス部分を形成するという重要な工程です。
泥砥石を使用する方法もありますが、硯石に合った泥砥石を使わないと完全な目立てはできません。相性が問題になります。
目立て完成後は、下地の凹凸よりも鋭利さが和らいで少し丸くなった感じになります。下地のままだとザクザク墨が下りる感じになり、うまく発墨しません。
最初の状態と比較してみます。
さて、試験の結果、坑仔巌硯の下墨量を上げる目立てはできそうです。
ただし、発墨性は劣る可能性があります。その辺は墨の磨り方で対応するしかないと思われます。墨堂でよく練るなどして調整する必要があるかもしれません。
よく、耐水ペーパーだけで目立てを行う例がありますが、これは表面を削って荒らしているだけで、目立てとは言えません。硯を購入する際には目立て状態の見極めが必要ですが、見た目ではほぼ良否はわかりません。
また、専門の業者もほとんどありません。硯を常時使用される方は、最終的には自分である程度できるようになることが最も良い対処法と思われます。
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