kintoneをATSとして代用する方法【slack連携しました】
HRMOS、HERP、タレンティオなどなど、ATSもかなり普及してきている雰囲気を感じている昨今。
ただし、ことスタートアップにおいて月数万円~十万円強の固定費、及び数十万円の単発出費はなかなか意思決定を行うのは難しいのが現状です。
そんなスタートアップである弊社が、どうやって採用の管理及び分析を行っているかをご紹介していきます。
※記事書いたときから2年くらいたったので、アップデートしました
【こんな方には役に立つかも?】
・ATS高くて導入できないが、採用分析や管理をしたいスタートアップ人事
・応募数は来るが、いまいち採用にはつながらず、施策や戦略の再検討のため分析したい人事
・ATS入れてるが、どういう項目を見ていいかわからない人事
弊社ではkintoneを使って採用管理をしている
答えから行くと、弊社ではサイボウズ社のkintoneを用いて、採用情報や面接所感、次回アクションの管理や歩留まりの分析を行っています。
1ユーザー月額1,500円で、採用以外のアプリケーションでも利用できるので、セールスやCS、及びマーケティングなどを兼業している人事の場合は、よりお得になります。
採用に関わる人が5~6人いても月1~2万円以内と、他ATSよりは圧倒的な安さだと思います。
また、kintoneの良いところは、圧倒的なカスタマイズ性です。
自分が作りたい項目を、GUIで直感的に追加できるので、エンジニアの工数も必要なく追加や削除を行えます。
採用を進める中で、様々なインプットを踏まえて「こういう情報を取っておいて、分析してみたいな」となったときも、後から追加して、それぞれの求職者さんごとに記入していくことが出来ます。
欠点としては、オペレーションの工数はATSよりもかさむので、情報の入稿・入力などの工数がかかってしまう覚悟は必要です。
また、面接のたびに入力する工数が発生するので、可能な限り入力にストレスにならないUIを考える必要や、入力レギュレーションを定める必要があるので、そこも難しいポイントです。
【メリット】
・1ユーザー月額1,500円で安い
・採用以外の業務でも使える
・自分好みのUI、入力項目を増やすことが出来る
【デメリット】
・オペレーション工数はATSよりかさむ
・設計により、オペレーション工数や入力漏れ率が変わってくる
※うまくやればそこそこ工数減らせます
どういう入力項目を用意しているか
自由度が高い分、どういう情報を、どういう項目を作ればいいか悩んでしまうのもkintone。
後から追加や削除は出来るものの、ある程度設計を考えてから作るのをおすすめします。
弊社では、ver1.3くらいですが、現在は下記項目を取得しています。前提として、まだまだ改良の余地はありますので、成長途中です。
基本的に下記2点の際に不足がないように意識して作っています。
・面接で必要な情報が網羅されているか
・採用チャネル、選考リードタイム、属性などで分析できるか
選考応募者管理のkintone
ちょっと小さいので、上からブロックごとに見ていきます。
氏名など基本情報
氏名、読み仮名、性別、年齢、職務経歴書URL、応募日、現職名、就業状況、社会人経験、営業/販売経験、折衝相手、現職年収、転職の開始時期
いわゆる、基本情報は職務経歴書や履歴書から入力しますので、説明は省きます。
経歴書やメールを見れば情報は確認できるんですが、分析するため、面接官へ効率よく情報伝達するために入力しています。
応募日
2019/10/1~2019/10/7までの期間での応募者数などを見たい場合に応募日を使ったり、年齢でセグメントを切って、何歳の応募が多いのかなどを見る時に使います。
営業/販売経験、折衝相手
弊社ではセールスとキャリアアドバイザー職がメインの採用になるため、toB及びtoCでのコミュニケーション業務の経験がある場合は、その経験の有無を折衝相手のチェック項目で記入しています。
現職or前職の年収
現職or前職の年収は、弊社からオファーの際に考慮するため、また、応募者の年収レンジごとの応募ボリュームを見るために設定しています。
採用チャネルや選考結果などの入力
流入チャネル、人材紹介会社、紹介者、結果連絡日_xx、人材紹介からのコメント、事前情報メモ、転職理由、転職の軸・転職先に求めること
説明が必要そうな項目だけご説明いたします。
流入チャネル、人材紹介会社
流入チャネルは、リファラルやSNS、人材紹介、Wantedlyなどを選択しています。人材紹介会社の項目は、どの企業からご紹介いただいたかをわかるように設定しています。
結果連絡日_xx
結果連絡日_xxは、選考のリードタイムのデータを取り、アラートを出したり、分析するために利用しています。
リードタイムでかなり採用進捗が変わってくるので、超重要項目です。
人材紹介からのコメント、事前情報メモ、転職理由、転職の軸・転職先に求めること
このメモ欄は、頂いた面接の時間を最大限有効活用するために、面接や面談の前後で確認する項目です。
面接官への引き継ぎの際に、1次面接や事前に聞いてある情報を二度聞いてしまわないように設置しています。
面接での選考結果、次回アクションの記入
最終総評、結果、配属先、提示年収、次回アクション日、次回アクション内容、次回アクション担当者
最終総評、結果、配属先、提示年収
これらの項目は、最終面接が終わった後に記入しています。
その人の5段階評価と、採用、不採用、長期で追う、辞退などの選考結果をデータとして取得し、連絡漏れや選考フローの改善、人事や面接官に対してのフィードバックとして使っています。
配属先は、採用目標人数が部署ごとに異なるので、過剰に配属しないようにダッシュボードに反映する仕様になっています。
次回アクション日、次回アクション内容、次回アクション担当者
これはあるあるですが、次回アクションが誰ボールなのか明確になっておらず、抜け漏れが発生してしまうことを防ぐために設定しています。
毎日10時に、次回アクションでソートし、記入漏れがないか、次回アクション日を過ぎていないかを確認しています。
面接官ごとの所感
横長なので二分割していますが、よくある評価基準や面接での所感をメモする欄です。
kintoneのテーブルでは、2枚め右側の+ボタンを押すと、横列が複製されるので、1次面接で1列、2次面接で2列と、選考や面談のたびに追加していきます。
ダッシュボードはどうやって作る?
kintoneでダッシュボードを作る方法は2つあります。
kintoneでダッシュボード的にグラフなどを作る方法と、CSV吐き出しをして、スプレッドシートでダッシュボードを作る方法です。
簡易的な情報はkintoneのダッシュボードで、詳細の分析や仮説検証はkintone×スプレッドシートで行っています。
kintoneのダッシュボードの使い方
下記は、年齢×営業、販売経験がどの程度分布しているかを簡易的に確認するクロス集計の表です。
※隠している部分にそれぞれの実績値が表示されています
細かい施策の分析は出来ないですが、例えば24~25歳の営業経験者のセグメントに対してのスカウトを送信していた場合は、対象の求職者が増えているのかなどを簡易的に確認できます。
スプレッドシート×kintoneエクスポート×関数のダッシュボードの使い方
スプレッドシートのダッシュボードでは、採用目標数に対して、選考フローごとの実施率・通過率や実施数・通過数を確認出来るようにしています。
選考のリードタイムを加味して「今日時点で5件の2次面接を実施していないと、1ヶ月後の採用目標数には確率論的には到達しないが、実績では2次面接数が3件ビハインドしている」などを把握します。
こちらも小さいので、ダッシュボードを3つに分割して見ていきます。
A.選考フェーズごとの目標、今日あるべき見込み、実績の数
※隠れている部分に、目標の面接数、実績の入社数などが表示されています
B.フェーズごとの目標、特定日時の時点、実績の歩留まり率
※隠れている部分に、目標の書類合格率、実績の2次面接合格率などが表示されています
C.選考フェーズごとの目標、特定日時の時点、実績のリードタイム
※隠れている部分に、目標のリードタイム、実績のリードタイムが表示されています
大体、x月x日時点で、2名の採用をしたいというように事業戦略上のKPIがあるかと思います。その目標数値を「A」の「目標入社数」を入力します。
すると、「B」の目標歩留まり率、過去の平均歩留まり率、実績歩留まり率に基づき、「A」の目標・今日までの見込み面接数や通過数が変動します。
加えて、kintoneで入力した結果連絡日_xxなどから計算し、「C」の選考フェーズごとのリードタイムが算出されているので、それから逆算することで「A」の目標数到達予定日時や今日の選考通過数などが計算されています。
選考フェーズごとの目標、今日までのアクション数見込み、実績
それらを踏まえて、選考フローごとの目標数値、採用数KPIから逆算した今日までにあるべき数値、実績をグラフで確認できるようにしています。
※本来はグラフそれぞれに実績、目標、今日までの見込み数値が表示されています(上記は説明用に適当な数値を入れています)
上記の場合だと、ある日時点までの採用目標数達成に対して、
・1次面接実施数、1次面接合格は今日までの見込みに対してビハインド
・応募、書類合格、2次面接実施数などは今日までの見込みより上振れ
となります。
ダッシュボードの使い方
基本的には目標採用数や、目標選考リードタイムをいじって、大体の採用戦略や採用チャネルごとのリソースの投下量などを検討します。
実績データは、kintoneから吐き出したCSVを、スプレッドシートのインポートを使って3クリックくらいで反映されるようにしています。
理想の採用状態としては、「10応募10採用」なので、それに近づけるよう、どこの数値を上げる施策を打つべきなのかを検討したり、行った施策の効果検証を行ったりします。
例えば、面接の日程調整を面接中に行うのか、一度メッセージを挟むのかでリードタイムは大きく変わってきます。
そこで、日程調整をメッセージから、面接中に必ず日程調整を行うオペレーションにする施策を打った場合は、「C」のリードタイムの変化や「B」の1次面接実施率、2次面接実施率などを確認します。
これらがメインのダッシュボードになります。
他のスプレッドシートで見ている項目
採用のダッシュボードにおいて大変なことは、「応募があった日」を基準に歩留まり率を見る必要もあるし、「アクションを行った日」を基準に週次の行動量のKPIを見る必要もある、というポイントです。
例えば、求人票での表現方法を2019/1/1に変えた場合は、「応募があった日」を基準に2019/1/1以前と以降で、歩留まり率を比較します。
また、面接の評価基準を2019/1/1から変更した場合は、「面接を行った日」を基準に2019/1/1以前と以降で、歩留まり率を比較します。
この2つの観点を、検証したい、分析したい内容から鑑みて使い分けていきます。
「応募があった日」「アクションを行った日」「採用チャネル別」でシートを分けて、
・それぞれの選考フローごとの数値
・選考フローを進むときの歩留まり率
・応募からの歩留まり率
を見れるようにしています。
※隠れている部分に、合算、週次での実績値が表示されています
週次の採用チャネルごとの紹介数のグラフ
どのチャネルごとの応募数が多いのか、または減ってしまっているのかなどを確認できます。
採用チャネルへのリソースの投下に対して、成果が跳ね返ってきているのかを確認し、その後の戦略の意思決定の参考にします。
ここまでが、どちらかと言うと過去~現在までの数値を確認するために用いています。
どのくらい選考途中の人がいるかのパイプライン
※隠れている部分に、これから面接がある実績値が表示されています
未来に向けて採用候補者がどのくらい残っているか、を確認できるパイプラインも見れるようになっています。
これもkintoneから関数を組んで計算されるようになっています。
書類選考の結果を伝え忘れていないか、2次面接が3人残っていて2次面接から内定までの歩留まり率が33%くらいであれば、1人くらいは内定が出そうだ、など未来に対して予測を立てて準備することが出来ます。
まとめ
弊社の応募数では、まだATSを入れることで工数削減や、分析環境が必要にならないため、kintone×スプレッドシートで不足はありません。
また、採用のリードタイム短縮や、歩留まり率を高めるための施策などを細かく行っており、検証したい数値がそのたびに変わったりするケースもあります。
そのため、kintoneやスプレッドシートなどカスタマイズ性が高いとこも魅力になります。
ただ、最後に元も子もないことを言ってしまうと、ATSやデータベース、ダッシュボードの設計などが本当に必要かどうかは、企業の文化や採用の目標数によって異なります。
採用人数が1~2人で、企業としてスケールしていかない方針を取っていて、採用手法の再現性を求められない場合は、どちらかと言うとアトラクトや面接でのコミュニケーションに力を入れるほうが、成果にはひも付きやすいはずです。
弊社では今後、数十名以上の採用を行っていく必要があり、仮説検証や再現性などを重視する文化がある企業なので、この辺りを整備しています。
また、ダッシュボードの「数字」を「数字」として扱わないことも重要です。個々人の人生の大きな意思決定の1つに関与しているという気持ちは忘れずに、「1=数字の1」ではなく、「1=応募していただいた方の1人」という意識を強く持っています。
データドリブン、マーケ思考なども盛んになってきていますが、採用は数字のゲームではなく人と人の関わりという根本の部分を忘れないようにしたいです。
なかなかkintoneを利用している人事部の人に出会ったことがないので、もしkintoneを使っている方がいらっしゃいましたら、ぜひお話しましょう!
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