【読書ログ】生物学ってめっちゃ面白い!
みなさん、生物学は好きですか?
わたしは学生のころ、生物学が苦手でした。どれぐらい苦手かというと、教科書を開けないぐらい苦手でした。
理由は簡単、キモチワルイ画像のオンパレードだからです。勉強のために必要とわかりつつも、昆虫の写真をまじまじと観察することはできませんでしたし、トライポフォビア(集合体恐怖症)なので、顕微鏡で見た植物の図もゾワゾワしました。ちなみに特に嫌いなのは「気孔」(閲覧注意)です。
そんなわけで、比較的理系寄りだったわたしですが、生物学には一切近寄ることなく過ごしてきました。
それが最近になって、「生物学って面白いじゃないか!」と思い始めたのです。きっかけは、皆さんご存知「夏休み子ども科学電話相談」。科学に興味津々の子どもたちが、プロの先生に直接質問できるという素晴らしい企画。このラジオをきっかけに3人の先生の本を読みました。
鳥類学者:川上 和人先生の著書
タイトルからして最高なのですが、ラジオを聴いている皆さんならお馴染みであろう、鳥類学者のバード川上先生の著書です。お話も面白いですが、文章も大変素敵で、鳥類学の専門書とは思えないほどするする読めます。
個人的に気に入っているのはプロローグ。
あなたは、鳥類学者の友人はおられるだろうか。多くの方にとって、答えは否だろう。原因の半分は、鳥類学者がシャイで友達作りが下手だからだ。残りの半分は人数が少ないからである。
《中略》
しかし、好奇心があってもきっかけがなければ、興味の扉を開くどころか扉の存在に気付きもしない。鳥類学者を友人に持たぬことは、読者諸氏にとって大きな損失である。
《中略》
そういうわけで、今日からは私が貴公の友人だ。
というわけで、私は晴れて川上先生と”友人”に。友人にも色々な形があるものです。
川上先生の著書の面白いところは、内容がわかりやすいことはもちろん、引用や喩えが多岐に渡るところ。
たとえば、アカガシラカラスバトという”赤い”頭の鳥の謎を探るために、なぜか、同じく”赤い”彗星だからという理由で、ガンダムでお馴染みのシャア・アズナブルを喩えに出してくる。シャアをはじめ、漫画やアニメに詳しくない人でも楽しめるが、知っているともっと面白い、かも。
こちらの本も、また切り口が違っておすすめです。
最初『そもそも鳥に進化あり』だと思い、鳥類の進化の話だと思っていたのだが、よく見たら島でした。先生の調査の大半を占める島についてのお話。
こちらもプロローグをご紹介。
ご存知ないかもしれないが、あなたは島を愛している。
えっ、そうだったの?わたし、島のこと愛してたの?と思いながら読み進めると、突如といて強引に話が展開していくので、ぜひ続きは本を買って読んでください。島がどのように誕生し、どのように生物がたどり着き、繁殖するのか、という内容です。「考えたこともなかった」という視点からの話も多く、島についても鳥についても詳しくなれる一冊。
そして最後は絶対外せない、科学電話相談でバード川上先生vsダイナソー小林先生の回が好きな人なら、ぜひ読んでください。今後の対決をより一層楽しめること間違いなしです。
こちらもプロローグが最高です。
世のなかには2種類の人間がいる。恐竜学者と鳥類学者だ。そして、私は鳥類学者だ。それ以外の人?……些細なことは気にしないでいただこう。
些細なことということで、大半の読者が「それ以外の人」に分類されて始まる鳥と恐竜の話。ここ10年で明らかとなってきた「鳥類」と「恐竜」の進化の過程について書かれた本。
ちなみに、わたしは生物は嫌いなのだが古生物学は好きで、発掘のアルバイトをしていたこともあります(出てきたのは生物ではなく土器だったが、それはまあ些細なこととして)。
というわけで、ここからは恐竜のお話。もちろん先生は、この方です。
恐竜学者:小林 快次先生の著書
恐竜ファンのちびっ子にはおなじみであろう、ダイナソー小林先生の著書。生物学がさっぱりなわたしにとっては、若干難しい部分もあるのですが、川上先生の著書を読んだあとだったおかげで、だいぶついて行けました。
恐竜の進化、爬虫類とのつながり、鳥類とのつながり、などなどそれぞれの分類や定義についても細かく書かれていて、なるほど、これから近年の恐竜研究なのだな、ということがわかります。小さい頃に見ていた図鑑から、大きく変わっている印象です。
小林先生の著書をもうひとつ。こちらはわたしもまだ未読です。
読み終わったら感想追記します!
さて、ここからはまた違う先生の著書です。川上先生の本を読んだことにより、生物学者の皆さんのフィールドワークに興味を持ったわたしは、渡辺先生の本に出会いました。
国立極地研究所:渡辺 佑基先生の著書
国立極地研究所、という名前だけでも凄みがありますが、その名の通り、北極や南極のような極地でその地域に住む生物を研究されている先生です。なので、生物の種類でくくった研究ではありません。それがまず新鮮でした。
鍵になるのは「バイオロギング」という調査手法。ターゲットの体に小型の調査機器をつけて、しばらくリリースしたあとに、機器を回収する。これにより「動物がどこで何をしていたのか」を読みとることができる、というものだそうです。こちらも詳しくは本の中で紹介されています。
そして、特に面白いのは北極や南極という極限の地でのフィールドワークの様子。予期せぬことが起こったり、普通の旅行先では味わえないであろうことばかりが調査に立ちはだかります。
こちらも渡辺先生の著書。個人的にはこちらの本の方が面白かったです。
「代謝量理論」という聞き慣れない言葉が出てくるのですが、この理論に心打たれました。結局、生物も物理学や熱力学の上で生きているのだと。
これまで生物学というのは「何回記録とっても誤差が出るから、結局グラフもぐにゃぐにゃじゃん?」とか「新種の生物探して名前つけるみたいな感じでしょ?」とかなりひどい偏見を持っていたのですが、この理論を聞いて世界が変わりました。ぜひ書籍の中で詳しい理論を解き明かしてみてください。以下、好きな章の引用です。
地球上に勝者はいない。どの生物も同じ程度のはたらきをし、同じ程度の子孫を残して死んでいく。物理学、熱力学の法則という見えない鎖に縛られて生きている以上、そこから抜きん出ることは絶対にできない。だからこそ、これほどまでに生存戦略の違う多種多様な生物が激しく競い合いながら、しかし天下統一されることはなく、この地球上に共存できている。
渡辺先生はナショナルジオグラフィックに過去の連載があるので、もし本を買う前に読んでみたいという方はこちらをご覧ください。
→ バイオロギングで海洋動物の真の姿に迫る
おわりに
なんだ、生物学って面白かったんじゃん!もっと早くに教えてくれればよかったのに!と思いましたが、教科書も開けなかった私に、その扉が開かれなかったのは当然のことだよな、とも思います。
そしてそして、まだまだ生物学者の皆さんのアドベンチャーに満ちたフィールドワーク話を読みたいので、オススメの本があればぜひご紹介いただきたいです。
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