音楽家は3つの時期に分けて貯蓄して
私達音楽家は一般人と異なるお金の使い方をします。一般の人は学習をして、社会に出て、労働をして、対価をもらって、消費をして、貯蓄をして、運用をします。それに対して私達音楽家は楽器やレッスンなどの先行投資が必要です。音楽活動で収益を得る前に機材、人件費、会場費なども必要です。お金の出入りの順序が一般の人とは異なるので、巷に溢れている金融アイデアは応用できません。さらに音楽家によっても異なります。ヴァイオリンで世界一を目指す人と、ダンス音楽を作曲してスターになりたい人とではお金が掛かるタイミングが異なります。
そこで、私達音楽家は自分のタイミングに合わせて資金のターム(期間)を決めて、貯蓄及び投資をする必要があります。次のように資金を三つのタームに分けます。
一つ目は短期資金
1年以内に使う資金です。生活費、必要な楽器や機材の購入費、セミナー参加費や書籍購入代などの自己投資費用、レッスンの費用、1年以内の活動費がこのターム用の資金です。
二つ目は中期資金
2〜5年以内に使う資金です。近い将来の活動費、音楽作品制作費、人件費、広告宣伝費、楽器や機材のメンテナンス費などがこのタームの資金です。
三つ目は長期資金
5〜10年以内に使う資金です。音楽活動が順調に行った暁に掛かる費用、言い換えれば自分の目標達成に必要な費用がこのタームの資金です。具体例としては、ヴァイオリンでソロ・コンチェルトをサントリーホールで演奏するのであれば、会場費、プロモーターとの契約費用、広告宣伝費、衣装代などの費用です。別の例として、ダンス音楽で世界制覇するのであれば、世界中のクラブを回る飛行機代、宿泊費、機材運搬費などです。
タームごとの資金の割り振り
どのタームにいくらくらい確保するかというのは音楽スタイルによっても、年齢によっても、目標の大きさによっても変わります。しかし、お勧めの方法は三つのタームに現在の資産の30%を割り振る方法です。
例えば
10万円あるとしたら、短期資金3万円、中期資金3万円、長期資金3万円と割り振ります。その理由は、短期資金は時間的な緊急性は高いものの必要な資金はそれほど多くありませんが、それに対して長期資金は時間的な緊急性は低いものの必要な資金は多くなるからです。そのため三つのタームに30%ずつ割り振るとバランスが取れます。中期資金、長期資金の運用方法はこちらで年に一度だけ教えています。
一つお気付きだと思いますが・・・
10%余りますよね。重要なのは上記三つに属さずに、10年以上使わない資金10%を作っておくことです。これをボーナスと思って使ってはいけません。縁起でも無いと思うかも知れませんが、10年以内に必ず緊急事態は起こります。その時に短期資金を使って今を犠牲にしたり、中長期資金を使って目標への到達を阻害すると計画がパーになります。きっと「この10%があってよかった」と思うことでしょう。
まとめ
短期資金、中期資金、長期資金の三つのタームに現在の資産を30%ずつ割り振り、残りの10%を緊急用に残してください。
上記は『音楽家の資産形成術』の50章のうち第4章を簡略化しました。
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津本幸司
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