日本人音楽家が陥る「選択の罠」
選択
「持ち家か賃貸住宅か」という議論が白熱しています。あらゆる論理が飛び交いますが、実は比較できないものなのが分かるでしょうか。持ち家は不動産を買って将来的に資産価値が上がるか下がるかという投資です。賃貸住宅は住むための消費です。比較すること自体おかしいのです。しかし、「住む」という行動が同じであり、「住居費」としては多くの場合はローンか
賃料なので比較してしまうのです。このような矛盾に気付く必要があります。
アホ投資談義
音楽家が資産形成を始めると、あらゆる比較情報が入ってきます。そしてその議論の行方にも注意を払うことになります。たとえば、「パッシブ投資とアクティブ投資」などです。両派がそれぞれ自分が正しいと主張し、両方が存在する限り議論に決着が付くことはありません。私達音楽家がこのような議論の中に飛び込むことは時間の無駄です。
エレクティック
かといって、どちらかの学派の主張を鵜呑みにすることも危険です。「どちらか」と言う議論があれば「両方じゃだめなの?」と考えてください。これがエレクティック(折衷案)です。
暴露!
私の1月の「音楽家の投資トレード・セミナー」に参加した経験のある方は半笑いになりながら、「核心を書くな」と思っていることでしょう。ご安心ください。このような本で断片だけを書くと大きな誤解を招くので詳細は敢えて伏せます。
まず、このような議論においてはメリットとデメリットを明確にします。簡単に説明すると、「パッシブ投資は手数料が安いが、高いパフォーマンスが狙えない」「アクティブ投資は手数料が高いが、高いパフォーマンスが狙える。しかしパッシブ投資に勝ることは少ない」などとなります。その時に「妥当な手数料で、妥当なパフォーマンスを得る方法」を考えます。両派に
肯定も否定もせずに美味しいところだけを取る方法を考えるのです。
バリュー投資とモーメンタム投資の議論も後を絶ちません。白黒付けたくなるのが人間の性質です。両方を時期に合わせて用いることなど誰も考えないのです。もちろん、私達音楽家が個別株単位でバリュー投資とモーメンタム投資を組み合わせる必要も、検討する必要も、両派の心理バイアスを考慮する必要もありません。自動的に両方の美味しいところを取るシステムが構築できないかを考えるのです。私達の目的は議論に参加して論破することではなく、音楽家として資産形成することです。「ゴールまでの距離をいかに縮めるか、ゴールまで進むスピードをいかに加速するか」の「どちらか」を選ぶ必要はありません。両方でいいのです。「ゴールまでの距離を短くして、進むスピードを加速する」のです。このエレクティックを探そうとすることが資産形成の鍵です。
練習
「どちらか」という議論に「両方」と答えたり、「適宜変更する」と答えたりしないのは、質問する側のトリックです。飛行機の中でCAさんに「コーヒーorティー?」と聞かれてどちらかを選ぶようなものです。「ボウス(両方)」と答えてみてください。快く両方くれます。
さらに、一旦コーヒーを頼んで、一口飲んでから、「やっぱりティーに変えて欲しい」と言ってみてください。快く取り替えてくださいます。このような小さなことからエレクティックを探す練習をしてください。もちろん、気遣い、マナー、常識は別の問題です。
まとめ
「どちらか」の議論に対して、そもそも比較すべきことかどうかを考え、エレクティックを探す習慣を身に付けてください。
●世間の投資談義に飛び込まないでください
こう言えば分かりやすいでしょう。私は普通の音楽家ごときなら詐欺で全財産ぶんどるコトも簡単にできます。だから守れるんです。
上記は『音楽家の資産形成術』の50章のうち第49章を簡略化しました。
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最後までお読み頂きありがとうございます。
津本幸司
こちらでお目にかかれることを心待ちにしています。