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【20日目】池袋演芸場十日間ありがとうございました
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池袋演芸場での披露目が終わりました。
無事折り返し地点。
今回も振り返ります。
自分用の記録、でもある。
初日【つる】
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飛ぶ鳥を落とす勢いを、ということで
「メスがどうしたんだよ」
「白髪の老人に撃ち落とされた」
でサゲました。
このサゲにはしょうもない謂れがある。
今年の夏頃だったか、白酒が池袋演芸場で【つる】をやった時、お客さんが「だまーって飛んできた」と先にサゲを言ったそう。
で、ムッとした白酒が
「黙って飛んできた──んじゃなくて、撃ち落とされた」
と、やったのだとか。(白酒らしい話)
で、その話を聞いた私がふざけて、白酒のいないところでは
「白髪の老人に撃ち落とされた」
とサゲてたら白酒もそれ以降、
「メスがなんて飛んできたんだ」
「撃ち落とされた」
とやるようになっていたので止めてました。
が、初日だし久しぶりに。
老人を猟師にすることで「白髪の老人は浜辺で何してんだよ」問題を解決する良いサゲだと思ってます。
二日目【黄金の大黒】
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ワイワイガヤガヤの中では一番好きな噺。
教わった通りにやっているくすぐりが二箇所あるのだけれど、色んな言い方で試してるがお客さんからなんの反応もない。
あの師匠がやると面白いんだけどなぁ。
合ってないのか。
三日目【ん廻し】
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落語っぽくないので、より落語っぽさを無くしてみた。
客席を五等分して、それが順番にウケるみたいな変な感じで最後痛々しく。
「日曜日は陽気なお客様」という幻想を捨てましたよ私は。
四日目【家見舞】
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お客様が良く、トントンやっても付いてきてくれるのでそのままやったら、後半ちょっと置いてった気がします。
好きだけど落語をライトに聴いてる方からは過去に「ご飯が食べられなくなりました」と声をいただきました。
んー、どうしようか。
自分がもっと歳取ると変わる気がする。
中日【平林】
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二ツ目になってそのまま【平林】をやってていいのか? よくないね!
【平林】ほどみんながサゲを変えている噺もないので、私は「そんなんじゃ踊れない」とサゲました。
サッと考えた割にはお洒落で好き。
今後やるかはわからない。
馬石師匠に教わった噺。
六日目【のめる】
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白酒が持ってない噺なのに、やるたびに白酒に似ていると言われる噺。
知らず知らずやはり受け継ぐものなのかもしれない。
首絞めるとこがなんかしっくりこない。
とにかくお客さんが良かった日。
七日目【ざるや】
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ネタおろし。
【ざるや】は一門の噺で、ウケるとかウケないじゃない。
思い入れでやる噺。
そしてこの噺でどんなにウケようが売れるなんてことはない。
儲からない噺だよ──という風に聞いてます。
だから工夫する必要もないのだけれどちょこちょこ工夫しました。
反応は……わかりません。
もうちょっと試したい。
八日目【狸札】
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馬石師匠から教わった噺。
「前座だからこんなことしちゃダメ」というリミッターが外れたので自由にやりました。
馬石師匠のお客さんが多いこともあって受け入れてもらえた気がします。
九日目【たいこ腹】
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元お笑い芸人の観点で見ると、ボケの幇間に対してツッコミの若旦那が弱い気がしてモヤモヤする。
もっとオラオラツッコミたいが、そうすると若旦那らしさが無くなる。
もっと若旦那の噺を覚えてツッコミのワードを増やしたい、なんて思ってます。
もう少しどうにかしたい。
あと羽織脱いじゃいけなかった。
千穐楽【大安売り】
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見習いの頃の話。
クリスマスイブに池袋で開催された大相撲展で、御嶽海のトークイベントがあったので参加した。
どんなのことを話していたか全く覚えていないが、翌日のクリスマスが御嶽海の誕生日ということで私を含むお客さん全員でクラッカーを鳴らしたのは覚えている。
私の隣に座ったのが、私の母親くらいの女性で、何故かその人と意気投合? というわけではないが色々な話をした。
ご主人が最近亡くなったそうで、
「本当はこの大相撲展も二人で来る予定だったのかな」なんて余計なことを思ったり。
私は自分から「落語家です」なんて言うタイプではないのだけれどその人には話した。
紙に『桃月庵あられ』と名前を書いて渡す。
まだ自分の芸名を人に伝えるのが恥ずかしい時分。
チケットの半券で抽選をし、御嶽海と一緒に写真を撮れるコーナーが始まった。
「当たらないですよね」なんて話していたら、その人が見事当たった。
思わず「ご主人からのクリスマスプレゼントですかね」なんて恥ずかしいことも言った。
イブということもあって、とんでもない奇跡が起きたような気がしたのだ。
それから、その人は落語を聴く人ではないのだけれど、私の勉強会にお友達を連れて来てくれるようになった。
初めてのご贔屓。
本日いらっしゃってくれたので、その人の為だけにってわけじゃないけど九州場所も中日だし【大安売り】。
総括
この十日間を終えて思うのは『高座に上がることが一番の稽古』だということ。
高座を降りてから「ああすれば良かった」「こうすれば良かった」と思う。
上がる前は何とも思わないのに。
それから、慣れてきたのか馬鹿になってきたのか、思いついたことをその場でパッとできるようになってきたし、間違えても取り乱さない胆力もついた気がする。(一時的?)
ちょっとだけ理想に近づいたか。