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令和六年五月三日『第四回 黒酒ひとり』於・なかの芸能小劇場

ゴールデンウィークは噺家の仕事が少ないらしい。
寄席の特別興行があったり、お客さんも実家に帰ったり旅行に行ったりするからだろうか。
会をするには良い時期とは言えないが、何にも考えずになかの芸能小劇場を抑えてしまった。
しかし、蓋を開けてみればお客さんの入りはいつも通り。
ただこれは、先日の親子会を楽しんでくれたお客さんがたくさん遊びに来てくれたので形になったというところか。
いや、それが一番嬉しいが。

今回は白酒噺三席で内二席ネタ下ろし。

◎馬の田楽
江戸っ子、女性、子供、この辺はもう何にも考えずに演じる(という表現が正しいのかはわからない)ことができるが、田舎者はまだ全然掴めていない。
白酒のやる田舎者の物真似、みたいな。
頭の中で台詞を追いつつ気持ちをのせつつ田舎者を演じるのは難しい。
セリフが肚に入って自分なりの田舎者が出来てからが勝負かと。

◎粗忽長屋
以前は頻繁にやっていたが久しぶりに。
白酒に似ないようにと、持ちネタの中でも随分手を加えた噺で、でも脱線はしていないという。(たぶん)
ゆくゆくは全ての噺をこれぐらい遊びたい。
いやはや楽しかった。

小粋なフラメンコ、白酒のくすぐり過ぎて封印していたが、白酒噺三席ということで解禁。

◎井戸の茶碗
五月三日はゴミの日。
ゴミといったら屑屋。
屑屋といったら井戸の茶碗。

前座の頃、寄席がコロナで休業している時に師匠が「俺の噺だったら好きに音源で覚えていいよ」というので15分未満の噺を大量に覚えた。
そしたら「長い噺も覚えろよ」と言われたので、【井戸の茶碗】を文字起こしして覚え始めたら寄席が再開。
で、前座の間はやる機会もないだろうし……と思って覚えずにほったらかしていた。
しかし二ツ目になって、「井戸の茶碗は持っておくと便利」とよく聞くし、白酒と言ったら井戸の茶碗という感じもするので、この機会覚えた。

うちの師匠の噺は笑える工夫ばかりに目がいくが、噺を納得させるための工夫も良くて、
【井戸の茶碗】で言えば娘のお絹さんの気持ちを大切にしているところ。
ジェンダーだなんだと言われる以前からの工夫で、やっと時代が追いついてきた感じ。

しかし井戸の茶碗は聴きすぎて、どうしても「お客も飽きてるだろう」とか思ってしまう。
「あー、また井戸茶かー」というような。
また、井戸の茶碗についての仲間達の考え方で、良い意見をあまり聞かなかったりする。
『下手でも上手く聞こえる噺』とか『落語を聴いた感じのする噺』とか、まあ色々。
んー、その辺はなんとか折り合いをつけて噺を磨いていくしかない。
井戸茶だけに。



今回は時間以内におさまったし、コーナーも概ね好評だった。
親子会の時のお客さんがたくさん来てくれたので、『まだ知られてないだけなのでは?』と思えたのは自信になる。
短期間ですぐに落語が変わる時期なので、自分を知らない人に知ってもらう機会を定期的に作っていかないといけない。

次回は6/16。
テーマは『NEW黒酒』。
習い事を始めた成果を発揮できるか。

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