令和六年六月十六日『第五回 黒酒ひとり』於・なかの芸能小劇場
暑さと寒さの落差がえらいこっちゃで、体調を崩しやすい季節。
噺家でさえ体調崩すんだから、お客さんは勿論のことで、バタバタっとキャンセル。
その上、今回は裏で雲助白酒親子会があって「もうダメだ」と思っていましたが、二ツ目の毎月の会にしては充分すぎるくらいご来場いただきました。
ありがたいことです。
今回のテーマは『NEW黒酒』。
ということで、色々と意識改革したり義太夫のお稽古始めたりと、
『芸は人なり』の人の部分をアップデートしまくった結果を見せられればと臨みました。
◎かぼちゃや
今自分が持っている数少ない季節の噺。
年に一回くらいやってますが、それじゃもったいない気がするので、今年は早めにやって、八月とか九月とかハロウィンあたりでもう一回できれば。
一応義太夫の成果を見せるために売り声のマクラを。
なかなか声が伸びてたんじゃないですかね。
息の使い方は上手くなってる気はします。
滅多にやらない噺なのに何故か肚に入っている気がする噺。
◎粗忽の釘
高座が激暑。
見た目こんななのに顔からは滅多に汗をかかない私ですが、もう手ぬぐいがビッシャビシャになりました。
舞台用の空調をいじれることに気づいたのは仲入りに入ってから。
ネタ下ろしですが、粗忽の人は決まったセリフが適当でも辿々しくても、それが粗忽っぽさに繋がるからそれほどプレッシャーはなかったかもしれません。
引っ越しの部分が7、8分あって、ここがまぁ難しい。
笑えるというよりかは、おかしみを出すんですって。
おかしみとは……。
全部で30分弱あるので長さだけはトリネタみたい。
可もなく不可もなし。
◎やんま久次
義太夫で学んだことが一番活かせるんじゃないかと【やんま久次】。
100人キャパの会場での久次は気持ちいい。
会場が50キャパだと無意識に声量だとか色々制限してたかもしれない。
今回はフルスロットルでやっても耐えられた感じがする。
ただ、空調いじって少し涼しくなったけど、それでも暑くて、
「汗出てる。拭かなきゃ」と思う度に間違えてしまいました。
噺家が多い今、正直何でもできる必要はなくて、特に二ツ目は芸歴的にも綺麗な五角形は無理なんだから、尖ってれば尖ってるほど良い。
所作が綺麗、上手い、独特のフラがある、工夫が凄い、勢いとか荒々しさ、可愛らしい、明るい高座暗い高座、知的、話題作り、どれか一つでも優れていればなんとなく目立てると思うんですが、全部やろうとしてるのが私です。(別に良いことではありません)
バリエーション豊かというか、「どんな噺でも合いそう」が理想です。
とにかく何でも1人でやるタイプなので、いずれは1人で色んな事ができるようになろうと思っています。
1人なのに三人会っぽいみたいな。
なわけで、【かぼちゃや】からの【やんま久次】のこの表現の振り幅が大きさは、自分が全噺家で一番だと思っています。(繰り返しになりますが、別に良いことではありません)
噺の落差で体調崩させる。
今回新しい着物のお披露目をやってみたけど、そんなことする奴聞いたことないですね。
でも割と面白い手段だと思いました。
次回以降はあまり引きはなさそうですが。
第六回は7/28。
テーマは『長講やりたい(仮)』です。
40分以上の噺に挑戦したい。
皆さん体調に気をつけて。
私も気をつけます。
ぶつくさ。