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令和五年三月十二日 第一回扇太黒酒二人会『黒船来航』於・新宿Fu-+
二人会だとか三人会をやる以上は、ただただ噺家が入れ替わり立ち替わり出てくるだけでなく、出演者同士のトークであったり余興であったりがないとやる意味がないんじゃないか?
と思っている。
がしかし、そういったものに時間を使いすぎて落語の時間が短くなってしまっては、ただ落語を聴きに来た人がガッカリする。
そこで考えたのが、トークの部分は動画として撮って、入場特典として配布するという方法。
ご来場いただくと『黒船レディオ』というラジオ動画が観られるようにした。
大衆に向けてのラジオじゃないので好き勝手喋っている。
これは二ツ目ならでは。
次回以降はお客さんから募集したお便りをテーマにトークをしていくので、ぜひご来場いただき、落語とラジオを両方を楽しんでいただきたい。
◎家見舞い
あの人の【家見舞い】は絶品!
ということをあまり聞かないので、噺の性質もあって儲からない噺なんだと思う。
こういった下品な噺は年々引っかかるお客さんも増えていて、近頃は噺家の方が「どうすれば汚くないようにできるか?」という工夫をつけている気がする。
私のところにも「ご飯が食べられなくなりました」とメールが届いたことがあるが、まあ聞く耳は持たない。
あくまでフィクションということで、下品なものは下品なままやる。
もちろん場所は選ぶ。
笑いの量を増やしたいだけな感じがする道具屋での屏風や時計を買うところは抜いている。
川っぷちで瓶を綺麗にするところでは、やる予定のないくだりをやってしまい少し中弛み。
ネタ下ろしの噺ばかり稽古していて、ちょいと疎かになった。
落語にはあまりないリアクション芸、好きな噺。
◎鹿政談
教わったものの「覚えたら好きに高座にかけて」とあげの稽古が無しになった噺。
こういったことはよくあって、それは少し寂しかったりする。
あげの稽古がないんだったら急いで覚える必要もないや、とずっとほったらかしにしていた【鹿政談】。
だけどここ最近体調がよく、三月に入ってからは毎日異常な距離と時間歩いて稽古をするようになったこともあり、
ふと「全力で稽古をしたら何日間で一席覚えられるんだろう?」と思い立つ。
3月7日から稽古を始め、間に合うようならこの会でネタ下ろしをするというチャレンジをしてみた。
これはあげの稽古がないからこそ出来ること。
自分でいうのもなんだが六日で覚えた割には上出来。
しかし、毎日毎日歩いて稽古したことでかなり日焼けしてしまった。
ウチの一門では日焼けは良くないとされている。
いっそのこと「黒酒なので」と真っ黒に焼いてみようか。
地の部分はなるべく自分の言葉で話し、大阪出身なので上方言葉を使うパートを増やす。
最後は大師匠よりの人情噺っぽく。
六日で一席覚えられるのであれば一月に五席覚えられる。
だがそうするとWBCが開催されていることすら知らないほど浮世離れしてしまうのでこれも良くない。
ヌートバー、チョコ菓子かと思った。ぶつくさ。