ポケットは餅でパンパンです
村での最初の家から引っ越しました。
2個目の家は両親の知り合いの大工さんに建ててもらいました。小学校から見て上流にあるダムから500mの坂を登ると山を切り開いて作った住宅地が見えてきます。25棟の家が建築可能な土地です。
家が建っていく過程を定期的に見に行きました。少し毛羽立った木材からはパリッとした良い匂いがして、そこで食べるおにぎりは美味しかったです。おにぎりの味は極端に嗅覚に左右されるという論文はまだですか(アルミホイルに包まれたおにぎりが優勝なのは自明の理ですね)。
ブロックのパズルのように木材が組み合わされていて、大きいトンカチのような物で大工さんが土台を叩いています。木組みという工法で、釘をなるべく使わない、地震にも強いと教えてもらいました。
家の骨格が出来上がると、この地域では餅投げが行われます。厄払いと住民へ福を分ける意味があるそうです。その日になると屋根の上から四方へ、ビニールに入った数百個もの紅白の餅が空を舞います。
餅は小学生には魅力が薄かったのですが、みんなが集まる理由があります。餅のビニールの中に現金が入っているからです。お風呂掃除で10円を稼いでいた私には、これはもう職場です。大当たりは最初に撒かれる500円玉が入った餅で、これをキャッチするとミッションは達成されたも同然です。祭りのはじまりです。
開始時間の10分前に到着していることは勿論、帽子を皿にして受け止めたり、ワンバウンド餅だけに集中したり、あまり人が居ない場所に陣取ったり、それぞれが思い思いの方法で工夫します。
10袋ぐらいがまとめて投げられ、15分程のボーナスタイムのうちに走り回って滑りまくって餅を拾います。ポケットは餅でパンパンです。友だちと、来月はどこであるとか、これは5円だった、100円だったとか、一喜一憂しながら帰るのでした。
この餅は焼くことが出来ないので(縁起的に)、ぜんざいにしたりして食べました。
ぜんざい、食べたいな。