まとめ記事⑥ 患者さんは不満がおおいの?
あけましておめでとうございます。正月早々風邪引いてしまいました。
これまでFACEBOOKやnoteで色々書き溜めてきましたが 10回ほどでまとめてみようと思いました。 たくさん書いたもののまとめ記事と思って読んでいただけると幸いです。先日の投稿⑤
Google評価
自身のクリニックについてGoogle評価で☆1つがつくと凹みますよね。納得の行く評価と 納得の行かない場合ないですか?特に納得行かない悪評価の場合にはかなり憤慨してしまいませか?
しかし、評価というのは残念ながら主観的な側面が大きいため完全にコントロールは難しいと言わざるを得ません。
GOOGLEは賢い企業なので そういった外れコメントがあり 事業者が凹むこともあることを十分に理解した上で「申し訳ない!でもやる!」と事業展開されていると思います。
いずれ評価数が増えると そのような実態とかけ離れたコンタミ評価の影響が小さくなり、実態を反映した評価に収斂すると考えているのだと思います。
クリニック院長先生は 評価される側になって初めて 評価の怖さ・曖昧さ・信頼性などについて考えられたかと思います。
「なるほど!申し訳ない。 勉強になりました!」というコメントもあり こういった低評価は 建設的で嬉しいです。しかし、明らかに本来の医療ベクトルとは異なる評価 または 理論的にはできても 実際の運用では不可能なことを書かれてしまうと、凹んでしまいます
悪評は期待の裏返し
でもそれは理由があると思うんです。それは期待の裏返しなのです(と勝手に解釈しています)
つまり、評判の良いところは患者さんの期待値が高くなるので評価が低くなることも多いのです 「えっ??評判が良ければ 評価が高くなるのがあたりまえじゃない?言っていることわかりません!!」と言われそうです。
新幹線はすごいですよ
では皆さん 新幹線を利用する際のことを考えてみてください。時間通りに運行したとき SNSに「すげーっ、新幹線流石だわ!」とわざわざ書き込みされますか? 書かないはずです。 遅れたときに書くはずです。 しかし、列車運行が遅れるのが当たり前の国から日本にこられた方は 新幹線の運行スケジュールの正確さに驚くのでSNSに書き込むはずです。 つまり、 もともとの期待値が高いと 不満に対する投稿が増えますし もともとの期待値が低いと満足に対する投稿が増えます(かな?)
ではなぜ満足しているのに書かないのでしょうか? 新幹線の定時運行すごいことですよ 皆様 JRに称賛のメッセージを送って SNSに絶賛コメントをかきましょう 不満なときだけ書くのはフェアーではないのでは?この理由は期待値からの絶対値の大きさの違いではないかとか考えます。
感情というのは期待値からの振れ幅の大きさによって起こるのです。期待していないことに関しては上の振れ幅と下の振れ幅は理屈上等確率で起こります。 しかし、医療機関にかかるときにはweb検索や知り合いの情報、または医師という職業自体がプラスの期待値から始まることが考えられます。健康に関することは出来るだけ良いと思われるところにかかりたいと思うは自然なことだと思います。 そういった状況ですので上の振れ幅を大きくするのは非常に大変です。 下の振れ幅を大きくするのは容易です。ですので 低評価のほうが目立つということになると思うのです。
ここで図のように、【評価の良し悪し】と【された評価への納得感】という2軸で4象限に分けました。
上の2象限は良くても悪くても 納得感があれば 感謝や反省が出来ます。
問題は下の2象限です。
【右下】は評価が盛られた状態です。これに味をしめると、医療のレベルを上げるよりも患者さんにむやみに迎合することで患者さんの歓心を得ようとしたり、慢心が出てきます。
【左下】は頑張っても評価されないために諦めの境地に至ります。または、一部の少ないNOISY MINORITY いわゆるMONSTER PATIENTに対応するために疲弊することになります
つまり、盛りすぎや過度に低評価を患者さんが行うことは、医師が道を逸れてしまい(慢心・疲弊・諦め)、結局は患者さんのためになりません。
一番良いのは医療のリタラシーを有した患者さんのみが評価することによって、医療従事者の納得感のある評価になります。しかし、一般に開かれたWEBサービスでは【全員に医療リタラシーを求める】のは現実的ではなく不可能だと言い切って良いでしょう。
どうすればよいのでしょうか?
クリニックは悪評価にビクつくだけで良いのでしょうか? ビクついた医療従事者はできるだけ欠点を減らす努力をすることで悪評価を回避しようとすると思います。 しかし、どんなに医療者側が頑張っても 全体最適を考えながら診療を行って患者さんに説明差し上げても 部分で評価されたり 生体の不確実性による誤差や 老化や死には勝てない医療を行っている以上 限界があると思います。
もちろん 誠心誠意 患者さんに向き合うことは大前提です。しかし、 一部のNOISY MINORITYの悪評に気を使いすぎてそこに注力するあまり疲弊してしまったり、他の多くの患者さんのためになることにリソースをかけないのは 国家レベルの医療損失だと考えます。 これも以前に書いた合成の誤謬問題です。リンクの切り抜きになりますが
「医療でいうと、 1人の患者の治療に専念するあまり、全体の治療安全 を脅かす。医療は1人の医師が1人の患者を診ることから始まります。手術室を長く独占す れば、他の治療ができない。看護師が急変患者に集まれば、病棟にいる他の多くの患者が 非安全となります。」
当たり前の結論ですが
・過剰ではない程度にできるだけのことをする
・出来ないことや無理なことへの悪評価は気にしない
・表面上は悪評価でも患者さんに来ていただけるように
その1つが 医療従事者の中での信頼を得る 医療従事者にアピールをすることではないでしょうか?
これは「私 出来ますから!」というアピールではありません。 日常業務のなかのやり取りで 信頼を醸成していくことです。これには時間もかかりますし すぐには効果は出ません、そして逆に他の信頼する先生の情報を共有していくことです。
医師の価値
患者さんは「こうすれば治癒するらしい」という情報を持っています。そして患者が注目するのは、あくまでも治癒に関するポジティブな情報です。そこには「希望バイアス」としか言えないものが必ず生じます。そこで そこに対して 医師が「治りません」「その治療法はあなたには適応にはなりません」といわれると 希望バイアス(高い期待値)が壊され不満となって表出されることもあるのかもしれませんね。 これが情報化社会で情報があるだけに余計不満が出やすい背景なのかもしれません。
たとえば「95%の確率で治癒する」という情報に触れた場合、患者さんは「95%」のほうに注目します。しかし医師は、残りの「5%」の現実を日常的に経験しています。
この部分に関する経験に基づいた医学リテラシーは、人工知能がまだまだ苦手で提供できないものであり、私たち医師の付加価値となるでしょう。そうした時代にあって、医療現場の価値はむしろ上がっていきます。特定の疾患に関する「5%」を経験している場合と、そうでない場合のギャップにこそ、付加価値の源泉になるからです。
この「5%」は患者さんだけでなく 他の医療従事者もアクセスや解釈ができないものです。これが専門性と言われるものです
このとき、医療情報の爆発がもたらす専門性の細分化が、越えなければならない課題として立ち上がってきます。つまり、医師同士がそれぞれの「5%」をお互いにリスペクトし、高度に連携していく必要があるということです。
これまでのように、偶然の出会いに依存したリスペクト関係では不十分であり、積極的に、そうした関係を広げていくことが重要になってくるはずなのです。
それが前回の投稿で書いた 、旅行者が世界中どの空港にも行けるのはJALやANAだけのおかげではないのです。 JALやANAが他の航空会社とアライアンスを組んで 他国で顧客の旅を助けてもらい そして日本では他国の航空会社の顧客の旅を助けているからです。
同様に、先生方もご自身が当たり前と思っているその専門性や紹介先情報は他の先生にとっては非常に貴重なものです。それを航空会社の連携のように自分の周りの信頼・紹介情報を他地域・他専門の先生にシェアしたり逆に自分の弱い領域ではシェアしてもらうことが 患者さんの受診の旅のためには大切だと思いませんか?こういった時間はかかりますが専門性や紹介先登録というものを試していただけませんか?
アインシュタインとノーベル賞
「なーんだ 時間がかかるのか?」と思われた先生もおられると思いますが 直ぐにできることはもう先生すでに十分努力・工夫されているはずなんです。あとは少し時間のかかるものの仕込みをという感覚を持っていただけると嬉しいです。
皆さんもご存知のアインシュタインは特許庁の役人という仕事をしながら科学論文を書きノーベル賞をとったのです。稼ぎ口である役人をしながら 論文を書くことのダウンサイドのリスクは殆どありません たとえ失敗したとしても失われるのは時間とレポート代くらい。しかし論文を書いた成果(アップサイド)の可能性は無限大です。これはバーベル戦略と言われます。実際、アインシュタインは世界中に語り継がれる人物になったわけですので。
ですので 先生方も短期的な部分最適化的な物や、コンサルの方の言うことだけを繰り返していても それらの効果は他の医師もされるので差別化要因にはなりません。
記事をここまで読んでいただいた先生は、何かを心にお持ちの1%のクリニック院長先生だと思います。 時間のかかるもの、よくわからなくても悪くはなさそうだというバタフライ効果を及ぼす<かもしれない>紹介先登録プロジェクトにご参加よろしくお願いします。
NYAUWという活動を始めたきっかけ
【1院・1人ではどうしようもないというため息】です。学会・医局・研究会・医師会などがあるじゃないか?という声が聞こえてきます。もちろん 医師にとっては非常に役に立つ組織ではあります。しかし、患者さんはそのようなセグメントの切り方で医療を見ておりません。 たとえば、「杉並区医師会の眼科の先生の中で対応してほしい」ではなく 「自分の疾患をできるだけ最小のコストで、より良く対応してほしい」が患者さんの要望です。時間・お金・精神的負担が最終的に少なくなるなら 先生の診療圏外の専門家にでもかかるのです。そういった際には 自分のいつもの専門内・近隣の紹介先だけでは対応できない場合もあります。「みなさんがいつもの紹介先情報をシェアしていれば患者さんの受診体験向上になるのでは?」と仮説を立て【信頼する紹介先のクリニック登録の数珠つなぎ】プロジェクトを立ち上げました。なるほどな!と思われたクリニック院長先生ログイン・登録してください!