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ビルディバイド-#FFFFFF-がマジで面白いよという話

 ビルディバイド1期、2期見た。超良かった。
 TCGはやらないし、TCGのアニメも普段は見ないんだけど、話にすごく引き込まれてしまって、圧倒された。もっとみんなに見てほしい。

 カードゲーム「ビルディバイド」の勝敗が生活を左右する都市、新京都。記憶喪失の少年・蔵部照人は、偶然出会った少女・晩華桜良とともにバトルを勝ち抜き、街を支配する「王」との対決を目指す。

 話の軸はTCGでの対戦だが、そこに各登場人物の物語や作中世界全体をめぐる謎なども加わって、TCGに興味のないひとでもばりばりに楽しめるように作られている。
 しかもそれでいて核にあるのはあくまで「TCGへの愛」なので、カードバトルがいかに奥深く、面白く、そして素晴らしいのかも伝わるようにできているのが本当にすごい。「人は皆、空のデッキケースをもって生まれてくる──」なんていう一見するとアホとしか思えないセリフが出てきたりもするんだけど、このセリフも本編で出てくるとめちゃめちゃアツいんだよな……。
 まあ真面目に考えだすと世界観に対してはいくらでもおかしい点はあるんだけど(ゲームの勝敗で生活水準が決まるのってマジで何?とか)、そういうバカバカしさもひっくるめて全部熱い物語に昇華させてしまうのが、この作品のパワーのとんでもなさだ。

 1期の展開はとにかくシンプル。ビルディバイドで次々と現れる強敵を倒しつつ、仲間を増やしたり、新京都の秘密を暴いたりしていく。特に序盤はゲームのチュートリアル的な要素も強いので、わりと早い段階で視聴脱落してしまっているひとも多いらしい。
 脱落してしまう理由はおそらく他にもあって、最初のうちは照人と桜良の過去やひととなりがよくわからないため、やや感情移入しづらいというのもあると思う。でもこの部分は1期後半でかなり深く掘り下げられてくる。そのエピソードがまた良いんだよね。色々わかったうえで前の話を振り返ってみるとかなり違った味わいがあったりして、そういう意味ではミステリー的な楽しみ方ができる作品でもあると思う。

 1期5話で照人自身の葛藤が描かれてからはどんどん話のギアが切り替わっていって、8話で照人と菊花の過去が明かされる場面ではもう完全にこの物語に飲み込まれていた。細やかな心情描写みたいなのをわかりやすく咀嚼して視聴者に呈示してくれるのが、本当にこの作品の良いところ。11話、12話あたりの展開はすごいとしか良いようがなかったね。
 こうして1期が最高潮のテンションで幕を閉じ、その勢いをそのままに2期に繋がるのだが、ここもまた予想の裏切り方がすごい。2期の主人公は菊花とひよりなんだけどこのチョイスがまた絶妙だった。1期とは別の方向から、しかし1期と同様に「王」との対決をゴールにした物語をやり直すわけだけど、対比と相似の使い方が気持ち良すぎる。しかも1期と違って視聴者はもうキャラたちのバックグラウンドを知っているから、もう最初からトップスピードでかましてくるわけで、これはもうすごすぎるよ。
 しかも1期においてさりげなく用意されていた布石を次々と回収しつつ話が進んでくる。1期1話を見る限りでは想像がつかないくらい、めちゃめちゃ丁寧に作劇されている。いやほんと、ファンサービスが良すぎる……。まさか1期でさくっと倒された「カード教授」の再登場がこんなに熱いとはね。他にも伏線と演出が噛み合った最高な場面がたくさんあって、本当に視聴者へのサービス精神にあふれていた。

 登場人物のことはみんな好きになってしまった。とにかく掘り下げが上手くて、初見では「なんだこいつ」って思うようなキャラでも例外なく愛せてしまう。作っているひとがよほど愛に溢れていないとこういう描き方はできない。それでもあえて選ぶならひよりかな……。成長前と成長後のコントラストがいちばん鮮やかだったし、それでいて常に一本芯が通っている感じが推せる。菊花との絡みも桜良との関係もすごく血が通っていて良かった。

 バトルシーンもかなり楽しかった。ゲームルールをあまり把握していなくてもだいたいわかるようになっているし、主人公である照人がギャンブラー気質なので頭脳戦要素と運否天賦の要素がほどよく混ざっていた。重要な局面での勝負においてはストーリーとバトル展開が重なるようになっているのも上手すぎて震える。
「テリトリー」と「エース」の仕組みが各キャラの描き分けになっていたり、物語の重要局面での演出要素になっていたりするのも本当に上手い。やっぱり徹頭徹尾TCGのアニメなんだよなあ。

 いろいろ書いたけど、難しいことを考えずに見れるアニメなので、おすすめです。TCGやっているひとには特に。唯一気をつけないといけないのは、1期が#000000で2期が#FFFFFFってこと。分割2クールなのでちゃんと最初から見てね。

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