名著「7つの習慣」は「僕のヒーローアカデミア」と相性が良い
ビジネスマンであれば「7つの習慣」という本は聞いたことがあるかもしれない。また、書店で見かけたことがあるかもしれない。長く、長く愛されている名著だ。
ジャンルはビジネス書とされる場合が多いが、成功哲学、人生哲学、自助努力といった人間の生活を広く取り扱っており、人文・思想、倫理・道徳、人生論・教訓、自己啓発などに分類される場合もある。via:7つの習慣 - Wikipedia
一方、「僕のヒーローアカデミア」をご存知だろうか?日々のインプットが多いビジネスマンには少しアニメや漫画と遠ざかっているかもしれない。しかし、この作品も連載中だがもうすでに名作の仲間入りだ。
超常能力“個性”を持つ人間が当たり前の世界。憧れのNo.1ヒーロー・オールマイトと出会った“無個性”の少年・緑谷出久、通称「デク」は、その内に秘めるヒーローの資質を見出され、オールマイトから“個性”ワン・フォー・オールを受け継いだ。デクはヒーロー輩出の名門・雄英高校に入学し、“個性”で社会や人々を救ける“ヒーロー”になることを目指して、クラスメイトたちと試練の毎日を過ごしていた。via:INTRODUCTION |
今回は名著「7つの習慣」と「僕のヒーローアカデミア」を組み合わせて読み解く。
小学生の子供に7つの習慣を読めとは言わない。ただ、僕のヒーローアカデミアにそって7つの習慣の話を織り交ぜることで、子供たちも理解しやすく、なおかつ7つの習慣を忘れにくくしてくれる副次的な効果もあったのでぜひシェアしたい。
親と子供で楽しく議論し合える組み合わせだ。
本記事では僕のヒーローアカデミアのストーリーにそって、7つの習慣を当てはめていくこととする。
**7つの習慣と僕のヒーローアカデミアの融合 **
7つの習慣とは人格を磨くための基本的な原則を形にしたものである。その原則を守ることで、自らが 変化し、変化を引き寄せていく。
また、依存から自立、相互依存へと至る成長のプロセスを導くものである。
これらを僕のヒーローアカデミアと照らし合わせていきたい。(以下ヒロアカとする)
**第1の習慣 「主体的である」 **
7つの習慣では、人格は状況や条件付きによって形成されると考えられており、子供時代の体験、教育、まわりの誰かからの影響など要因は様々だ。これはつまり刺激と反応によって人格が決まるとも言える。
この中で著者が説く重要な指摘は、刺激と反応の間には「選択の自由」があるということ。言い換えれば、今までの人生は選択の結果であり、これからの人生は選択することで道をつくっていくことになる。そして選択には自分で選択した人生を受け入れる責任があるということである。
ヒロアカの主人公、緑谷出久(デク)は絶対的なヒーローであるオールマイトに幼少期から憧れていた。ただし、彼は無個性で能力はなかった。そんな葛藤の中でもデクの幼馴染である爆轟が敵であるヴィランに連れていかれた時、能力が無いにもかかわらず躊躇せず敵に向かっていった。殺されるかもしれないのに、、
そんなヒーローとして本質的に必要な資質、「困っている人を必ず助ける」という要素を、オールマイトはデクの行動から見つけた。そして、自らの力を引き継ぐ者として、ヒーローになるかデクに選択させた。
このあらすじから、デクの主体性が見えてくる。
デクは、「爆轟を助けること」も、「ヒーローになること」も誰にも強要されることなく自らの信念のもと選択した。
なぜ選択したのか?という点に関しては彼の幼少期からヒーローに抱いていた憧れや、そうなりたい想いが強いベースとなったのだろう。
ただ、どちらも「自由に選択」することはできた。ヒーローにならない道もあったはずだ。つまり主体的とは自発的に率先して行動するだけではなく、人として、自分で選んだ人生の責任を受け入れるということにつながる。
ヒーローになるということは大いなる力を得るということだ、それは力に責任を持ち、今後行動し続けなければならない。そういった未来の道を作る責任を持つことが主体性を持つということにつながっている。
**第二の習慣 「終わりを思い描くことから始める」 **
7つの習慣では、一度自分の葬式シーンを思い浮かべてほしい。そして、弔問客たちに、あなたの人生をどのように語ってほしいか深く考えてみてほしいとある。
つまり自分の人生の最後を思い浮かべ、それを念頭におきながら今日という1日を始めるということである。
人は自分が目指すこと、大切にしたいものを頭の中に植え付け、そのイメージどおりになるように日々生活していれば、人生が間違った方向に進んでいかないはずだ。
ヒロアカに当てはめると、「自分の最後を想像しながら」というのはいささかイメージしにくい。それよりは、デクの目指す先、オールマイトの意思を引き継ぎ、今までワンフォーオールの能力をを引き継いできたヒーローたちの想い飲み込んでオリジナルの自分を形成する。その結果オールマイトや歴代ヒーローを超える存在になりたい。いつでも困っている誰かを助けたい、みんなを安心させる象徴となりたい、というような目標を「最後」と設定するのが望ましいと考える。
7つの習慣では、この第2の習慣を身につけるために「個人のミッションステートメント」を書くのが効果的だとある。これは、(1)どのような人間になりたいのか(人格)、(2)何をしたいのか(貢献・功績)、そして(3)それらの土台となる価値観と原則を書くことが望ましい。
注意したいのは、(3)についてだ。土台となるもの、あなたの中心になるものが、人や物では行き過ぎた依存が生まれ、バランスが崩れてしまうことがある。あくまで、土台におくべきなのは、公平さ、誠実さなど、あなたが最も大切にしたい価値観とのことだ。
つまり、ヒロアカに置き換えると、
(1) 人々を笑顔で救い出す平和の象徴になりたい
(2)ヴィランのいない世界、平和な世界をつくりたい
(3)困っている人がいたら1秒も迷わず必ず助ける
のようになるだろう。
ゴールを決め、逆算し、1日1日を無駄なく大切に過ごせるようになるはずだ。
**第3の習慣 「最優先事項を優先する」 **
第3の習慣は、第2の習慣で定めたことを行動に移すための習慣だ。第2の習慣は「やることを決める」ことであり、第3の習慣は「どのようにやるのか」ということになる。つまりセルフマネジメントの方法が第3の習慣である。
成功者たちの共通点は、成功していない人たちの嫌がることを実行に移す習慣を身につけているということである。彼らは必ずしもそれを好きだと思ってやっているわけでは無いが、目的意識を上位に持ち嫌だという感情を服従させている。
実践方法は、ものごとを重要度と緊急度に分ける。その中で重要度が高く、緊急性が低いものをいかに行うかが最も重要である。
ヒロアカのデクであれば、ワンフォーオールを使いこなすための修行がそれにつながる。効果はすぐに出ないが、誰かをいつでも救うためには力が必要だ。だからめげずにコツコツと鍛え続ける。その積み重ねがオールマイトと違うスタイルである「シュートスタイル」を生み出したとも言える。
私たちの生活においてはどうだろうか?将来役立つ英語やプログラミング学習など、子供の頃からやるのであれば間違いなく重要度が高く、緊急度が低い事項である。これらのことにコツコツと先行投資していくこと、その行動が結果的に第2の習慣で定めたことにつながるのであればやるべきであろう。
**第4の習慣 「Win-Winを考える」 **
私は個人的に大好きな習慣だ。
今までの1から3までの習慣が私的成功の領域なら、4から6までの習慣は公的成功の領域になる。つまり、個人ではなく、相互に成功していく関係性を築いていくということだ。
Win-Winとは、すべての人間関係において、必ずお互いの利益になる結果を見つけようとする考え方と姿勢である。Win-Winのパラダイムは、人生を競争の場と捉えるのではなく、協力の場と捉える。
それを進化させると、Win-Winできないならどちらの方法もとらない、という考え方ができる。
Win-Winを形成するには、(1)人格、(2)人間関係、(3)協定、(4)システム、(5)プロセス、の5つが必要となる。
(1)においては、相互が第1~3の習慣で取り上げた人格を築き、「すべての人が満足することができる」という発想をもつことが大切である。
ヒロアカでいうと、自分一人で強くなるのではなく、クラスメイト全員で協力して、共に成長していこうということである。
(2)の人間関係とは、相互の「信頼残高」を積み重ねて築き上げるものである。
ヒロアカで言うと、思いやりの積み重ねである。それは「信頼残高」を貯めようというポイント稼ぎ思考で動くのではなく、自然に相手のために動き、相手も自然とあなたのために動いてくれる関係が望ましい。助け合い、手を取り合いながらヴィランを倒していくことと同義。
(3)の協定とは、相互に期待することを明確にする、Win-Win実行のためのものである。
これは授業中デクがチームを組んだ飯田天哉や麗日お茶子との関係がわかりやすい。勝つという目標に向かってお互いの個性を知り、その能力を最大限に活かす戦略を考え、大きな力に向かっていった。この行動は相互に期待しなければ成し遂げられない結果だ。
(4)のシステムとは、Win-Winの行動が評価される仕組みである。Win-Winを推奨すると言いながら、報酬の仕組みはWin-Loseになっているケースもある。そうするとWin-Winの関係は成り立たなくなってしまう。
ヒロアカで言うと「評価」が明確か?と言うと難しい。しかし、Win-Winから得られる個人の経験値を超えたプロセスや結果が自らを強くし、チームのしての力を引き上げていると感じれば十分システムとして成り立っている。
(5)のプロセスについて、Win-Winの本質はそのプロセスと強い相関関係がある。Win-Winのプロセスを踏まずして、Win-Winの結果に到達することはできない。目標がWin-Winならば、手段もWin-Winでなければならない。
ヒロアカでは全員がプロヒーローになるという明確な共通結果がある。これに到達するために切磋琢磨し、困難な手段を取りながらも相互依存しながら前に進んでいる。目標もプロセスも一致しているとは正にこのことを言うだろう。
**第5の習慣 「まず理解に徹し、そして理解される」 **
つまり、傾聴の方法である。
親子のコミュニケーションで子供の話を聞いている途中、評価し、助言したり、小さな間違いを正したりしたことはないだろうか?私はある。それは自分の過去の行動や経験値、知識に照らし合わせて解釈してしまっていたと言うことだ。これは傾聴とは言えない。
話の聞き方のレベルで、最高レベルのスキルは、「共感による傾聴」である。これは、相手を理解しようと聴くことであり、相手の身になって聴くことである。とにかく聞くのではなく「聴く」こと。
具体的には、うなずいたり、相手の言葉を繰り返したり、自分なりの言葉に置き換えたり、相手の気持ちを言葉にすることである。究極は、相手の言葉を自分の言葉で置き換えつつ、相手の気持ちも言葉にするということである。
ここまでできて、相手はあなたの話をオープンに聞く準備ができる。
ヒロアカで言うとデクとオールマイトのやりとりによく見られる。まだまだ青いデクの言葉もオールマイトは優しく包み込んでくれる。真っ向から否定せず、まず傾聴し、しっかりと考えた上で自分の考えを述べている。偉大なるヒーローも、自分の確固たる地位に甘えず、常に謙虚でいる姿勢は誰もが人として学びたい最高の傾聴スキルだろう。
**第6の習慣 「シナジーを作り出す」 **
シナジーとは簡単に言えば1+1=2ではなく、3にも4にもなる状態だ。全体の合計は個人の部分の総和よりも大きくなるということである。
各部分の関係自体が一つの「部分」として存在し、触媒の役割を果たす。それが、人に力を与え、人々の力を一つにまとめるうえで、もっとも重要な働きをするのである。
シナジーは、(1)高い「信頼残高」(2)Win-Winを考える姿勢、(3)まず相手を理解しようとする努力、これらが融合して、シナジーを創り出す理想的な環境ができあがる。
ヒロアカでは戦闘訓練チーム戦がわかりやすい。
デクと麗日、飯田チームはシナジー要素が十分あっただろう。
(1)学校生活の中でも相手を尊重し、助け合い、確実に信頼残高を積み上げている。
(2)Win-Winを考える姿勢、言わずとも十分ある。誰かを踏み台として自分だけ強くなろうという心は皆無
(3)まず相手を理解し合っている。自身のエゴを通さず、どんな時も相手の目を見てしっかりと傾聴する姿勢でいる。
これら3つが組み合わさり、各々の個性を組み合わせてシナジー効果を生み出し勝利を勝ち取った。信頼し合ってなければ相手に自分の背中は預けられない。
**第7の習慣 「刀を研ぐ」 **
再新再生のプロセスが刀を研ぐことにつながる。
つまり、他の6つの習慣を果たすためにあなた自身がアップデートし続けるということである。生み出すシナジーの総和を大きくするのであれば、個人の部分の総量を増やし、相手と組み合わせる量や質が増えればさらなる成長へつながるだろう。
具体的には四つの側面(肉体、精神、知性、社会・情緒)の刃を研ぐ。
1,肉体的というのは健康に気を使い、よく食べ、よく寝て、よく動くこと。
ヒロアカで言うと、修行し続けること、個性を磨くこと
2,精神的ということはあなたの価値観を守り抜くということ。手法は多様にある。本を読む、瞑想する、憧れの人に合う、歴史を学ぶなど、自然と向き合うなどだ。
ヒロアカで言うと、デクだあればオールマイトのビデオを見る、話を聞きに行く、瞑想してオリジンと対話するなどだろうか。
知性的ということは継続的に学ぶことに尽きる。知識を広げて深く掘る。
ヒロアカで言わずとも学生として学び、興味がある分野や大切な分野は掘り下げ知識の質を上げよう。、
社会・情緒的とは、日々他者と接している中で築き上げられる。訓練としては第1から第3までの習慣で自立し、第4から第6の習慣を身につけて相互依存を創り出すことが前提である。
これら含め習慣を意識して実践し続ける。
**さいごに **
7つの習慣は暗記することに意義があるのではなく、これを習慣化して実践し続けることに意味がある。
しかし、ビジネス書とは読んだ後に忘れてしまう人も多いだろう。本記事は、そのビジネス書特有の覚えにくさをヒロアカのストーリーと組み合わせることで小学生高学年の子供でも理解できるよう心がけた。
アニメ好き×ビジネス書好き
という私のような属性は少ないかもしれないが、ぜひ7つの習慣とヒロアカを合わせて見てみてほしい。1つのアニメという娯楽が、良質な学びのコンテンツに変わるはずだ。
私は父親として娘に7つの習慣を教えたいと思って悩んでいたが、ビジネス書形式では難しく、興味を引かないと感じていた。また、現在発行されている7つの習慣の漫画バージョンも子供にはとっつきにくい。
ゆえに、娘とアニメを見ながら、遠回りに7つの習慣のステップに沿って説明してあげたところ、とても興味を持ってくれた。
アニメや名言は心に残るという特性を活かして、名著をこれからも組み合わせていこうと思う。
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