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モノシラズが知識を手に入れ始める話

思い出せない

記憶力が乏しい。やっと思い出しても本質的なところが抜けている。「どこかの天井の模様がひじきみたいだと思ったこと」「小学校の保健室でソファの手すりの塗装が剥げていたから、私もちょっと剥いでみたこと」こんなことばかり覚えている

日本史も世界史も苦手。社会人になってから「分かりやすい歴史の本」を読んでみたけれど少し経つとまた忘れる。私だって「戦国時代って、たまらなくおもしろいよね!」とか興奮して話してみたいよ。

歴史に限ったことじゃない。おもしろかった話を人に話そうと思った時に「誰が?」「いつの話?」みたいなことが出てこない。その結果、思ったように伝わらずただ私の興奮している姿を見てもらっただけになってしまう。友よ、家族よ、いつも聞いてくれてありがとう。

モノシラズ

そしてついに私の「モノシラズ」が露呈する日々が訪れる。アメリカ留学だ。

私は日本人だから、みんな日本についてたくさん質問してくれた。優しい。「日本のどこに住んでるの?」あたりでは笑顔で余裕をかましていたが、テーマが「天皇」になった瞬間、相手の止まらない質問が攻撃のように思えてきた。まず「昭和天皇」ではなく「Hirohito」のように全員を諱(いみな)で呼ぶ。…これは大変だ。分からない。

そして気づいた「相手の方が日本を知っている」。英語力と知識の乏しさが相まって、完全終了だった。

モノシラズノサトミのアメリカ留学(終)…いやこのままじゃ終われない!

止まらない "Teacher!(ティーチャー!)"

英語の授業が始まってから、気付いたことがあった。クラスメイトがめっちゃ質問する。「ティーチャー!」と授業を止めて、「もう一回言ってください!」「ここが全然分かりません」とはっきり言う。

なんなら「なんでダメなの?ポルトガル語ならオッケーなんですよ?」「フランス語も!」みたいなことも言ってたな。先生の答えは「でもこれ英語だからさ。」だった。そりゃそうだ。

私は質問があっても聞く勇気が出なかった日があったけど、クラスメイトの波にのまれず私もぐいぐい聞いてみようと心を変えた。

自分の「分からない」を公開し始めたら気が楽になっていった。それに時々クラスメイトが「いい質問だった!ありがとう!」と、合いの手入れてくれるから私の質問も止まらなくなった。ティーチャーありがとう。

知ったかぶりの代償

はい。私、今まで様々な局面で知ったかぶりしてました。聞いているふり・分かったふりも。知らないのは恥ずかしいし、質問は「そんなことも知らないの?」と思われたくないし…。「聞くは一瞬の恥、聞かぬは一生の恥」なんて言葉を聞いても、私の気持ちなんてまるで分かってないのね!って感じでした。

でもこの知ったかぶりの代償は大きかったな。人の話を聞き流していても覚えられるはずないし、ノートばかりとるのもあまり得策じゃなかった。

それでね、テツガクしました。

人の目を気にしなくなってからの勉強は最強

勉強なんて自由にすればいいと気付きました。本を読んで分からなければYouTubeを見ればいいし、相手の話が分からなければもう一回言ってもらえばいい。自分に合うなら児童文学を読んで勉強するのもいい。それでもつまずくことがあるけど、自分に厳しくしないで許してあげながら勉強したい。そうしたら本当に楽しい。

英語留学では毎日分からないことと間違い続きだったから、失敗することが少し平気になったなあと思う。

なんでもやってみればいいよね。ペラペラに英語を話すあの人だって、ABCから勉強したんだから。私、いま勉強が楽しくてたまりません。

まとめ:自分のためだけに勉強したらいいよ

YouTubeで歴史のチャンネルを見たら面白くてハマっている。ちなみに「小学生でもわかる…」みたいなチャンネルを見ているけど、勉強に「私はこんな簡単なもの見ないわよ!プン」みたいな余計なプライドを発動させるのはやめました。

分からないものは、今から学ぶしかないんだからね。オッケーオッケー。

自分が知りたいことを自分に合う方法でやってみようかなと思う。

おまけ:学びを謳歌しているクラスメイトのはなし

中米のマルティニークから来たクラスメイトと友だちになった。彼女は、地元大学とフランスの大学の2校を卒業していたり4か国語を話せたりする。子育てしながら今はアメリカでフランス語を教えている。英語なんて全然話せない状態で渡米して、フランス語の先生始めたそう。

いつもハッピーで故郷をこよなく愛している美しい人。たくさん言語が話せるのは「興味があるからやってみたい」という理由なんだって。

そして授業ではたくさん質問する人だった。私も彼女のように人生ずっと学び続けたいな。

テツガクだって間違えてオッケー!

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