スポーツチームに地元ファンがつく理由
こんばんは!毎日投稿157日目になりました。今日も頑張っていきましょう!
「地元だから応援する」ワケ
皆さんの地元には何かスポーツチームがあるでしょうか?あるとしたら、皆さんはそのスポーツチームのファンである可能性が高いはずです。
人は、進化の過程で「自分が属する集団に味方しやすい」という性質を手に入れてきました。もちろん、小集団で生活する以上、その中での結束は極めて重要でした。
タジフェルの実験
イギリスの心理学者ヘンリー・タジフェルは、面白い実験を行いました。まず互いに面識のなかった被験者たちを無作為に2つに分け、その後片方のグループに「このグループの人は皆、もう一方のグループがこれまで知らなかったある種の芸術を好む傾向がある」と告げました。
すると、芸術のことなど何も知らないにもかかわらず、それを告げられたグループのメンバーは、同じグループのメンバーを、他方のグループのメンバーよりずっと好ましいと感じたのだそうです。
つまり、極めて些細な共通点、あるいはそれがあるという思い込みが親しみを促しているわけです。
外集団同質性バイアス
また、外集団同質性バイアスという興味深い心理効果もあります。これは、他集団をステレオタイプ化し、多様性が低く無個性に感じられるというものです。
皆さんの周りにも、前の学校でこんな個性的な先生や友達がいた、前の職場でこんな変わった上司がいた、などと楽しそうに話す人がいるのではないでしょうか。
そのように話す人は、このバイアスに気づいていないと言わざるを得ません。大抵、変わった先生や上司はどの学校、職場にもいるものです。
なぜ戦争が起こるのか
世界規模でも同じことが言えます。僕たちは大抵ユーラシア大陸の西方に住む人を「ヨーロッパ人」、アフリカ大陸に住む人を「アフリカ人」のように一様に考えてしまいます。
しかし、人口1億人余で大きくもない日本にもスポーツ、料理、芸能界、漫画・アニメ、伝統芸能、オフィスワークなど多様な種類の職に携わる人がいます。対してヨーロッパの人口は7.5億人(2020年)、アフリカは13億人弱(2018年)です。それらに同じかそれ以上の多様性やストーリーがあるのは明白です。
上に挙げた心理バイアスが日常生活で顕著に悪影響を及ぼすことはほぼありません。しかし、ある時には、人間に(文字通り)致命的な間違いを促します。
その「ある時」とは、戦争です。
戦時下において、国は「“祖国”のために命を捧げろ」と国民に訴えかけます。この“祖国”という言葉は国民に自分たちが血の通った兄弟であるかのような感覚を呼び起こし、他の国を敵国と見なさせるのに非常に適した言葉です。
歴史上、この“祖国”のために多くの人が命を落としました。これは明らかに間違いだと言えます。ただこの国に生まれてきたというだけで、なぜ他の国を攻撃しなければならないのでしょうか?
海洋国の日本はとりわけ海外との隔たりが激しいですが、多くの国にとっては陸地に国境を構えます。私たちの“祖国”という考え方はその国境のどちら側に生まれたかだけで変わってしまうようなものです。そんなものを崇拝する理由など1ミリもありません。
現在、ロシアがウクライナに侵攻し、世界で強烈な注目を集め続けています。是非この機会に、当事者になったつもりで、戦争について今一度立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか?