【書評】コンセプトの作り方 山田壮夫
大学で教育に関わっていると「必要なこと以外やりたくない学生」というのに結構であう。高校や塾で受験に役立つことだけやって来たので、必要ないことをやるのを極端に嫌う。しかし、大学で学ぶことというのは、多くの場合、直接的に役に立つということはない。広く知識を積み上げて教養を醸成する場である。やくに立つ事だけをやりたいなら専門学校に行けばいい。
そのような学生は、この本で冒頭でてくるような、批評家タイプの人物が多い。しかし、「イノベーティブに考える」ためには一見無駄に見える行為を繰り返しながら、知らない知識を調べ、自分ごとに考えるということが求められる。
この本は「コンセプト」という切り口から、そもそも「コンセプト」という定義が曖昧で、きちんと使われていないというところから出発し、このような「評論家」でなく、きちんとした「コンセプト」を作り上げ、イノベーティブな考え方をする方法が事例とともに記されている。
この本の文章はライトで読みやすく、1時間ぐらいで読み終えることは可能だろう。しかし、この本の内容を実践するには、かなりの読階と労力が必要だ。
デザイン思考を学びたいが、『クリエイティブコンフィデンス』などを読みきれないような初学者におすすめだ。この本を入り口にイノベーティブに考えるきっかけを与えてくれる。
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