《ユディトとホロフェルネス》ドナテッロ
《Giuditta e Oloferne》Donatello
《ユディトとホロフェルネス》は、ドナテッロが1453年から1457年に制作したブロンズ製の彫刻です。
Giuditta e Oloferne, Donatello, 1453-1457, Bronzo, 236 cm, Palazzo Vecchio, Firenze
この彫像は、メディチ・リッカルディ宮殿の中庭にあった噴水彫刻でしたが、1494年にピエロ・ディ・メディチが追放された際に、市民たちが勝利の記念としてヴェッキオ宮殿玄関の左手に運ばれました。
1504年には、その場所をミケランジェロの《ダヴィデ》にとって代わられ、今は《ダヴィデ》の左側にありますが、これはコピーです。オリジナルはヴェッキオ宮殿内の百合の間(Sala dei Gigli)に展示されています。
ユディトは、旧約聖書外典の1つである『ユディト記』に登場するユダヤ人女性で、聖書内でもその美しさが強調して描かれるユディトは、画題としても人気があり、中世から何度も描かれてきました。
新バビロニアの王ネブカドネザルは、イスラエルを陥落させるために、将軍ホロフェルネスを遣わしてユダヤ人の街ベトリアを包囲しました。追い返すほどの武力を持たないベトリアは籠城するしかなく、そのうち食糧も尽きてしまいました。ついに神への捧げ物にまで手をつけようとしていたとき、ユディトという女性が行動を起こしました。
ユディトは美しく敬虔な未亡人でした。彼女は華やかに着飾ると侍女を連れ、寝返ったふりをして敵陣の祝宴に乗り込みました。美女の来訪に浮かれたホロフェルネスは、勧められるまま酒を飲み続け、泥酔してしまいました。側近たちは気を利かし、天幕にユディトを残して解散してしまいました。二人だけになったところで決心した彼女は、眠り込むホロフェルネスの腰から剣を引き抜くとそのまま一気に首を切り落としました。指揮官をなくした敵軍は混乱し、あえなく退散しました。こうして、イスラエルの街は守られたのでした。
ヴェッキオ宮殿/Palazzo Vecchio