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《ダヴィデ》ミケランジェロ・ブオナッローティ

《David》Michelangelo Buonarroti

ダヴィデは旧約聖書に登場するユダヤ王国2代目の王になる人物ですが、「勇気を持って自由を勝ち取る戦士」としてのダヴィデは、わずか13歳の少年です。

画像1David, Michelangelo Buonarroti, 1501-1504, Marmo a tutto tondo, 517×199 cm, Galleria dell'Accademia, Firenze

イスラエル軍の前に立ちはだかるのはペリシテ人の大将で、身の丈は3メートル近いゴリアテという名の大男です。恐れをなすイスラエルの陣営に、ちょうど兄たちの慰問にやってきた羊飼いの少年ダヴィデがその話を聞き、一人で立ち向かいます。

狼を追い払うときに振り回して使う、革製の石投げ紐と石ころを握った少年は、ふつうなら青銅の鎧・兜に身を包んだゴリアテの敵ではないはずです。しかし、ダヴィデの投げた石は、ゴリアテのもっとも無防備だった眉間を打ち倒してしまいます。さらに、走り寄って相手の剣を奪ったダヴィデはゴリアテの首をあっさりと切り落としてしまいます。

イスラエル軍は少年ダヴィデの勇気によって思いもかけない大勝利へと導かれることになりました。

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しかし、ミケランジェロの《ダヴィデ》は、勝利のダヴィデではありません。まだ、その手に石は握られたままで、放たれていないからです。

そこには百戦錬磨の敵をしっかりと見据えて、ひるみもしなし若々しい裸体のダヴィデが立っています。ミケランジェロがダヴィデに託したのは「勝利」ではなく、勝利を勝ち取るべく立ち上がった人間の「真の勇気と力」でした。そのため旧約聖書に描かれている13歳の少年を、少なくとも一人の若者に成長させるという表現上の飛躍が必要だったのです。

1501年8月16日、26歳の若きミケランジェロは、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のバットレスを飾る巨大な大理石像《ダヴィデ》の制作依頼を引き受け、1501年9月9日に制作の第一歩を踏み出しました。

彼が用いた大理石は、他の彫刻家が同じようにダヴィデを彫ろうとして、足の部分に穴を開けてしまったため、不格好なものになっていましたが、ミケランジェロはそのハンデをものともしませんでした。

2年以上の歳月をかけて、ミケランジェロはこの困難な大仕事を成し遂げ、1504年9月8日に一般に公開されました。

6トンを超える巨像を大聖堂の屋根に上げる可能性がほとんどなかったため、フィレンツェ市当局は委員会を招集し、政庁舎(ヴェッキオ宮殿)前に設置することを決定しました。


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アッカデミア美術館/Galleria dell'Accademia

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