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カミナシ、エンタープライズ事業を本気で推進していきます
こんにちは、カミナシでCRO(Chief Revenue Officer)をしている宮城です。
2024年の7月からこの役割になりましたが、自分のロールが変わったこと以上に会社のビジネス状況が目まぐるしく変わっていて、気づいたら発信が滞っていました・・・
以前エンタープライズ事業(大手起業向けのビジネス)の役割の一つとしてAccount Managerという役割について約1年前にnoteを出しました。
このnoteを出した後に社内外で反響をもらったり↓のような大作を作ってくれるメンバーもいました。
ちなみにこれを書いてくれたよっちさんは本当に優秀で、「この会社・この人に会ってみたい!」という話をすると間違いなく場を設定してくれます。しかも日程のアポ設定だけではなく、お客様・カミナシの双方にとって良い場になる商談機会をセットしてくれます。すごいです。
上記のnoteから1年が経ち、カミナシはエンタープライズビジネスを前進することができていますが、来年1年でカミナシのエンタープライズ事業の規模を倍以上にしていく予定です。
しかしながら、切実にオープンに言うと、まだまだやりたいことを推進するためのキーパーソンが不足しています。
このnoteでは「カミナシのエンタープライズ事業はどんなことをやっているのか?これからどういうことをやろうとしているのか?」について記載します。
「我こそはここに取り組んでみたい!」という人や「ノンデスクワーカー向けのエンタープライズ事業に興味がある」という人にぜひ読んでもらえるとありがたいです。
ここ半年のカミナシのビジネスの変化
カミナシは、名前の通りもともとはペーパーレスのサービス、カミナシレポートを4年以上提供しています。
3年ほどは長らく一つのプロダクトで推進してきたのですが、この半年でプロダクトが4つになりいわゆる”マルチプロダクト”を推進する会社になりました。
現場で働く”ノンデスクワーカー”の領域においては、人手不足がどの業界よりも深刻に発生しています。少子高齢化による働き手不足の影響がデスクワーカー領域よりも受けやすく、重要かつ緊急度の高い課題になっています。
カミナシとしては、この人手不足を「作業方法」「人」「設備」の領域から解消しようとしています。
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プロダクトが複数になって明確に変化したことの一つに、「アプローチできる部署が増えた」ことがあります。
今までは、一つないしは限られた部署にしかアプローチできませんでしたが、複数部署と接点を持ち異なる訴求ができるようになりました。
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カミナシのエンタープライズ事業におけるお客様の特徴
とにかく対象リストが限られているが、企業の奥行きは広い
大手企業向けビジネスをしている事業においては通説ですが、対象となる企業数に限界があります。カミナシにおいては、ノンデスクワーカーが対象になるので金融や情報通信業界は対象になりません。
通常のホリゾンタルSaaSなどと比べるとリストの数が少ないです(半分程度になります)
一方、一つの企業における奥行きが広いことも特徴です。
前述の通り購買対象部署も多いことに加え、傘下の工場や拠点も独立した決裁権を持っていることが多いです。
つまり、法人あたりのリストは限界がありますが、部署・拠点ごとのアプローチ先は大幅に増えます。
「特定の企業に対しての商談失注有無」よりも「特定の企業のどの部署にアプローチしているか」を解像度高く見極める必要があります。
業界の中でも新しいことに挑戦しているお客様が多い
大手企業というと一般的には保守的な企業が多い印象がありますが、ノンデスクワーカー領域においては積極的に新しい挑戦をしている企業が多いです。
IT業界のような成長業界ではなく、市場を維持することが求められる業界においては、それぞれの業界のトップランナーが「自分たちが業界の未来を作る」として新しいことに挑戦するお客様が多いです。
これは、企業においても担当者においても同様です。IR資料に挑戦的なメッセージを明示している企業も少なくないですが、担当者様と話しても「業界を良くするために」という想いを持っているお客様が多いです。
だからこそ、新しいIT領域への投資も積極的です。
ただ無尽蔵に投資してくれる訳ではなく「それは自社のビジネスの何に役に立つのか?」「業界全体が良くなるのか?」という議論が必要です。
お客様と一緒に考え、投資いただくことがカミナシのエンタープライズビジネスの醍醐味といえます。
横のつながりが強い
最後に、カミナシのお客様同士は横のつながりが強いです。直接的に取引をしていることも多く、業界横断して取り組みを行っているお客様が多いです。
例えば下記のセブン-イレブン・ジャパン様の記事が代表例になります。
一文をピックアップしますが、このように自社だけでなく取引先の企業と連携して業務・仕組みを統一する取り組みが多いのが印象的です。
「カミナシをはじめ、さまざまなITソリューションを積極的に活用していくことで、製造現場だけでなく、サプライチェーン全体のデジタル化を進めていきたいと思います。事故を未然に防止するとともに、問題が起きてしまった際にも、即座に発見して解決できる仕組みが不可欠です。そのためにも、引き続きパートナー企業の皆さんとともに、デジタル化を推進していきたいと思います」
想像以上に他社が何をしているのか?の情報収集に力を入れていますし、「私達の取引先でカミナシを使っていると聞いた。見たら良さそうだったから使います」と言われて導入いただくケースも多いです。
だからこそ、販売するだけではなく導入後の顧客の成功を実現することが重要です。
顧客接点の線を長く考える必要があり、難易度は高いですが、ビジネスがスケールするための要素も詰まっています。
エンタープライズ事業のビジネス拡大において実施していること
ここからは、カミナシが実施していること/実施する予定のことについて記載します。
カミナシのエンタープライズ事業推進については、SaaSで良くいわれる”Land & Expand”の形が多いです。
ローコスト戦略の派生形で、低価格で小規模かつ素早く企業への導入を進め、 アカウントを核とした後にアップセル/クロスセルでARPA(顧客1社当たりの平均単価)を向上させていく戦略パターンです。 特に全社導入など、利用するアカウント数が多く、ネットワーク効果が効きやすいSaaSプロダクトでよく見られます。
カミナシでは、全社展開を見据えていただきながらも、最初は1部門や1拠点で導入いただくケースが多いです。スモールな成功事例を他拠点や他部署に横展開が進んでいきます。
新規顧客のビジネス拡大において実施していること
見込み顧客との接点構築
様々な手法で接点を作りますが、リード獲得の主戦場は展示会です。展示会では勉強熱心な大手企業の幹部も来場し、カミナシも過去創業から展示会で多くの事業を作ってきました。
今年から注力し始めたのはカンファレンスです。10月に実施したカンファレンスでは、カミナシのお客様に登壇いただきました。
初めて大規模なカンファレンスを実施したのですが、参加者の方々からは「カミナシユーザーの生の声や業界のリーダーからの声を聞け、満足度の高い内容だった」と感想をいただいています。
接点が取れた後のアカウントごとの活動
前述したよっちさんのこのnoteに明るいですが、どの部署のどの役職の方と接点を取れたか?を明確にしていきます。
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多くの人が関わることが特徴になるので、接点の情報をきめ細かく持つことでアクションプランを立てやすくしています。
カミナシでこれから挑戦しようと思っているのは、「インサイドセールスがアカウント開拓の責任を担う」ということです。
一般的にはAE(Account Executive/いわゆるフィールドセールス)がアカウント主担当としてアカウントプランを作ることが多いです。
ただ、カミナシは前述の通りターゲット数が絞られます。インサイドセールスがアプローチする企業と開拓方法の解像度を高く持てると良いのでは?という仮説の下進め始めています。
インサイドセールス担当とAE担当がツーマンセルで担当を固定し、アプローチする企業・商談量などをきめ細かく連携することに挑戦しています。
↓先日もエンタープライズのセールス連携についてイベントを行いました。良ければご覧ください。
プリセールスチームの組成
実は、今年からプリセールスチームを組成しています(といってもまだ一人ですが笑)
背景としては、エンタープライズ事業においては要件定義を入念に行う必要があります。
機能のあるなしだけではなく、「どれぐらい自社にマッチしているか?」「本当に現場で使えるのか?」を実際のデモを元にお客様と詰めていくケースが多いです。
プロダクトの活用と並行して、体制、業務範囲を適切に見極めてから契約いただきます。
これをセールスだけで実施することは難易度が高く、CSでもまだお客様になっていない人にどれだけリソースを使うべきかわからない、という課題があり専任担当を作ることにしました。
プリセールスは長年CSのオンボーディングを担ってきた主力メンバーをアサインすることで、後工程のCSとの接続も行いやすくしました。
結果的に、お客様も「この後の利活用のイメージが湧いた」「サポートに安心し今後も付き合いたいと思った」というお声をいただき、契約につながるケースも増えてきました。
既存顧客のビジネス拡大において実施していること
カミナシは、既存顧客営業を前述のAccount Managerとしておいていることが特徴になっています。これにより、既存顧客の推進も進められています。
売上も新規導入から3-4倍になることも多く、それだけお客様への価値の証明になっています。詳細は前述のnoteを見てもらいたいですが、ここでは2つの新トピックを紹介させてください。
クロスセルの推進
複数プロダクトになったことで、クロスセルの推進を1テーマとしています。
今までは単一プロダクトを主体に事業推進してきたので、NRRは平均的なSaaSよりは高い数字を作れていますが、難易度が年々上がっています。
これからは、複数部署にアプローチすることでさらに顧客内での面を広げる活動を行っていきます。
まだプロダクトが増えて3ヶ月程度ですが、すでにクロスセル実績も多数生まれていて、手応えを感じています。
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プロフェッショナルサービスの検討
エンタープライズ向けSaaSの宿命でもありますが、プロダクトだけでお客様の実現したいことを叶えることは難しいことがほとんどです。
お客様がプロダクトを使って実現したい事業や業務変革を実現するために、プロフェッショナルサービスの立ち上げを行っています。
プロフェッショナルサービスにはいくつかのパターンがあり、カミナシは下記の①と③を検討しています。
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特にカミナシの扱うデータはお客様にとって有益なことが多いです。
今まで紙でデータ化されなかったデータを吸い上げることができ、現場の生の情報が詰まっています。
このデータを基に業務改善や商品データの改善を実施したいという声をいただき始めています。特に③を立ち上げるために、プロフェッショナルサービス専任のチーム立ち上げを検討しています。
カミナシでエンタープライズビジネスを立ち上げる人に提供できること
以上が、カミナシで推進しているエンタープライズ事業の概要となります。
ここまでで面白そうと思っていただけた人にはありがたいですが、加えてカミナシのエンタープライズ事業に関わることでカミナシから提供できることについて記載させてください。
まず、大前提としてエンタープライズ事業に求められるのは「営業能力」だと思います。これはカミナシだけではなくどの企業においても必要です。
相手は大手のお客様で、物事を慎重に進めますし組織が動くロジックがスタートアップとは全く異なります。
スタートアップからするとなんでもないことでも、お客様からすると担当者のキャリアが命取りになることも少なくありません。
だからこそ、「相手の発言の裏を理解する」「組織力学を理解する」「お客様のスピードを早めるために背中を押す」という折衝能力は必須だと言えます。
効果的なアプローチを行うための事業開発マインド
前述しましたが、エンタープライズ事業といっても大手のお客様であればどこでも商談を取れば良い訳ではなく、横のつながりや奥行きを意識しながら事業を進める必要があります。
一つひとつのお客様を中心にして”市場”と呼べるぐらい大きなポテンシャルがあります。一般的なリードが来て、販売して、オンボーディングする通常のThe Modelとは異なる形が求められます。
カミナシのお客様は大きく3パターンに分けられ、それぞれアプローチ方法があります。
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1.超大企業アプローチ
→一番わかりやすいですが、購買対象部署や拠点が大量にある企業にあたります。 トップダウンで高役職者にアプローチしたり、ボトムアップで現場から推進してもらったり、一つの事例を基に横展開できる仕組みを作ることが求められます。
2.コングロマリット企業アプローチ
→大手企業の中に、複数業態を持った企業にアプローチします。大企業の中には、製造業やホテルや運輸などが混在した企業も少なくありません。
業態や業務が全く違う会社が存在するので、同じグループ企業にアプローチしながらも、同一業界の事例を効果的に用いてお客様への効果的な説明を求められます。
3.サプライチェーン企業アプローチ
→特に製造業や小売企業においては、サプライチェーンの川上から川下まで意識している企業が多いです。
大手企業を中心に「業務標準化したい」核となるグループ・組合・取り組みが存在します。その核となるグループを特定し、効果的に面を取る活動が求められます。
これだけでも変数がありますが、さらにカミナシでは複数プロダクトを組み合わせてアプローチ方法を考えていく必要があります。
どの市場にどの商材を持ってアプローチしビジネスを作っていくか、まさに”事業開発マインド”が求められます。
また、前述の通りカミナシのお客様は業界の中でも先進的で新しい取り組みを行うケースが多いです。
自分の持っているお客様との取り組みが、業界を変えるような大きな波を作ることも可能です。
「自分の取り組みが世の中を変え始めている」という感覚を直接的に得やすい領域だと考えています。
お客様起点でビジネスを業界全体に広げていくこと、を戦略性持って考えながら裁量大きくチャレンジすることができます。
難易度の高い組織攻略
前述の通り、様々な部署にアプローチすることが求められます。単純にユーザーとしての部署に関わることは他の事業でもありますが、カミナシは購買対象となる部署が多数あります。
私自身が今までのキャリアでエンタープライズ営業・CSを行ってきたときは、多くて2-3の部署と関わることが多かったです。
例えばERP系のシステムだとコーポレート部門とシステム部門が購買対象部署となることがほとんどでした。
カミナシでは製造業だと製造部・品質管理部・生産技術部・総務部・情報システム部門など決裁権を持つ可能性のある部署が多数あります。しかも、全く違う業務をしているので組織力学も全く異なります。
これらのお客様と多角的に関わりながら営業活動を行うことは組織攻略の能力が高いレベルで身につくといえます。
全社一丸となって商談・お客様に向き合える
最後は、チームの働き方について記載します。
カミナシは企業ごとや個別カスタマイズなどはどのお客様でも行っていません。なので、すでにあるプロダクトをどうこのお客様に使っていただくかを考えるのに、全社一丸で取り組むことが多いです。
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例えば良くあるのがセキュリティ対策や規約の変更など、大手企業とスタートアップだと噛み合わないことがあると思います。
これを「スタートアップだから受けられない」とすると何も受注できないし、「受注のためにすべて受ける」となると後々の負債を溜め込むことになり未来の事業スケールに影響が出ます。
どう落とし所を見つけるかを、営業が一人で考えるのではなく各チームの叡智を集約し、スピード感持って対応していくのがカミナシの特徴です。
他チームとすり合わせることで、お互いにとって無理ない提案をすることでお客様からも「誠実に対応してくれる」と評価いただくことが多いです。
このように、カミナシから提供できることを説明しました。
繰り返しになりますがエンタープライズビジネスにおいて重要になるのは”顧客折衝”を中心とした営業能力です。
営業能力を起点に、上記のような事業開発マインドや組織を動かす力を身につけられることは、間違いなくカミナシならではの魅力だと断言できます。
以上がカミナシのエンタープライズ事業の概要になります!
「意外と仕組みができてるんだな」と思った方もいるかもしれませんが、全然そんなことはなく「宮城がやりたいこと」も多く詰まっていてこれから実施することも多いです。
これからこの事業をさらに推進していくためのコアメンバーを大募集しています。
ノンデスクワーカーのエンタープライズ事業、これを成功させている企業はまだまだ日本では少ないので、ぜひ一緒に推進していきたい方を募集しています!