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マルチバーティカル、まだまだやってます ~カミナシのGo-To-Marketの現在地~
こんにちは、カミナシの宮城です!
以前マルチバーティカル戦略という記事を作成したのですが、思ったより反響が多くありがたいことに個別でお話する機会も増えました。
発信してから1年以上たっているので、改めて今カミナシの中でマルチバーティカルとして取り組んでいることについて共有したいと思います。
マルチバーティカルについての概要は↑の記事を読んでいただきたいと思いますが、サマリとしては以下です。
一般的なホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaSの定義
●ホリゾンタルSaaS → 多くの市場へアプローチできるぐらい汎用性が高いが、利用される業務は特定される。業界ごとの知見はそこまで必要ないが、特定業務について詳しい知識が求められる。 (freee社・SmartHR社など)
●バーティカルSaaS → 特定の市場にアプローチすることが多く、その市場の中では幅広く使われる。業界ごとの知見が深く求められる。(ANDPAD社・Ubie社など)
カミナシの提供形態
カミナシはSaaSの形態としてはホリゾンタルSaaSだが、以下の観点で"マルチバーティカル戦略"としている。
・全業界を横串で考えるホリゾンタルというよりは、一つ一つの業界についてしっかりと掘り下げるバーティカルに近い
・業界を一つずつ攻略しながらも複数業界にアプローチする戦略を取っている
この記事では、マルチバーティカル戦略を掲げたカミナシが1年経ってどうアップデートしたかについて記載しています。
この記事を通して、「カミナシ、この後どうなったんだろうな〜」「業界ごとにアプローチする手法を検討している方」「事業の進め方で悩んでいる方」などに興味を持ってもらえたらと思うので、ぜひご一読ください!
カミナシのこの半年の状況
まず、最初にカミナシの現状について紹介していきます。プロダクトの特徴とそれゆえの未来の課題が見えてきていました。
カミナシのプロダクトの特徴(再掲)
カミナシのプロダクトはホリゾンタルSaaSですが、アプリケーションの自由度の高さから業界によって使われるシーンが大きく変わるという特徴があります。
そのため、相対するお客様の部署と抱える課題も業界によって大きく変わってきます。
このような背景から、ビジネスチームは業界ごとの状況を理解した上で適切にアプローチできないと事業をグロースさせることができません。そしてその実感は、この1年でさらに高まってきました。
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未来の課題 ~リードが足りなくなる!!~
事業自体は順調に伸びていて、売上は伸び解約は少ない状況を維持できていました。一方で未来の事業計画を元に課題を考えると「リードが足りなくなる!!」ということが明白でした。
もちろん、マーケティングの各施策はさらに研鑽する必要がありますが、漸進的な成長ではなく非連続な成長を考えると施策レベルでは不十分でした。
アプローチはいくつかありますが、メインターゲットとする業界を広げるという選択を取り、事業戦略をブラッシュアップすることにしました。
業界の選定 ~どの業界が候補として存在するのか?~
次はどの業界にアプローチすべきか?と考えた際に、2つのアプローチを取ることにしました。
「顧客からの一次情報で市場の手触り感を得る」「デスクリサーチによって市場の全体感を捉える」という視点で次の市場の解像度を上げることにし、具体的には以下のアプローチを行いました。
既存顧客から新しい種を得る ~顧客からの一次情報~
これは私がCSのキャリアが長いからかもしれませんが、「既存顧客の中に新しい事業のヒントも全て埋まっている」という思いが強いです。
既存顧客が存在しない業界にアプローチしても、「それはお客様(市場)から求められている訳ではなくカミナシとして進めたいだけで、事業としては広がらないのでは?」という考えがありました。
なので、カミナシの既存顧客から今メイン業界ではない顧客をリストアップして、いくつか問を立ててお客様を通して業界の解像度を上げていきました。
「どういった用途で使っているのか?」
「どういった課題感を持っていたのか?」
「他のお客様が共感できるような価値をカミナシは出せているのか?」
「このお客様と似たような属性のお客様はいるのか?」
などなど
SOMの策定
次に、市場規模の策定を行うことにしました。TAM/SAM/SOMなど切り口がありますが、カミナシとしてはSOM(Sales Obtainable Market)の算出を行いました。
SOMの定義は各社によって異なると思いますが、カミナシは以下で算出しています。
SOM = 該当の業界にいる社数xカミナシの既存プロダクトで獲得できるであろう単価
イメージとしては、こんな感じです。
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上記のように業界 x 企業規模ごとに社数を算出しました。
その後既存顧客の情報やいくつかの情報を元に業界 x 企業規模ごとで単価(ARPA=Averege Revenue Per Account)を算出しています。
これを掛け算するとカミナシとしてのSOMが算出されるので、このSOMを見てアプローチするに足る業界か、ということを見ていきました。
検証のアプローチ ~この業界にリソースを投下すべきか?~
上記のようなアプローチで、検証する業界を策定しました。
このタイミングでリソースを投下していくにはまだ早いので、次は「この業界はリソース投下するに足るか?」という問を立てて検証を行っていきました。
具体的には、以下のような図で考え「市場構造として適切か」x 「カミナシがアセットを持っているか」に分けて考えました。
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この4つの問いに対して、全て自信を持ってYesで答えられるのであればスケールできると考え、以下のような方法で仮説の練度を上げていきました。
既存顧客の事例を作成する
まずは武器がないとアプローチすらできないと思ったので、既存顧客に事例化のためのインタビューを実施させていただきました。
単純に「同じ業界で使ってるから安心してください」というよりも、「同じ業界のXX様はこういった使い方をして効果がでています」と言えるかどうかで説得力が違うと思ったからです。
↓はカミナシの導入事例の動画です。
実際に取材に行く際はできるだけ動画での撮影をお願いしてできるだけ利用方法が伝わりやすいようにしたり、お客様から業界アプローチのヒントをもらうようにしていました。
顧問/アドバイザーを活用する
自分たちだけで業界理解を深めるには限界があると考え、アドバイザーの活用を積極的に行いました。
具体的には、ビザスクや知り合いのツテで業界に知見がある方に何人か話を伺いました。「お客様が持っているユニークな情報」「業界自体が持っている課題や業界の構造」を結びつけて、抽象的な業界構造の理解と具体的な顧客解像度を上げることができました。
カミナシとしては2人ほど顧問契約に近いものを結び、業界理解と具体的な商談アプローチについての理解を深めました。
展示会に出展する
カミナシは、リードのメインチャネルを展示会においているぐらい、展示会に力を入れています。
展示会のナレッジは潤沢にたまっているので、よければカミナシマーケのJayのnoteを見てみてください。
展示会はリードのメインチャネルというだけではなく、検証の際は実際の商談よりも高速かつ大量に一次情報を得られる場です。
展示会に出展することで大きく仮説検証を前に進められると考え、出展数を増やしていきました。
ちなみに、前述した事例取材の記事や動画公開を間に合わせたことで、来場者からの引きは抜群に高かったです。
事例の内容はさることながら、「え、ここが使っているの?」と言って足を止めてくれる来場者も多く、お客さま様々だと改めて感じました。
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グロースのアプローチ~小さいチームで回す~
検証自体は完了し、無事に元々あった前述の「この業界はリソース投下するに足るか?」という観点の4つの問いにはyesと答えられる状態になりました。
ここまできて、いよいよ実際に「ビジネスを伸ばせるのか」という観点になったので、ビジネスサイドでチーム横断で検証体制を拡充させていきました。
このときに意識したのは「商談を大量に獲得できるか」「本当にお客様は契約してくれるか」の2点です。
重要なポイントは”インサイドセールスの商談獲得”を最重要KPIと定め、インサイドセールスに専任者を置いたことでした。
カミナシのインサイドセールスはセールス責任者の富澤のnoteにもある通り、事業推進のキープレイヤーとして活躍できるポジションになっているので、ぜひご覧ください。
専用LP・広告の作成
まずはリードを増やすことができないとどうしようもない、ということで特定の業界に特化したLPと広告を作成しました。
LPにはもちろん、Facebookなどのバナー広告にもお客様から許可をいただき、特定の業界のお客様が親近感を感じやすいように、お客様の事例を入れています。
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部門横断チームの結成
業界に対してアプローチするチームをマーケティング・インサイドセールス・セールス・CSそれぞれからメンバーを選出して組成しました。
展示会や広告などのマーケティング施策、商談獲得や受注目標を部門横断で見ることで、多角的にアドバイスしたり理解を深めたりすることができました。
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元々、このマルチバーティカルはセールスとマーケの一部チームでのみ実施していました。全チームの一体感を高めるためにCSやPMM(Product Marketing Manager)などのビジネスファンクション全ても関わり、プロダクトチームとも積極的に連携を行いました。
また、全社やビジネスのOKR(Objective & Key Results)にも設定しモニタリングしていました。
これにより、会社全体として「次の業界開拓の重要性」を認識することができ、全社のモメンタム醸成にもつながったと感じています。
今後の進め方
今回、未来のリード枯渇を見据えて新しい業界にアプローチしました。結果的に上手くいきましたが、今後は「業界ごとのアプローチ」を新規業界だけではなく既存業界にもより深く適用していく予定です。
今後は既存業界のリソース整理とさらなる新業界の策定のオーナーをPMMにし、他チームと連動しながらビジネス拡大することを考えています。
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PMMのミッションの一つとして、業界ごとのKPIモニタリングを検討しています。
カミナシの正規の事業計画は業界ごとではなく規模セグメントごとで策定してモニタリングしていますが、業界ごとの進捗を把握するために現在PMMでKPIをモニタリングし始めています。
今後は、PMMで業界ごとのKPIやユースケースを取りまとめながら、各ビジネスチームやプロダクトチームと連動していきながら業界の知見を貯めることを検討しています。
まとめ
体制
カミナシがここ最近で推進してきた新しい業界開拓について説明してきました。
以前はBizDevが先導を担うと話してきましたが、今はチームで実施した方が浸透も早くなると考え直し、PMM+新業界チームで実施しています。
部門横断で新業界チームを作った結果、ビジネス全体への浸透も早くすることができました。
特にセールスの役割を大きく超えて動き先導役になってもらったセールス責任者の富澤(@tomizawa1988)には感謝しかないです。
とはいえ、カミナシ色々やりすぎじゃない??
ここまでマルチバーティカルという戦略について話してきましたが、カミナシは現在新しいプロダクトを策定中で、1つではなく複数の新規プロダクトが進行しています。
これに対して、「カミナシって、いろんなことを同時にやりすぎて集中できていないんじゃない?」という声も上がりそうだなーと思っています。
確かにスタートアップはリソースが限られているので”選択と集中”を行うべき、と思っていますし、そういったコメントをいただいたこともありました。
社員も100人を超えて来る中で、カミナシの事業推進をどういう体制で行っていくべきか、に対して社内でも議論がありました。今のところの結論は「背中を預けられる仲間を増やし、同時多発的に事業推進する」だと考えています。
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新規プロダクトを作る人、新規業界開拓を推進する人、既存業界のグロースを実行する人、全て大事だし同時にできないと非連続な成長はできないと考えています。
今後もカミナシは事業成長を行う中で、複数プロダクト・複数業界のグロースを多角的に実施していく予定です。
「私も事業推進の先導を担うチャンスがほしい!」という方、とてもチャンスです。
どの役割・ポジションであってもこういったマルチバーティカルな事業推進に参画できるのがカミナシの面白さなので、ぜひお話しましょう!
まだオープンできていないのですが、少し話に上げたPMMも採用を開始しています。興味ある方はぜひtwitterでも良いですし、お声がけください〜〜