本業と副業のシナジーがポイント!広告会社で働く一級建築士の仕事術
大学院を出て、今年で社会人10年目。
15歳で高専の建築学科に入学して、ずっと建築設計の道を進んでいました。
小学校から住宅まで設計に携わり、26歳で一級建築士を取得。
しかし、気付けば今では住宅関連のメディア運営をする広告会社で働いています。
そんなキャリア形成の間に、趣味で始めた写真が仕事になり、写真を教えた妻はカメラマンとして独立。
今では家業の手伝いとして、建築写真専門で撮影をしています。
設計事務所開業を夢見た学生時代には想像していなかったキャリア形成。
それでも楽しくお仕事できています。
そんな理想のワークスタイルを築くポイントについて、整理してみましょう。
1.キャリアの柱となる本業で専門性を培う
本業、副業と働き方は多様化している中で、結局は本業が大切です。
本業で専門性を培い、キャリア形成の柱を築き、そこから派生させていきます。
私のキャリア形成の柱は、建築設計です。
・高専から大学院までの9年
・小学校などの公共施設を設計する設計事務所で4年3カ月
・注文住宅の住宅会社で4年3カ月
合計17年半もの間、建築設計に携わり、専門家の証となる一級建築士を取得しました。
建築設計と聞くと華々しいデザインをイメージしがちですが、実は違います。
建築に関する専門知識を持ち合わせているのは当然で、それ以外に大事なのがプロジェクトマネージメント能力です。
プロジェクトマネージメント能力とは...
課題把握、条件整理と分析、的確な提案、関係各位の合意形成を円滑に進める力。常に全体像を把握しながら、的確にタクトを振る指揮者のような役割。
特に大きな建築物の設計になればなるほど関係者が増え、高いマネージメント能力が求められます。
世間がイメージする華々しいデザイン力よりも、地味にコツコツ積み上げる人の方が建築設計に向いているかもしれません。
つまり、私の専門性は建築に関する知識の他、課題把握から提案、合意形成というプロジェクトマネージメント能力も身につけられたことになります。
このように職能をタグとして把握できると、意外と他に活かせる気持ちになるはずです。
2.本業と紐づく趣味や副業を始める
次に、本業と紐づくことをプライベートの時間で行うのが重要です。
私の場合は、趣味の写真でした。
狙って始めたわけではありませんが、手持ちの技術の中から本業と紐づくものを探すのは有益な方法です。
では、なぜ建築と写真が紐づいたのか。
それは設計事務所や住宅会社にとって、建物の完成写真がとても重要にも関わらず、身近に上手いカメラマンがいなかったからです。
語弊が無いように言うと、写真が上手いカメラマンはいます。
しかし、設計者目線で欲しいと思う完成写真が撮れるカメラマンが、地方都市にはほぼいません。
スマートフォンでボタンを押したら写真が撮れる時代に、きれいな写真は溢れています。
そんな時代だからこそ、設計者目線では設計意図を読み取った完成写真が欲しいのです。
だから、写真が上手いだけではダメで、設計意図への理解力が必要です。
設計事務所時代、本業と趣味が混在することに抵抗はありました。
でも、未来のお客さんから共感を得る強い実績として、完成写真は欠かせません。
最初は自分の勤め先だけ撮影していましたが、気付けば友人知人やその紹介で多くの会社からご依頼を受けるようになりました。
撮影実績やコツは、HPでご確認ください。
自身が設計に携わってない建築の完成写真を撮ることで、「どのように伝えるか」ではなく「どうやったら伝わるか」を強く意識するように思考が変化。
また、個人のスキルで他から必要とされることにより、会社に頼らないことの大切さを強く感じるようになりました。
これが異業種へ行くターニングポイントだったと思います。
3.本業と副業の掛け算で希少性の高い人材へ
2019年10月から建築業界をやめ、住宅関連メディアを運営する広告会社に転職しました。
転職の理由は、住宅業界における企業とユーザーの間にある課題を解決したかったからです。
この課題は住宅業界から解決することが難しく、業界外から伝えるために住宅関連メディアを運営する広告会社を選びました。
この転職には、本業と副業のキャリア経験が生きています。
課題把握:本業の住宅業界の課題
条件整理と分析:本業の力で深掘りと副業で得た視点の切り替え
提案力:本業の能力と副業で得た個人を売り込む自信
合意形成:本業の能力で雇用条件を有利に交渉
このように、転職交渉においても本業と副業の掛け算により円滑に進められました。
もちろん、収入面をはじめとした雇用条件は前職よりも良くなっています。
4.転職先でも学びをやめない
異業種で働くことは、新鮮なことが多くて楽しいです。
しかし、webや広告、マーケティングといったことを知らないままだと恥ずかしいと思い、転職後から様々な勉強に取り組みました。
・noteで文章を書く習慣づけ
・wordpressを用いたサイト作り
・Google Analytics等を用いたサイト分析
・SEOを意識したライティング
・キャッチコピーの学習
今まで建築のことばかり考えて学んできましたが、まさか自分でサイトを作るなどするなんて思ってもいませんでした。
プライベートの時間を使って自主学習していたので、大変だと感じる日もありましたが、新しいことは素直に面白いですね。
しっかり学習したことにより、本業にもスムーズに馴染め、かつプライベートでも活かせています。
現在、プライベートで3サイトを管理中。
・自邸のリノベ経験を綴ったブログ
・建築写真家としてのポートフォリオサイト
・妻が営む写真館のサイトも管理しています。
私自身のできることの幅が広がることによって、一番身近な妻が喜んでくれているのが何よりです。
さらに、広告の会社にいると情報発信を意識するようになりました。
サイト運営の他、SNSでの情報発信を強めた結果、建築写真の依頼が増え、取材依頼もチラホラ。
このように本業と副業(プライベート)を行き来することで、好循環が生まれています。
勉強は学生がするものってイメージかもしれませんが、大人になっても学ぶことをやめないのが大切。
その学びが本業と副業のシナジーを生み、新しい価値を創出してくれることでしょう。
収入増加のための副業と考える方も多いかもしれません。
しかし、本当に大きな成果を生みたいならば、本業と副業(プライベート)の関連を意識するのがいいでしょう。
そのシナジーが、仕事を楽しく、価値の高いものにしてくれます。
建築と写真で素敵な生活のサポートをしたい