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【保存版1万字】認知科学に基づくコーチングの理論について

始めまして、株式会社風凜の小澤と申します。
まずは、このnote記事に興味を持っていただきありがとうございます。

株式会社風凜は『他人の人生ではなく、本当の自分の人生を生きる人を増やす』をミッションに掲げ、事業開発・事業運営をしており、その一環として個人および法人向けにコーチングを提供しています。

この記事に興味を持って下さったということは、恐らくコーチングに興味があり、そもそもコーチングとは何か、どういった効果があるものかについて情報を探されているのではないかと考えています。

この記事では、そんな方々に向け、コーチングの基礎から私がご提供している応用的な認知科学に基づくコーチングまで、その概要、理論について要点を絞りつつ、初心者でもわかりやすいよう砕いてご説明しようと思います。

これからコーチングセッションを受けたいと考えている方や、何となく興味があるけど、、、といった方まで、幅広い方にオススメできるような内容となっておりますので、ぜひ最後まで読んでいただけると幸いです。

それでは、コーチングについて早速ご説明していきます。


【第1章】コーチングについて

それでは、改めてコーチングとは何か言葉の定義から、順にご説明させていただきます。

1.コーチングとは

コーチングの「コーチ」の語源についてはご存知でしょうか?
ある説によると、「コーチ(coach)」という言葉の由来は馬車だそうです。

コーチングの定義や目的は様々ありますが、結論から申し上げますと「クライアントのゴール設定・達成をサポートすること」、ひいては「クライアントがゴールを設定・達成できるように、導くこと」がコーチングと呼ばれています。馬が無事目的地に辿り着けるように導く御者(ぎょしゃ)のように、「大切な人を、その人が望む場所へ導いてあげること」がコーチングになります。

よく、コーチングと聞いてイメージするところとしては、「コーチに任せれば、自分のなりたい姿、行きたい場所へ(勝手に)導いてくれるんだ!」のようなイメージを持たれている方が多いのではないかと思います。

しかし、あくまで「コーチング」は語源の通り「馬車」です。タクシーあるいは自動運転の車のように、目的地を伝えれば勝手に目的地へ導いてくれるものではありません。つまり、あくまで目的地へ歩いていくのはコーチングの受け手、つまりクライアント自身ということです。

これはもちろん、コーチが楽をしたいからといった訳ではなく、まさに、宿題をやれと言われて動かない子どものように、いくら外部から言われても本人が動かなければ、動こうとしなければ現状は変化しない、といった当たり前のことなのです。

では、ここで皆様に1つの疑問が浮かんだと思います。

「じゃあ、コーチって何をするの?」

回答はこちらです。
コーチは、あなた(クライアント)を、あなたが心から望む場所へ導くために、客観的な立場を持ってあなたの本音を特定し、周囲の環境や自身の中にある阻害要因を指摘し、本来の道へ戻すといった役割を果たします。

詳しくは、後述の「用語3:セルフトーク」あたりの内容を見ていただけるとよく理解できるかと思いますが、私たちは生きている中で様々な制約に囲まれ、無意識的に自分の望んでいない道を選んでしまっています。
この、「無意識的に」といったポイントが特に重要で、これにより本人は自身が逸れた方向へ進んでいることに気づくことが大変難しいです。そうした点に気付き、共に伴走する存在として、コーチの存在は何かを達成する上では欠かせない存在であると考えています。


2.認知科学に基づくコーチング

それでは、認知科学によるコーチングとはどのようなものか。。
結論から申しますと、「クライアント自身がゴールを達成できるマインドの構築、その使い方をサポートし、クライアントのゴール設定・達成をサポートすること」が認知科学に基づくコーチングになります。
様々なコーチングの手法がある中で、生物としての脳や心のカラクリを知り、上手く活用したコーチング手法が今回ご提供する認知科学に基づくコーチング(以下:コーチング)になります。

【コラム】認知科学とは
人間や動物の生物としての「ものの見方」に関する学問であり、中でも心や脳がどのように働くのか、という人間の心や脳の情報処理機能に注目する学問になります。近年では、哲学、心理学、言語学、神経科学など多方面のジャンルに関わっており、総合的な科学とも言われてます。

3.認知科学に基づくコーチングの方法

認知科学においては、人間のマインド(心・脳)は、いわばコンピュータの情報処理と同じように、何かしらの外部刺激に対して、情報処理を行い、その結果として行動をしているのだ。という理解をしています。
そのため、脳の処理機能は一般的に次のような流れであると言われています。

この理論に基づくと、何かしらの事象が発生した際に、人間は自身の中の内
部モデルを元に行動を決定します。

例えば、小さい頃に階段から足を滑らせて怪我をした人が居るとしましょう。その経験がトラウマとなり、「高い所から落ちることは危険=高い所は避けるべき」といった内部モデルが作られます。そして、その結果、いわゆる高所恐怖症となり、その人が高い所へ行くと足がすくんで動けなくなってしまったり、ひどい場合にはめまいや動悸、パニックを起こしてしまいます。

このコーチングでは、この「内部モデル」に着目し、内部モデルの書き換えをおこないます。それにより、クライアントのゴール達成における障壁を取り除き、ゴール達成に導くことが、コーチングを行う目的になります。



【第2章】用語の説明

用語説明にあたって

コーチンングを行うにあたり、多くの専門用語が出てきます。ここからは、その用語の中でも、特に根幹を担う用語をピックアップし、共通認識を持てるよう、丁寧に、かみ砕いて説明を行ってまいります。

また、各用語の内容は複雑で、種類がありますので一度に全て覚えていただく必要はございません。用語が出てくるたびに、この記事を辞書として活用いただき、繰り返し確認する中で少しずつ覚えていただければと思います。(ですので、本記事はブックマーク推奨です!)

早速、用語を解説してく前に、、、
なぜわざわざ専門用語を使用するのか疑問に感じた事はありませんか?いちいちそんな言葉を使わずとも表現できるのに、なんでそんな分かりにくい表現を使うのか。それには大きく3つ理由がございます。

  1. 共通認識が持てる
    たとえば「パン」をイメージしてくださいと言われた場合、あなたは何を思い浮かべますか?人によって、食パン、クロワッサン、メロンパン等、、思い浮かべるパンの種類は様々です。そのため、○○といった状態をAと呼びますのように、特定の状態に名称をつける事で共通認識を持てるようにします。その際に、既にある言葉でも、この学問では「○○を意味します」といった形で、同じ言葉でも同じ意味合いを表す場合もあります。そのため、できる限りキーワードとなるものについては丁寧に解説を行ってまいります。

  2. 説明を端的に行うことができる
    1の通り、一つ一つの言葉の定義を細かに確認していきます。そのため、都度説明していては日も暮れてしまいますので、端的かつシンプルにその内容をお伝えするため専門用語を使用いたします。

  3. 印象に残りやすい
    普段聞き慣れない言葉だからこそ、印象にも残りやすくなります。覚えるには時間はかかりますが、あの言葉…!といった形でも少しでも印象に残るようにあえて専門用語を使用させていただきます。

そのため、これからの記事や私が提供するコーチングセッションにおいても、一度出した用語はどんどん使っていきます。もちろん、直接コーチングを実施する際には、クライアント様の状況に合わせ適宜補足して説明してまいりますのでご安心ください。

以上、前置きが長くなりましたが、早速これよりコーチング理論により深く関わってくる用語のご説明を行っていきます。


用語1:RASとスコトーマ

RASとは、「Reticular Activating System」の略称であり、日本語で「脳幹網様体賦活系(のうかんもうようたいふかつけい)」という私たちの脳の器官の名称になります。RASでは、主に、意識しているもの・ことだけを見る(聞く)情報のフィルターのような機能を果たしています。

私たち人間の脳は、毎分、毎秒、五感を通して膨大な量の情報を知覚しています。1秒間に約4000億ビット(わかりやすい単位にすると50GB)の情報にもなると言われてますが、処理能力としては200万分の1の約2000ビットと言われており、知覚情報を全て処理しようとすると800年以上かかってしまう計算になります。

そのため、人は生まれながらにしてフィルターをかけ、ほとんどの情報を捨て生活しています。この情報を捨てる処理、つまり無意識下で何を捨て、結果として何を残すかの優先順位を決めているフィルター(=インプットすべき情報の重要性の関数を司る脳のフィルター機能)がRASになります。
そのフィルターは当然、人によって異なるものですので、私たちは同じ世界に生きつつも、違う世界を見ているのです。(冒頭の内部モデルに関わる機能部分に該当します)

このRASですが、ここまで聞くと何も問題がないように思えますが、これにより、以下のような状態が発生します。

例えば、あなたが、新しい車を買おうと思った時に、その車種、例えばベンツが欲しいと思ってると、やたらとベンツが目に入ってくるようになった経験はありませんか?「あれ、こんなにベンツって走ってたっけ?」と感じた経験は一度はあると思います。また、他の例だと、子供が生まれた瞬間、やたらと街中でベビーカーや赤ちゃん、子連れの夫婦が目に入ってくる。など、、

これはベンツを買おう、であったり、親になるという責任感から、重要性の関数が更新されて、街中にベンツであったり、赤ちゃんやその関連情報を知覚するようになり、その結果、たくさん出現したかのように認知が変わったことで発生します。当然ですが、世界は変化していません。

このように、人によって見ているものが違うだけでなく、本人の中でも、見ている世界は変化します。RASによってシャットアウトされているものは全て、その人にとっての盲点となります。この心理的盲点のことをスコトーマと言います。

【コラム】カクテルパーティー効果とスコトーマ
次のような経験はありませんか?
 ・うるさい空間でも、友人同士の会話はよく聞こえる
 ・電車の中で居眠りをしてしまっていても、
  降車駅のアナウンスが不意に聞こえ目が醒める
これはカクテルパーティー効果(選択的注意)と言われ、まさにこの聞こえている情報は、RASが聞くべき情報として認知していることで情報が残され、聞くことができています。それ以外のノイズ音や認識していない情報は「スコトーマ」に該当します。

コーチングでは、このように日常の様々なことの知覚が変わった状態を「RASが発火し、スコトーマが外れた」と言います。知覚できる対象は、その時のあなたにとって重要性が高いもの(=「価値があるもの」や「脅威になるもの」)のため、コーチングでは意識的にそこを変えていきます。


用語2:ホメオスタシスとコンフォートゾーン(CZ)

心理的安全性といった言葉をよく耳にすると思いますが、私たち人間には安心・安全な状態があり、この安心・安全な状態を維持しようとする機能が備わっています。これを恒常性維持機能(=ホメオスタシス)と言います。
そして、その安心・安全な領域のことをコンフォートゾーンと言います。

私たちの体は外界の変化に関わらず、体温や血液量、血液成分など、生命機能を維持していくのに必要な状態を一定に維持する能力を持っています。
そのため、暑い日に大量には発汗し、逆に寒い日には体を震わせ、筋肉の収縮運動をさせることで体温を約36℃程度で無意識的に維持し、そのプロセスは自律神経により体に備わっています。

実はこの恒常性維持機能、身体機能だけでなくマインド、つまり脳の情報処理でも同じことが言えることがわかっています。
例えば、ダイエットで10kg痩せるために毎日1時間ランニングする!と決意したものの、三日坊主で元の生活リズムに戻ってしまっている。。。なんて事はよくある話で、これがまさにホメオスタシスによる機能の弊害です。
なので、意思が弱いといった問題ではなく、そもそも人間のメカニズムとして、現状維持へ戻る力がとても強い事に起因するものなのです。

このように、コンフォートゾーンから出ようとしない、あるいは出てしまっても元に戻ろうとする力を、ホメオスタシスのフィードバックと言います。そして、この戻る力のことを、認知科学ではモチベーションと言います。

私たちが何か、新しい挑戦をしようとするとき、このコンフォートゾーン(居心地の良い安心・安全な状態)から外れることになります。そのため、私たちが新たな挑戦をするには、なんとかこのホメオスタシスのフィードバック(=モチベーション)に対応する必要があります。ちなみに、私たちのコンフォートゾーンは、体温が36℃である私と38℃の私が同時に存在しないのと同じく、コンフォートゾーンを2つ同時に持つことはできません。

以上の条件を踏まえると、私たちが新しい挑戦を成功に導くには、コンフォートゾーンから出るのではなく、コンフォートゾーンをずらしてあげるといった方法で取り組んでいきます。(イメージは下図)

先程のRASの話で触れた通り、私たちは世界をありのままに見ていません。「自分がよりリアリティを感じていること」を私たちは「現実」だと感じています。つまり、私たちの脳は、現実か虚構かを区別しているわけではなく、認知しているものが「現実」であり、脳にとっての「現実」とは”臨場感”が高いほうなのです。

「臨場感」の生まれ方
詳細は今後の記事やセッション内でご説明できればと思いますが、臨場感(Reality)を生み出す公式として、以下のようなものがあります。
I (Imagination)×V (Vividness)=R (Reality)
・I :イマジネーション。視覚だけでなく、他の五感の情報も含まれます。
・V :鮮明さ。感情も含めて臨場感を⾼く感じている状態です。
・R:無意識のリアリティ
つまり、無意識の中に新しいリアリティを生むには、明確なイメージを感情を乗せて、何度も繰り返し思い描き、五感で感じることが必要になります。

たとえば、VRで綱渡りやバンジージャンプの映像を見るだけで風を感じたり、動悸が早くなったり、その他にも、明日重要なプレゼンがあると前日ドキドキして全然寝れなかったり、急にお腹が痛くなったりした経験はありませんか?現実には起きていないことでも、臨場感が高ければ、脳は無意識的にそれを現実と認知します。そして、様々なホルモンを分泌し、先のような現象が起きるわけです。 

以上のことから、コンフォートゾーンをずらすには、今とは違う「新しい挑戦を達成している未来の状態の臨場感を高める」ことが必要になります。新しい挑戦を達成している状態の臨場感を高め、それが現実だと脳に認知させることで、気づいたらゴール側のコンフォートゾーンが自分の状態になっている。そのため、ゴール側のコンフォートゾーンからはみ出る行動を取ろうとすると、逆にゴール側のコンフォートゾーンへ戻ろうとするため、状態を維持できるといった仕組みです。

これが新しい挑戦を成功に導くためのマインドの使い方になります。そして、皆さんお気づきの通り、この未来の状態の臨場感を高めるには、自分だけの力では難しいため、コーチングによりその点をサポートしていきます。


用語3:ビリーフシステムとセルフトーク

セルフトークとは無意識的に自分自身に語りかけている言葉のことです。
心の中で思ってるけど口には出さないこと、だけでなく、意識していないが、考えてしまっている、ということも含みます。ちなみに、私たちは1日あたりだいたい3万〜5万回、自分に対して語りかけていると言われてます。

人は、この自ら語りかける言葉によって、映像を映し出し、その映像に対して感情を発生させます。この自ら作り出した映像(=セルフイメージ)を、コーチングでは「ビリーフシステム」と呼び、これが冒頭の内部モデルにあたります。そしてこのビリーフシステムが、私たちのコンフォートゾーンを作り上げています。(イメージは下図)

つまり、人はセルフトークによって、自らのアイデンティティを定義づけ、自らを縛っており、さらに言うと、私たちのパフォーマンスは、このセルフトークによって決定づけられているといえます。

このセルフトークですが、厄介な点としては、ポジティブなものもありますが、その多くがネガティブなもの(=ネガティブセルフトーク)であるといった点です。約8割から9割がネガティブセルフトークとも言われてます。

私たちは生まれてから、親、先生、友人、恋人、上司など数多くの権威性のある存在から言われてきたネガティブな言葉を受け入れ、無意識下でそのセルフトークを使ってしまう傾向にあります。先ほど説明した通り、このセルフトークから、セルフイメージを作り出すわけですから、ネガティブなものばかりであるほど、そのビリーフシステムからはネガティブな言葉や言動がたくさん出てきます。

そのため、コンフォートゾーンをずらす、ひいてはゴールを達成するには、
これをそのままにしていては当然、未来の自分をポジティブに信じ、臨場感を持つことは難しいので、この大元であるセルフトークを変えていくことが何よりも重要になってきます。

では、どういったセルフトークに変えていくのか、ですが、未来の臨場感を持てるセルフトークを行います。つまり、ゴールを達成した自分はどういう言葉を使っているか、からセルフトークを考えます。
例えば、「私は一流のコンサルタントなんだから、クライアントにとって最適な提案ができるはず」だ、など、未来の私はこうだから、こういう言葉を使っているはずだ。といった、未来の自分の感情にアクセスできるような言葉を使うことで、未来側の臨場感を高めていきます。

また、現状の私が使っている言葉、特にネガティブセルフトークをリフレーミングするといった方法もあります。例えば、「私は飽きっぽい」ではなく「私は好奇心が旺盛である」とか、何か新しい事をやってうまくいかないときでも「私には向いてない」ではなく「自分が成長するチャンス!」と言うようにポジティブに捉えることは、「自分の評価は自分が決める」というセルフトークのカラクリ上は非常に有効です。

このように、ビリーフシステムを書き換えていくための、セルフトークの書き換えをコーチングによりサポートしていきます。


用語4:ゴール

ここまでの説明は、すべてこのゴールを目指す上で知っておきたい、人間の脳や機能についての説明となっていました。以上を踏まえたうえで、認知科学に基づくコーチングのゴールはどのようなものを設定するのかについてご説明してまいります。

本セッションで設定するゴールの条件としては以下の3点になります。

① 「現状の外側」に設定すること
② have toでなく「本音のWant to」(心の底からやりたいこと)であること
③ 複数領域(人生のオールライフ)で設定すること

①「現状の外側」に設定するためのポイント
ここでの現状には、「今、現在」だけではなく、「現在の状態が続けば、十分起こりうると予想される未来」も含みます。注意すべきポイントとしては、本人にとっては難しく、出来そうかわからないと思う内容でも、ゴールを達成するための条件やプロセスはイメージできるものは全て「現状のゴール、理想の現状」であり、現状の内側の内容になります。
現状の内側のゴール例
 ・
今の会社でマネージャーから部長へ昇進する
 ・年収500万円から1,000万円になる
現状の外側のゴール例 
  ・達成条件やプロセスが全く見えないレベル
  ・周りからするとそんな無謀なことを辞めなよ!と止められるレベル
  ・想像すると怖くなって挑戦するのを躊躇するようなレベル
  (だけど、想像すると同時にワクワクしてしまう)

have toではなく、「本音のWant to」(心の底からやりたいこと)であることについて
まず、それぞれの言葉の定義は以下の通りです。
want to:他人や自分にとって権威性のある人から止められても、気づいたらついやってしまう事。禁止・強制されてもやってしまっていること、気がついたら時間を忘れてついつい没頭して続けてしまっているような事。
・have to: 
want to以外の行為。上司や家族、友人など周りの期待に答えようとしてやってしまっているような事、役割・責任があるのでやるべきだと感じている事。自分以外の他人の思惑が入ってしまうようなことは全てこちらになります。

そのため、冒頭の条件を言い換えると「他人軸ではなく、自分軸であること」になります。私自身もそうでしたが、思っている以上に無意識下で「have to」なゴールとなっていることが多いので、クライアントのゴール設定を共に進める過程では、そうした呪いのような事実に一緒に向き合いながら「want to」を特定していきます。

複数領域(人生のオールライフ)で設定することについて
仕事・趣味・人間関係・社会貢献・知性・家族・健康・ファイナンスという8つの領域(=バランスホイール)でゴールを設定していきます。(詳細は以下を参照)

なぜ複数領域で設定するかですが、特定の領域だけでゴールを設定し、そこに集中しすぎてしまうと、他領域を犠牲にしてしまったり、他領域を疎かにして返ってゴールの効果が上がりづらくなってしまったりするためです。一番わかりやすい例で言うと、仕事や趣味のゴールを設定し、健康を疎かにしていては、体調不良で仕事や趣味に取り組めなくなってしまいます。

また、何をしてもどこかのゴールに向かって進捗している、近づいている状況を作っていくことで、結果として、ゴール同士が影響・連動し合う機会を増やすことができ、より良いゴールへアップデートや効果的な方法を思いついたりすることができます。

コーチングでは、セッションを通じて、各領域に現状の外側であり、かつ、want toであるゴールを設定していきます。


用語5:エフィカシー

いよいよ、こちらが最後の用語になります。

エフィカシーとは、設定したゴールを自分で達成できると言う自己能力に対する自己評価のことです。正確には「セルフ・エフィカシー」と呼ばれ、日本語では『自己効力感』などとも言われ、「なんかよくわからないが、私ならいける気がする!」といった感覚を持てている状態を指します。
そのため、周りの人から、「君ならできる!!」とか、「こんな過去の経験があるからできそう」といったものは対象外になります。

そして、ゴールを達成するには、この「エフィカシー」を高い状態にすることが最も重要になってきます。いわゆる、未来のゴール達成に対する、根拠のない自信が湧いて出てくる状態です。未来の自分であれば、こんなことが出来ているのは当たり前なんだから、出来ないわけがないと心の底から思えている状態とも言えます。

【コラム】エスティームとの違い
エフィカシーとよく混同される概念として、エスティーム(セルフ・エスティーム)といったものがございます。これは、日本語で「自己肯定感」と呼ばれるもので、過去から現在の自分の実績、地位、能力に対する自信や自己評価のことであり異なるものになります。
そのため、改めて整理すると、未来に対する根拠の無い自信がエフィカシー、過去~現在を踏まえた自己評価による自信がエスティームと、言葉は似ていますが真逆の概念になります。

エスティーム(自己肯定感)が高すぎてしまうと、現状維持への引力が強くなってしまうので、コーチングにおいては「エスティームはそこそこで、エフィカシーを高く!」というのが基本方針になります。

とはいえ、私たちは過去の経験や現在置かれている状況、周囲との関係性の中で生きているため、無意識的に自分に制約をかけてしまいますし、日々の臨場感の方が当然高くなりやすく、つい引っ張られてしまいます。

そのため、クライアントがご自身の力だけで、設定した現状の外側のゴールに対してエフィカシー高く、進み続けることの難しさを感じていただけたかと思います。だからこそ、私たちのような「コーチ」の出番がでてきます。


【第3章】まとめ

以上が、認知科学に基づくコーチンングセッションの概要、仕組についての説明となります。

冒頭でもお伝えした通り、これから行っていくコーチングでは、セッションを通じて、マインド、すなわち脳と心の仕組み・使い方を教え、あなたの現状の外側のゴール設定(新たなセルフイメージの特定)と、それを達成するためにエフィカシーを高い状態の維持に取り組んでいきます!



ラップアップ

用語の解説を元に、私たちの脳と心の3つのクセ(用語1~3)とクセに対応するための手段(用語3~5)について説明を行ってまいりました。

脳と心(マインド)の3つのクセ

  1. 私たちは無意識に、RASにより一部の世界を見て生き、それ以外をスコトーマとしている

  2. 各自のコンフォートゾーンがあり、そこにとどまるモチベーションが高い

  3. セルフトークにより、コンフォートゾーンが形成されていること

クセに対応するための手段(用語3~5)

  1. 新たな挑戦を成功に導くにはコンフォートゾーンをずらす必要があり、そのためにはセルフトークを変える必要がある

  2. 現状の外側(ずれたコンフォートゾーン)からオールライフにおけるwant toでゴールを設定する

  3. ゴールを達成するためのエネルギーとなるエフィカシーを高めるには、独力は難しく、他者の力が必要であること

特に、上記3の「エフィカシーを高めること」がゴールの達成能力を決める、最重要かつ最難関ポイントになります。そして、そこを伴走支援させていただくのが私たちコーチの存在であるとともに、コーチングセッションにおいて提供させていただくものになります。



最後に

以上、ここまで長々とご説明させていただいてきましたが、繰り返しお伝えしている通り、実際、マインドの仕組み理解できたとしても、それを実際に自己適用させていくのは本当に難しいです。私自身、この瞬間も現在進行形でゴールを更新し、挑戦を続ける中で、実際に人生を変えていくことの難しさを肌身で感じております。

これまでの経験と、コーチングの持つ可能性を直に体感しているからこそ、コーチとして、一人でも多くの方の人生をより素晴らしいものにするお手伝いをさせていただきたいと思っております!!

以上、長文にはなりましたがここまで読んでいただき、ありがとうございました!興味を持ったかたはぜひお声がけくださいませ!直接、皆様とお話しできることを楽しみにしております!

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