【第11話】共感の連鎖、物語の連鎖、物語への参加が、ブランドを創るという話。
今日は「共感ブランディング」について書きたいと思います。最近読んで共鳴を受けた本が何冊かあります。
意味の時代へ
それぞれに共通するところがあって本質的なことはつながりあっているなーと感じます。総じて言えることは、数字で図れるもの、定量的なデータの時代から、意味の重さ、定性的な情報が、ますます重要になってきているということです。だいぶ前にフランスに住んでいた頃に知り合った友人の実家がバルセロナにあり、サグラダファミリアという大聖堂を見に行ったのですが、その終わりなき建築になぜ世界中の腕利きの建築家が長年携わるのだろうか?」という疑問を持ちました。今はなんとなくその訳もわかってきたように思います。
このnoteで、これらの本のご紹介や引用をさせていただきたいと思っています。今回は、「ナラティブカンパニー―企業を変革する「物語」の力」を読んだ際に感じたことを書きたいと思います。この本の内容は、こんな感じです。(Amazonからの引用です。)
ナラティブが注目される理由/「社会的な共創」が可能になった、ニューノーマル時代の変化。
ここ数年の大きな社会変化には、SNSの浸透とスマートフォンの普及、次にSDGsやESG投資などに象徴される、世界規模での社会意識の高まりがありますが、これらの変化に爆発的なブースト(増幅)をかけたのがコロナ禍です。
これにより新しい行動様式が生まれ、私たちは「ニューノーマル」の世界に直面しています。とりわけ、企業と社会の関係性を広告やPR、マーケティングの観点から考えると、それは「3つの変化」に集約されます。
「共体験価値」の高まり
「社会的距離」の見極め
「自分らしさ」が問われる
これらの変化がもたらすのは「社会的な共創」(企業と生活者、多様なステークホルダー)の重要性。
少し乱暴ですが、簡単に言うと、「社会や未来にとって、どのように自分たちらしくプラスなことをしていくか?」ということを意識して営みを続けている会社には、人に共感されやすい物語が生まれやすく、その物語を大切にしながら情報発信や実態としての活動をしていくことで、さらに共感する人や賛同する人が増えていく。そして、その物語へ参加する人も生まれていく。という内容です。個人的には、そこに勇敢さや果敢さがあると、さらに力強い連鎖・循環になっていくという気がしています。
実体験していたナラティブ
この本を読んでいて、「想い」の大切さを共に感じながらたくさんの仲間や取引先と一緒に新しい市場を創っていた頃のことを思い出しました。「いいウエディングには小さな奇跡が溢れている。」「結婚式にしいさな軌跡を。」いう想いを皆で共有しながら日本全国に結婚式場をほぼ毎月出店をしていました。その想いの起点でもあったのが創業者の野尻さん。彼の想いに集った人たちと一緒に、その想いを核にした物語を形にしていこうと信じて衝動的な気持ちとともに燃えていました。私もその一人でした。
ほぼ毎月5年近く続いていた出店というのは、こんな感じでした。新しい立地を契約して、店舗デザイン/設計/施工して、そのエリアでスタッフを20名ほど採用して、お花屋さんやカメラ・ビデオ、ドレスなどの取引先のパートナを見つけ契約をして、そのエリアの広告代理店さんと契約して広告を創り出稿して集客、模型接客でお客様から申込みを頂いて、数カ月後に店舗が完成する際には予約で先々が埋まっている状態になっていました。
日本の結婚式を本来あるべきものに、つまり、家族同士の絆が深まる1日に、友人との絆が深まり関係がメンテナンスされていく時間、両家の家族同士の絆が生まれる時間、そして、その日があったからこそ、大切な人との絆が深まり、その絆が生涯つづいていくきっかけになるような1日。そんな1日にしていくための「小さな奇跡」。それをつくれるような1日にしていこうということを、会場の責任者、ウエディングプランナー、キッチンスタッフ、お花屋さん、ドレス屋さん、カメラやビデオのスタッフ、サービススタッフ、演出の会社の人たちが、それぞれの立場で一生懸命でした。
だから、全国それぞれのエリアで結婚式場がオープンできて、その土地の人たちにも受け入れられていき当時年間で1万組みを超えるお客様に結婚式をしていただき、そして、そこで働きたいという人も生まれていったのだと、、、振り返って、そう思います。そして、型にはまらないハウスウエディングという市場が確立されて、日本の結婚式の大半になっていけたのだと思います。
当時はみんな本当に大変でした。皆がみんなそういうことではなかったと思いますが、私自身は年末に2日+年始に2日=4日ぐらいしかゆっくりと家で過ごすことはなく、年間361日、会社にいるか、札幌から鹿児島までの全国の結婚式会場にいるか、新規出店の立地でリサーチをしているか、お客様のご自宅を訪問しているか、、でした。5年間ぐらい。とても大変でしたが一度も風邪も引かず病気にもなりませんでした。意義や自分がそれをやる意味を感じながらできていたので嫌だと思ったことは1日もなかったように思います。その感覚は多くの仲間や関係者の方々も同じだったように思います。
「強い想いを核にした物語が共感の連鎖を生んで、その物語に参加したいという人が増えていった。」という実体験をこの人生の中でできたということに、当時ご一緒させていただいた仲間や取引境の方々、そしてお客様に感謝しかありません。
今、コロナで結婚式場も大変です。今、思うことは、日本人が日本人らしさを継承していくために、こういう絆が深まり広がるような1日を人生の中につくることはものすごく大切なんじゃないかと思います。日本人の文化がこの先も続いていき、子供や孫の世代から返ってくるような、日本人らしさや文化の継承と循環にとって、ものすごく大切なのではないかと。コロナによって大変な結婚式ですが、どのようにその価値を体現できるようにしていくかという試練を乗り越えていってほしいと思います。
今、コロナで結婚式がちゃんとできない人たちも、入籍後とか子供が生まれてからでもいいんです。結婚式をしてもらいたいなーと思っています。ワクチン接種が行き渡り、コロナが落ち着いてからでもいいですから。絆が深まり広がる1日をつくれたら、その後の人生の幸せの度合いが変わっていくように思います。
仕事でもご一緒させていただいている本田さんの本を読みながら、こんなことを思いました。なんだか、本の感想からは少し離れた内容になってしまいました。本田さん、ごめんなさい!「ナラティブカンパニー」の考え方に触発されて、実体験したことを留めておきたいと思いました。
地声の重要性
加えておきたいと思うことがあります。それは、「ナラティブ的な物語をつくっていくことで、事業が成功しやすくなるかどうか?」という視点です。これは、原野さんが前述の著書に触れているのですが、「地声かどうか」がとても重要で、、、つまり、、、当事者(創業者やコアメンバー、できれば、関わる人全員)が本音で心から思っていて信じられている、がゆえに、行動や営みにそれがあらわれている、ということが必須だということなんです。「つくられた物語」ではダメなんだという気がしています。実を伴う。行動・営みが伴っている。それも長い間、ブレずに。それは、世の中にある事例や私自身の体験を通じて、実感していますし、おそらく、古今東西、そして、この先も変わらない真実なんじゃないかと。少し離れますが、世界と日本が直面しているサスティナビリティーやSDGsに関しても、同じように実が伴っているということが本当に重要になってきました。
強いブランドは、支持する人が圧倒的に多いということなのですが、その中で一番強いのは、物語への共感が強く、その共感が連鎖して、かつ、その物語にお客様自らが参加したくなるという状態だということを改めて実感しています。嘘ではない物語、偽物や作られたものではない物語、つまり、誰かたった一人の強い想いと行動の連鎖で生まれた物語が、強いブランドには存在するように思います。(私もそうですが)事業を担っている人が、その事業やその業界に対して強い想いがあって行動している状態であることが、その事業の未来を明るくしていくように思います。
宗教とブランドの共通点
そう考えると、世界で最も強いブランドは、宗教なのかもしれません。聖書や経典という物語に共感する人が連鎖して、その物語に参加する人も多数いるという。ブランディングと宗教が似ているなんて言うと毛嫌いされてしまうかもしれませんが、人の心の動き方・動かし方という側面では、参考になるところが実はあるんだなーということなのでしょうね。
勇敢さを伴うブランディング
最後にひとつ。最近、私が共感して、同じように共感した人が連鎖的に増えていったという事例をひとつ。「宝島社」の見開きの新聞広告です。この広告をやったことで、宝島社の本が売れたり売上が上がったりしたかは微妙です。おそらく、そんなに売上には貢献していません。でもですて、、、宝島社というメディアが強い意志とともにジャーナリズムの精神を貫き通している姿勢が感じれるものだと思います。「世の中にプラスになることをこの会社はやってきているし、この先もやっていくのだな。」ということを感じてしまいます。この先々、宝島社から生まれるものに期待もしてしまいます。また、私の子供はまだ小さいですが、もし、就職活動で出版社やメディアで仕事をしたいということを言っていたら、「宝島社を候補の一つにしてみたら」と、間違いなく言うでしょうね。
今回も最後まで読んでいていただいてありがとうございました。これから、少し頻度を上げて書いていきたいと思います。よろしくお願い致します!
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