プレ公開!「仕事の研究」の冒頭
「仕事の研究」を執筆するに至った想い。それは、この10行にあります。
「らしく生きること」や「リスキリング」が重要だと言われるようになってきていますよね。私自身、「良い仕事」も「成長」も「幸せ」も会社に頼るのではなく、自分自身の「経験」「スキル」「信用の繋がり」を頼りに、幸せになれる世の中になっていくことを実感しています。
「これからの未来を創っていく若い人たち。仕事も人生も分け隔てなく自分らしさで人生を豊かにしていきたい人たち。これから社会人になる人や20代30代の社会人の方々、そして、これから自分自身のらしさやスキルを磨いていきたいと考えている人たち。そのような方々の創意工夫の参考になれば、、、」と思い、初めてとなる著書の執筆を決心しました。
今回は、クロスメディア・パブリッシングさんにお許しをいただき、発売日前ですが、本書の冒頭部分をご紹介させていただきます。
大企業とベンチャー、
プレーヤーとマネジャー、
フィジカルとデジタル、
ルーティーンとクリエイティブ、
グローバルとドメスティック、
いろいろ実戦してきた私が、
仕事について研究してみました。
はじめに
世の中の様々なことにおいて、予測不可能な変化が起こるのがあたりまえの時代になってきました。今までの常識や今までの仕組みの価値や意味が一瞬にしてなくなっていくことが当面続いていくのではないでしょうか。
テレワークやメタバース(仮想空間)など、仕事や生活の至る所で大きな変化が起こっています。人の介在価値の再定義が生まれています。コロナ禍をきっかけに本格化したこのような変化は、今後もしばらくの間、さまざまな領域に変化をもたらしていくでしょう。
私にとっての予測不可能な時代の始まりは、
今から22年前でした。新卒で入社した電通で経験を積んで、30歳の時に当時社員数100人のサイバーエージェントに転職、気がついたら常務取締役になっていた2000年の春のことです。大企業からベンチャー企業に移り、年功序列も企業文化も仕事のルールもまだ確立されていなく、フリー、フラットでフェアな空気がそこにはありました。リアルのビジネスからネットビジネスに変わり、一社員から経営ボードメンバーに変わり、何もない状態から新しいことを生み出さないと社員の雇用を確保することさえできない、といった感じで、大きな変化が自分自身にも襲いかかってきました。
今もそうですが、当時のベンチャー業界は輪をかけてVUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代で、信じられないぐらいいろいろなことが起こっていました。予測不可能なことだらけだったので、〝予測不可能を愛するしかない〟という状況でした。
何度も修羅場が生まれ、それを乗り越えるために率先して先陣か殿(しんがり)の役目をしてきました。
そして、どんな状況でもチームや自分の理想を想像し追求しながら、それを形にしてきました。〝創意工夫〟を繰り返す、仕事人としての私の人生の始まりでした。
約30年間で、
大企業とベンチャー企業、地に足のついたルーティーンワークと創造性に富んだクリエイティブワーク、現場でのプレーヤーとしての仕事とエグゼクティブとしてのマネジメントの仕事、フィジカルでリアルな仕事とデジタルな仕事。あらゆる環境と立場で、責任や意味の重い仕事をしてきました。
おかげさまで、今ではできる限り長い間、仕事をしていたいと思えるような〝自分の好き〟にも出会え、誰かや何かのために夢中になれる日々を過ごしています。
「デジタル化により、仕事の基本スキルが変わってきている」「大企業の中にもベンチャー企業のようなマインドセットが求められている」「泥臭い現場仕事の中にも、クリエイティブな働き方が必要だ」「どんな業界でも活躍できるスキルを身に付けることがこれからは必要だ」「というわけで、こういう条件を満たしている美濃部さんに本を書いてもらいたい」という提案を、友人でもある編集者さんからいただいたことが、本書執筆のきっかけでした。
そして、この先も続く予測不可能な時代をたくましく生き、明るい未来を創っていく若い世代の人たちや、仕事で活躍をすることを通じて人生を豊かにしていきたいと思っている人たちの役に立つのならやってみよう、という想いで執筆に踏み切りました。
ビジネス書には書かれていないような
内容や仕事のやり方を、不器用に必死にもがきながら行ってきたこと。ベンチャー企業の創業者のそばで、新しいサービスや事業を開発し、その会社と事業を一緒に成長させることを通じて見えてきこと。新しい市場をつくる際に実践してきたこと。ベンチャー企業のグロウスパートナー(成長の伴走者)として、一つひとつの仕事の理想を追求する中で見えてきた大切なことがたくさんあります。
これまでの仕事術にならうだけでは、会社も人も幸せになれない時代です。少し大げさに言えば、「自分自身を自分自身で発明していく」というような発想を頭の片隅に持っておくと良いと思います。それは、どんな仕事をする際にも追求をするということ、つまり、「創意工夫をすることで、創造性を生み出す」ということで、やればやるほどその仕事が好きになり、夢中にもなることができます。
本書では、
仕事において何かを創造していく際に役立ちそうなことを50法則に絞り、仕事術の法則としてまとめています。私自身がどのような局面でそのような思考や行動をしていたか、という体験やエピソードを添えながら、テクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキル(※)の3つに分類して、50の法則を記しています。
仲間、パートナー、顧客、そして社会との関係性の質を高めながら、価値ある仕事をしていく。創意工夫をしながらクリエイティブな仕事をすることで、読者の皆様一人ひとりの自分らしい幸せな人生を創っていくための参考になれば、この上なく嬉しく思います。
※「カッツ理論」から引用。ロバート・カッツというハーバード大学の元教授が提唱した法則で、ビジネスにおいて必要な能力を「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」の3つに分けて整理したもの
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