サトイモ科の毒?
企画展「身近でであうちょっとあぶない?植物」での1コーナー「食べるとあぶない?」で、サトイモ科のムサシアブミの標本を展示した。ムサシアブミに限らず、サトイモ科のマムシグサとか〜〜テンナンショウなんて和名の植物は大抵、シュウ酸カルシウムの針状結晶を大量に持っていて、あやまって食べて食中毒なんて報告が年に何回かあるようです。
この仲間はちょっと野山に入るだけで見つかるし、食中毒事例もあるのなら、と展示に選びました。
が、展示の解説を書くために調べていると、面倒なというか面白い話も出てきて、解説をどう書くかで悩まされた。
シュウ酸カルシウムの針状結晶を含む植物をあやまって食べると、イゲイゲ、チクチクして、下手をすれば嘔吐とか麻痺とか起こるらしく、結構危険だそうだけど、このイゲイゲ、チクチクがシュウ酸カルシウムによるものだけでは無いんじゃないか、という報告に突き当たった。シュウ酸カルシウムの含有量と症状の強さが相関しないそうな。
想像されるメカニズムは、シュウ酸カルシウムの針状結晶が細胞表面に突き刺さり傷を付けた後、その傷口に別の毒成分が侵入して症状を起こすのではないか、と。ちょっとえげつない。
さて、このムサシアブミの仲間の食中毒って、どうやら果実を食べてしまって起こる場合が多いみたい。今の時期(7月)は花も終わって果実が成長し出している頃なので、これからは下の写真のような果実が観察されるようになるのではないか。
これが、秋、冬となると、下の写真のように赤く熟する。正直、熟してしまうとちょっと毒々しい。
と言ったけど、この果実を食べる野生動物がいるだという報告が出ていました。何かというと鳥です。鳥はこの丸い小さな実を丸呑みするそうだ。丸呑みだからチクチクしないのだろうか?それとも何かの防御機構を持っているのか?
ところで、展示の解説や植物の紹介をするときにちょくちょく出てくる、興味を引く話題、あるいは逆に質問される話題に和名の由来がある。ムサシアブミの由来は?
まあ、ムサシは「武蔵の国」かなぁ。アブミは・・・答えを言ってしまうと乗馬の時に馬に取り付ける道具の一つで、人間が足をかける部分の「鎧(あぶみ)」のことで、花序の外見が鎧をひっくり返したような形だからだそう。うーん、だけど今の人って鎧を知る人少ないよね?多分
ここから先は、展示ではな出さなかった話題。
果実を切って中を見てみました。思ったより種子がでかいが、果肉の層もまあまあ厚い。鳥にとって食用になる程度には量と栄養があるのかな?